快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

sky-high

文字の大きさ
118 / 189
流浪の如く

仕事そっちのけでケンカ

しおりを挟む
翌日、鴨志田の墓に訪れた。

あれから、七年が経過した。

墓石を綺麗に磨き、水を掛け、線香を上げた。

(先生…いやオフクロ…やっぱ先生だな。もう23才になった。相変わらず、オレはろくでなしだよ。何をすればいいのか分からないよ。
でも、こうやってまた先生の所に来てるって事は、何かやらなきゃならないって事なんだろうな?なぁ先生、オレはまたここに来るよ。ろくでもないヤツだけど、必ず来るよ。そうそう、まだ先生との約束果たしてないよな。もう少しだけ待っててくれないかな?
必ず高校は卒業するよ。それじゃ、また)

手を合わせ、心の中で鴨志田と会話をした。

何の為に生きているのか…一つだけ分かった事がある。
鴨志田と約束した、何があっても、高校は必ず卒業するという事だった。

その約束が果たせるのがいつになるのか。


帰り道、喉が乾いていたので、自販機でジュースを買った。

ガコンと音がして、下の取り出し口からジュースを取った。

「何だこれ、温いじゃねーか」

よく見ると、冷却中と表示されてあった。

隣の自販機では、オレと同じぐらいの年齢の男が自販機を開け、ジュースやコーヒー、お茶等を補充していた。ルート配送の仕事だろう。


冷たい物に代えてもらおうと思い、補充している男に声を掛けた。

「あの、隣の自販機でジュース買ったのはいいけど、まだ冷えてないんで、冷たいのと交換て出来るかな?」

隣で補充していた男はオレを見て、無愛想に冷たい物と交換してくれた。

オレは、男が自販機の中の飲み物を補充してるのをただ眺めていた。

「あの、何か?」

「いや、別に。ただ大変だなぁって」

段ボール一杯に入ってる缶のジュースを種類別に補充してるのを見て、あぁ、こういう仕事もあるんだなぁ、と感心しながら見ていた。

「あの、ちょっと作業の邪魔なんすけど、そこどいてもらえませんか?」

「あぁ、悪い悪い」

オレは場所を移し、補充している様子を見ていた。

よくある日常的な光景だが、どういうワケか新鮮に見えた。

運転しながら、各自販機の中の飲み物を補充する。
免許はあるから、オレでも出来る仕事かもしれない。

思いきって聞いてみた。

「あの、今ってその仕事募集してるのかな?」

「はぁっ?」

明らかに不機嫌そうな表情でオレを見た。
背はオレと大して変わらない。
ヤンキーみたいに、眉毛が細く、一重瞼で帽子を被っているが、金髪を覗かせていた。

「実は今、仕事を探してて、その様子を見ていたら、オレもこの仕事してみたいなぁって思って。募集してるかな?」

「…お宅何歳?」

それにしても、ぶっきらぼうなヤツだ。

「23だけど」

「…オレと同じか。仕事募集してるかどうか知らないけど、車に会社の名前と番号載ってるから直接電話してみたら?」

ヤンキーの側に停まってあった軽のバンに社名と連絡先が書いてあったので、連絡してみた。

「あ、もしもし。あの、そちらって人募集してます?えぇ、はい。今仕事を探してるんですけど…はい、今23才です。そうです、はい。
あ、面接ですか?明日でもいつでも大丈夫です。そうですか、じゃあ、よろしくお願いします」

運良く募集中で、明日面接する事になった。

「今電話したら、明日面接にきてくれって言われたよ」

「あ、そう。言っとくけど、この仕事楽じゃないよ。それでもいいなら、明日面接に行けば」

「随分とイヤな言い方するな。もしかしたら、一緒に仕事するようになるかもしれないだろ。どんな仕事なのか、作業してる様子を見ても邪魔になんないだろ?」

男の表情が変わった。

「ガタガタうるせぇヤツだな、おいっ!何なんだテメーは?仕事の邪魔だっつってんだろ、コラァ!」

「あぁ?様子見て何が悪いんだ?何キレてんだ、おい!」

オレたちは自販機の扉を開けっ放しにしたまま、掴み合いのケンカを始めた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...