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忌まわしき過去
亮輔誕生の真事実
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達也は弁護士に鴨志田や父親や弟の事。そして母親の会社を乗っ取り、追い出そうとしている事まで洗いざらい話した。
「鴨志田…聞いた事ある名前だな」
そう言うと、弁護士は立ち上がり、本棚にあった古いファイルを取り出した。
「あぁ、コイツか。鴨志田紗栄子…鴨志田政夫(かもしだまさお)と養子縁組を結んだ女だな」
達也は驚きを隠せなかった。何故知っているのか、と。
「この鴨志田政夫ってのは、元々はヤクザもんでな。何処かの企業のバックで裏の事をやってきた男だ。で、ヤクザから足を洗ってその企業の常務になったみたいだな」
鴨志田の義父がヤクザ…そして父親の勤務していた会社の常務?
達也は頭が混乱していた。
そこまで過去のデータがあるのか。
「この女の旧姓は広瀬紗栄子。
孤児院上がりの女だな。大学生の頃ホステスをやって鴨志田に気に入られ、養子縁組にしたのはいいんだが、男女の関係になっちまって、女は妊娠したらい。で、鴨志田は堕ろせと言ったが女の方はどうしても生みたいとか言い出してな。
それで鴨志田は、オレは認知しない、生まれてきても他で育ててもらうという条件で生んだらしいな」
…っ!バカな!
鴨志田が生んだ子供は…亮輔だ!
まさか?
「あの、その生まれた子供は男ですか、女ですか?」
達也は身を乗り出し聞いた。
「お前、そんな事知ってどうするんだ。まぁいい、生まれたのは男で、今頃は15か16才になってるはずだ」
亮輔に違いない!達也は確信した。
「それ、オレの弟です!亮輔といって今は15才です。オレは以前、オヤジとその女の間に生まれた子供だと聞かされました。
まさかアイツが全く血の繋がってない弟だったなんて…」
自分とは血縁関係が全く無い。最初から赤の他人だったという事か…
達也は納得した。
「まぁ、これはあくまでもオレの推測に過ぎないが」
弁護士が口を開いた。
「お前さんのオヤジは離婚後、かなり出世したらしいな。しかも何人もの上司を差し置いて重要なポストに就いた。
お前さんのオヤジも同時期に紗栄子と深い関係を持ってたというから、鴨志田はそれを知って押し付けたんだろう」
「それじゃ、オヤジは昇進するという条件で亮輔の父親になったと?」
「まぁ、あくまでもオレの推測だがな。真相はどうなのか、それは当人同士にしか分からんよ」
だったら何故、千尋にその事を言わなかったのだろうか?
亮輔の出生の秘密が二転三転してきている。
どれを信じればいいのやら…
「まぁ、こんな事を息子のお前さんに言うのはどうかと思うが、オヤジは紗栄子と関係を持ち、オフクロは社長と結婚後も愛人関係を続けていた事がバレてしまったという事だな」
弁護士はファイルを閉じ、本棚に戻した。
納得がいかないのは達也だ。
何故、オヤジはそんなことまでして重要なポストに就きたかったんだ?
何故、オフクロはオレという子供がいるにも関わらず社長の愛人を続けていたんだ?
千尋に対しては何の恨みも無かったが、この話を聞いて徐々に憎悪が湧いてきた。
「これも因縁なのかな…鴨志田は随分前に死んだが、紗栄子はヤツの遺した僅かな財産しか手に入らず、その為に他の男と関係を持ったらしいが、ろくでもないところは鴨志田にそっくりだな。もう一度聞くが、そんな女でもソープから足を洗わせたいってんだな?」
弁護士は達也に確認した。
(家の中をグチャグチャにしたのは鴨志田では無く、オヤジやオフクロが好き勝手にやった事だ!許さねえ、絶対に許さねえぞ!)
達也の目が鋭くなった。
「ほぅ、中々いい目付きになったな。お前さん、カタギよりコッチの方が合ってるんじゃないか?」
コッチの方とは裏社会の事だ。
クククッ、と笑い紫煙を燻らせた。
「是非お願いします!あの女をソープから救ってください!金額はすぐにでも用意します!」
達也は腰を上げ、一礼した。
「待ちな!まだ終わっちゃいねえよ」
話はもう無い筈だが…達也は再び椅子に腰掛けた。
「この仕事は引き受けよう!だがな、お前さんはオフクロの会社を乗っ取るなんて事は出来っこ無い」
険しい表情に変わった。
「どういう意味ですか?」
「お前さん、野心が強すぎる。
会社を乗っ取る事は容易いかもしれない。だがな、その後が問題だ」
「その後とは?」
「お前さんは独占欲が強すぎる。会社を潰さず持続させたいなら、しっかりしたブレーンが必要だ。まぁ、余計なお節介だがな」
この弁護士の言う通り、達也は独占欲が人一倍強い。
おまけに衝動的に何かを破壊したいという気持ちに駆られるのは、幼少の頃からだ。
「そうですか、わかりました。で、仕事の件ですが」
「いつまでならその金用意できるんだ?」
「二日…二日後には用意できます。それで、これは手付金なんですが」
達也は封筒に入った金を机の上に置いた。
「いらねぇよ、手付金なんて。前金で全額もらう。それでいいな?」
弁護士は依頼人を信用しない。
故に、引き受ける際は必ず前金でもらう事にしている。達也もまた然り。
「分かりました。あの、こっちも質問なんですが…連絡先が無いっていうのは何故ですか?」
達也はスキンヘッドの男に言われた事を思い出した。
連絡が取れない、と。
「そんなもん必要ない。またここに来ればいいだけの事だ。いいな?」
「…はい」
名前を名乗らない、おまけに連絡先が無い。
不思議だ。
「では、また二日後ここに来ますので」
「おう、ちゃんと金用意してこいよ」
そう言うと、弁護士は再び新聞に目を通した。
(大丈夫なんだろうか、あの弁護士…しかも名前を名乗らないなんて)
多少の不安はあるが、達也は金の用意を始める為、部屋を出た。
「鴨志田…聞いた事ある名前だな」
そう言うと、弁護士は立ち上がり、本棚にあった古いファイルを取り出した。
「あぁ、コイツか。鴨志田紗栄子…鴨志田政夫(かもしだまさお)と養子縁組を結んだ女だな」
達也は驚きを隠せなかった。何故知っているのか、と。
「この鴨志田政夫ってのは、元々はヤクザもんでな。何処かの企業のバックで裏の事をやってきた男だ。で、ヤクザから足を洗ってその企業の常務になったみたいだな」
鴨志田の義父がヤクザ…そして父親の勤務していた会社の常務?
達也は頭が混乱していた。
そこまで過去のデータがあるのか。
「この女の旧姓は広瀬紗栄子。
孤児院上がりの女だな。大学生の頃ホステスをやって鴨志田に気に入られ、養子縁組にしたのはいいんだが、男女の関係になっちまって、女は妊娠したらい。で、鴨志田は堕ろせと言ったが女の方はどうしても生みたいとか言い出してな。
それで鴨志田は、オレは認知しない、生まれてきても他で育ててもらうという条件で生んだらしいな」
…っ!バカな!
鴨志田が生んだ子供は…亮輔だ!
まさか?
「あの、その生まれた子供は男ですか、女ですか?」
達也は身を乗り出し聞いた。
「お前、そんな事知ってどうするんだ。まぁいい、生まれたのは男で、今頃は15か16才になってるはずだ」
亮輔に違いない!達也は確信した。
「それ、オレの弟です!亮輔といって今は15才です。オレは以前、オヤジとその女の間に生まれた子供だと聞かされました。
まさかアイツが全く血の繋がってない弟だったなんて…」
自分とは血縁関係が全く無い。最初から赤の他人だったという事か…
達也は納得した。
「まぁ、これはあくまでもオレの推測に過ぎないが」
弁護士が口を開いた。
「お前さんのオヤジは離婚後、かなり出世したらしいな。しかも何人もの上司を差し置いて重要なポストに就いた。
お前さんのオヤジも同時期に紗栄子と深い関係を持ってたというから、鴨志田はそれを知って押し付けたんだろう」
「それじゃ、オヤジは昇進するという条件で亮輔の父親になったと?」
「まぁ、あくまでもオレの推測だがな。真相はどうなのか、それは当人同士にしか分からんよ」
だったら何故、千尋にその事を言わなかったのだろうか?
亮輔の出生の秘密が二転三転してきている。
どれを信じればいいのやら…
「まぁ、こんな事を息子のお前さんに言うのはどうかと思うが、オヤジは紗栄子と関係を持ち、オフクロは社長と結婚後も愛人関係を続けていた事がバレてしまったという事だな」
弁護士はファイルを閉じ、本棚に戻した。
納得がいかないのは達也だ。
何故、オヤジはそんなことまでして重要なポストに就きたかったんだ?
何故、オフクロはオレという子供がいるにも関わらず社長の愛人を続けていたんだ?
千尋に対しては何の恨みも無かったが、この話を聞いて徐々に憎悪が湧いてきた。
「これも因縁なのかな…鴨志田は随分前に死んだが、紗栄子はヤツの遺した僅かな財産しか手に入らず、その為に他の男と関係を持ったらしいが、ろくでもないところは鴨志田にそっくりだな。もう一度聞くが、そんな女でもソープから足を洗わせたいってんだな?」
弁護士は達也に確認した。
(家の中をグチャグチャにしたのは鴨志田では無く、オヤジやオフクロが好き勝手にやった事だ!許さねえ、絶対に許さねえぞ!)
達也の目が鋭くなった。
「ほぅ、中々いい目付きになったな。お前さん、カタギよりコッチの方が合ってるんじゃないか?」
コッチの方とは裏社会の事だ。
クククッ、と笑い紫煙を燻らせた。
「是非お願いします!あの女をソープから救ってください!金額はすぐにでも用意します!」
達也は腰を上げ、一礼した。
「待ちな!まだ終わっちゃいねえよ」
話はもう無い筈だが…達也は再び椅子に腰掛けた。
「この仕事は引き受けよう!だがな、お前さんはオフクロの会社を乗っ取るなんて事は出来っこ無い」
険しい表情に変わった。
「どういう意味ですか?」
「お前さん、野心が強すぎる。
会社を乗っ取る事は容易いかもしれない。だがな、その後が問題だ」
「その後とは?」
「お前さんは独占欲が強すぎる。会社を潰さず持続させたいなら、しっかりしたブレーンが必要だ。まぁ、余計なお節介だがな」
この弁護士の言う通り、達也は独占欲が人一倍強い。
おまけに衝動的に何かを破壊したいという気持ちに駆られるのは、幼少の頃からだ。
「そうですか、わかりました。で、仕事の件ですが」
「いつまでならその金用意できるんだ?」
「二日…二日後には用意できます。それで、これは手付金なんですが」
達也は封筒に入った金を机の上に置いた。
「いらねぇよ、手付金なんて。前金で全額もらう。それでいいな?」
弁護士は依頼人を信用しない。
故に、引き受ける際は必ず前金でもらう事にしている。達也もまた然り。
「分かりました。あの、こっちも質問なんですが…連絡先が無いっていうのは何故ですか?」
達也はスキンヘッドの男に言われた事を思い出した。
連絡が取れない、と。
「そんなもん必要ない。またここに来ればいいだけの事だ。いいな?」
「…はい」
名前を名乗らない、おまけに連絡先が無い。
不思議だ。
「では、また二日後ここに来ますので」
「おう、ちゃんと金用意してこいよ」
そう言うと、弁護士は再び新聞に目を通した。
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