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新たな出発
良い人達
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【セレブ相手の仕事だから、お金も今の給料の数倍は稼げるよ…】
オレは作業中、凜の言っていた言葉を思い出していた。
レンタルって聞こえはいいが、期間限定の身売りじゃないか。
確かに金は必要だ。
綺麗事を唱えるつもりはない。
だが、世の中金だけが全てじゃない。
どうして、オレの周りにいるヤツらは金の事しか頭にないのだろうか。
「おい、アンちゃん!昼だ昼!飯にしようぜっ!」
「はいっ!」
気がついたらもう昼になっていた。
オレはイヤな気分を紛らわすつもりで作業に取りかかっていたせいか、無我夢中で仕事をしていた。
「今日は随分と張り切ってるな。何か良い事あったのか?」
「おう、アンちゃん。オメー、彼女でも出来たのか?」
現場の連中がやたら張り切って作業してるオレの事を見てからかってきた。
「い、いや、そんな事ないっす…」
…何だかんだ言って、この雰囲気が一番良いような気がする。
ただ仕事が終われば学校に行かなきゃならない。
ましてや、隣には凜が座っている。
憂鬱だ。今日は学校に行きたくない気分だ。
昼飯を食べ終えて外に出る。
相変わらず灼熱の太陽がジリジリと肌を刺す。
ふと、空を見上げた。
オフクロはこの空の下の何処にいるのだろうか。
またオフクロに会いたい。
そして飢えた獣と化して、いつまでもセックスをしたい。
オフクロがいなくなった今、オレの性欲を満たしてくれる女なんて誰もいない。
そんな事を考えていたら、下半身が熱くなり、勃起していた。
こんなとこで勃起するなんて、オレはよっぽどオフクロの裸体とテクニックに溺れていたのだろう。
休憩が終わるまでに気を沈めなければ。
「おい、アンちゃん!どうした、ボケーっとして」
中年の現場作業員がオレを見て話し掛けてきた。
「いや、別に何も…ただいい天気だなぁって」
「そんな暑いとこに居たら熱中症になるぞ!こっちは日陰で涼しいから、こっちに来い!」
日陰に移って作業員の隣に座った。
心地よい風が汗だくの身体をクールダウンさせてくれる。
作業員は空を見上げ、タバコの煙を吐き出した。
「ところで仕事は慣れたか?」
「ええ、まぁ何とかですが、前より身体が鍛えられたというか、それほどキツくは感じなくなったですね」
「そうか、まだ若いんだからな。仕事もいいけど、たまには外で遊んでこいよ。いっぱい働いて、いっぱい遊んでこい」
オレの背中をバンと叩くと、横になって昼寝をした。
いっぱい働いて、いっぱい遊ぶか…
何かいい言葉だな。
オレはこの現場の人達が良い人ばかりで、まだガキのオレに親切丁寧に仕事を教えてくれる。
親子程の年は離れているが、オレを一人の男として扱ってくれている。
前にいた型枠大工の連中とはえらい違いだ。
出来れば、ずっとここで働いていたい。
夕方になれば、早く学校に行け、遅刻するぞっ!と快く送り出してくれる。
オレが学校に行ってる間も、残業で夜遅くまで仕事している時だってある。
何だか申し訳ない気持ちになる。
以前、「仕事が忙しいなら、今日は休んで残業します」と言ったら、「余計な事気にしないで勉強してこい!」と言われた。
この人達はオレの事を思ってそう言ってくれている。
誰も信じないと思っているが、出来るだけ、この人達の為に早く一人前になって恩返しだけはしないと。
そう思える程、良い人ばかりだ。
だから、金だけじゃないんだ。
金ばかりの事を考えて死んでいった兄の二の舞にはなりたくない。
そんな事をボンヤリと考えているうちに、昼休憩が終わり、仕事を再開した。
どんなにキツかろうが、大変だろうが、今のオレにはこの仕事が性に合ってる。
なりふり構わず、汗をかいて、イヤな事を思い出してる暇も無い程、作業してる方が楽だ。
「おい、アンちゃん!そろそろ時間だぞ!早く学校行ってこい!」
夕方になり、作業員の人がオレに時間だと教えてくれた。
学校か…今日は行きたくないな。
「ほら、早く支度して学校行かないと遅れるぞ!」
「あ、はい!ではお先に失礼します」
「おう、お疲れ!ちゃんと勉強してこいよ!」
「はい、お疲れ様です」
仕方ない、ああやって気持ちよく送り出してくれるんだ。
それに鴨志田とは高校だけは卒業してくれって約束したからな。
オレは顔を洗い、シャツを着替えて学校に向かった。
教室に入ると、凜がオレを見て何か言いかけようとしていた。
が、オレは無視してバッグから教科書とノートを出して授業が始まるのを待った。
「古賀くん、お疲れ様。この前の話だけど、やっぱりダメかな?」
オレは黒板の方を見たまま、無視をした。
「やっぱりダメかぁ。古賀くんならかなり稼げると思ったんだけどなぁ」
うるさいヤツだ。頭の中は金しか無いのか。
オレはノートのページを破り、そこに書き込んで凜に渡した。
【もう2度と関わるな、話しかけるな!】
それを見た凜は、悲しい表情を浮かべ、今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
だが、オレには知ったこっちゃない。
何がレンタルだ!人は貸し借りする物じゃないんだ!
どこの誰とも知らないヤツと1ヶ月過ごすなんて出来るか。
確かに凜の言う事を額面通りに受けとれば、美味しい話だろう。
だが、実際はどうなのか。
大方、性欲処理の道具扱いだけじゃなく、かなり屈辱的な事も強いられるだろう。
そんな上手い話があるワケがない。
セレブを相手に何をさせられるのか。
下手すりゃ人格的におかしいヤツも中にはいるだろう。
そんなヤツと生活なんてしたら、気が狂いそうだ。
オレは授業が始まり、下校するまで凜の方を一切見ないでひたすら黒板に書かれていた事をノートに書き移していた。
オレは作業中、凜の言っていた言葉を思い出していた。
レンタルって聞こえはいいが、期間限定の身売りじゃないか。
確かに金は必要だ。
綺麗事を唱えるつもりはない。
だが、世の中金だけが全てじゃない。
どうして、オレの周りにいるヤツらは金の事しか頭にないのだろうか。
「おい、アンちゃん!昼だ昼!飯にしようぜっ!」
「はいっ!」
気がついたらもう昼になっていた。
オレはイヤな気分を紛らわすつもりで作業に取りかかっていたせいか、無我夢中で仕事をしていた。
「今日は随分と張り切ってるな。何か良い事あったのか?」
「おう、アンちゃん。オメー、彼女でも出来たのか?」
現場の連中がやたら張り切って作業してるオレの事を見てからかってきた。
「い、いや、そんな事ないっす…」
…何だかんだ言って、この雰囲気が一番良いような気がする。
ただ仕事が終われば学校に行かなきゃならない。
ましてや、隣には凜が座っている。
憂鬱だ。今日は学校に行きたくない気分だ。
昼飯を食べ終えて外に出る。
相変わらず灼熱の太陽がジリジリと肌を刺す。
ふと、空を見上げた。
オフクロはこの空の下の何処にいるのだろうか。
またオフクロに会いたい。
そして飢えた獣と化して、いつまでもセックスをしたい。
オフクロがいなくなった今、オレの性欲を満たしてくれる女なんて誰もいない。
そんな事を考えていたら、下半身が熱くなり、勃起していた。
こんなとこで勃起するなんて、オレはよっぽどオフクロの裸体とテクニックに溺れていたのだろう。
休憩が終わるまでに気を沈めなければ。
「おい、アンちゃん!どうした、ボケーっとして」
中年の現場作業員がオレを見て話し掛けてきた。
「いや、別に何も…ただいい天気だなぁって」
「そんな暑いとこに居たら熱中症になるぞ!こっちは日陰で涼しいから、こっちに来い!」
日陰に移って作業員の隣に座った。
心地よい風が汗だくの身体をクールダウンさせてくれる。
作業員は空を見上げ、タバコの煙を吐き出した。
「ところで仕事は慣れたか?」
「ええ、まぁ何とかですが、前より身体が鍛えられたというか、それほどキツくは感じなくなったですね」
「そうか、まだ若いんだからな。仕事もいいけど、たまには外で遊んでこいよ。いっぱい働いて、いっぱい遊んでこい」
オレの背中をバンと叩くと、横になって昼寝をした。
いっぱい働いて、いっぱい遊ぶか…
何かいい言葉だな。
オレはこの現場の人達が良い人ばかりで、まだガキのオレに親切丁寧に仕事を教えてくれる。
親子程の年は離れているが、オレを一人の男として扱ってくれている。
前にいた型枠大工の連中とはえらい違いだ。
出来れば、ずっとここで働いていたい。
夕方になれば、早く学校に行け、遅刻するぞっ!と快く送り出してくれる。
オレが学校に行ってる間も、残業で夜遅くまで仕事している時だってある。
何だか申し訳ない気持ちになる。
以前、「仕事が忙しいなら、今日は休んで残業します」と言ったら、「余計な事気にしないで勉強してこい!」と言われた。
この人達はオレの事を思ってそう言ってくれている。
誰も信じないと思っているが、出来るだけ、この人達の為に早く一人前になって恩返しだけはしないと。
そう思える程、良い人ばかりだ。
だから、金だけじゃないんだ。
金ばかりの事を考えて死んでいった兄の二の舞にはなりたくない。
そんな事をボンヤリと考えているうちに、昼休憩が終わり、仕事を再開した。
どんなにキツかろうが、大変だろうが、今のオレにはこの仕事が性に合ってる。
なりふり構わず、汗をかいて、イヤな事を思い出してる暇も無い程、作業してる方が楽だ。
「おい、アンちゃん!そろそろ時間だぞ!早く学校行ってこい!」
夕方になり、作業員の人がオレに時間だと教えてくれた。
学校か…今日は行きたくないな。
「ほら、早く支度して学校行かないと遅れるぞ!」
「あ、はい!ではお先に失礼します」
「おう、お疲れ!ちゃんと勉強してこいよ!」
「はい、お疲れ様です」
仕方ない、ああやって気持ちよく送り出してくれるんだ。
それに鴨志田とは高校だけは卒業してくれって約束したからな。
オレは顔を洗い、シャツを着替えて学校に向かった。
教室に入ると、凜がオレを見て何か言いかけようとしていた。
が、オレは無視してバッグから教科書とノートを出して授業が始まるのを待った。
「古賀くん、お疲れ様。この前の話だけど、やっぱりダメかな?」
オレは黒板の方を見たまま、無視をした。
「やっぱりダメかぁ。古賀くんならかなり稼げると思ったんだけどなぁ」
うるさいヤツだ。頭の中は金しか無いのか。
オレはノートのページを破り、そこに書き込んで凜に渡した。
【もう2度と関わるな、話しかけるな!】
それを見た凜は、悲しい表情を浮かべ、今にも泣き出しそうな雰囲気だった。
だが、オレには知ったこっちゃない。
何がレンタルだ!人は貸し借りする物じゃないんだ!
どこの誰とも知らないヤツと1ヶ月過ごすなんて出来るか。
確かに凜の言う事を額面通りに受けとれば、美味しい話だろう。
だが、実際はどうなのか。
大方、性欲処理の道具扱いだけじゃなく、かなり屈辱的な事も強いられるだろう。
そんな上手い話があるワケがない。
セレブを相手に何をさせられるのか。
下手すりゃ人格的におかしいヤツも中にはいるだろう。
そんなヤツと生活なんてしたら、気が狂いそうだ。
オレは授業が始まり、下校するまで凜の方を一切見ないでひたすら黒板に書かれていた事をノートに書き移していた。
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