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流浪の如く
仕事そっちのけでケンカ
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翌日、鴨志田の墓に訪れた。
あれから、七年が経過した。
墓石を綺麗に磨き、水を掛け、線香を上げた。
(先生…いやオフクロ…やっぱ先生だな。もう23才になった。相変わらず、オレはろくでなしだよ。何をすればいいのか分からないよ。
でも、こうやってまた先生の所に来てるって事は、何かやらなきゃならないって事なんだろうな?なぁ先生、オレはまたここに来るよ。ろくでもないヤツだけど、必ず来るよ。そうそう、まだ先生との約束果たしてないよな。もう少しだけ待っててくれないかな?
必ず高校は卒業するよ。それじゃ、また)
手を合わせ、心の中で鴨志田と会話をした。
何の為に生きているのか…一つだけ分かった事がある。
鴨志田と約束した、何があっても、高校は必ず卒業するという事だった。
その約束が果たせるのがいつになるのか。
帰り道、喉が乾いていたので、自販機でジュースを買った。
ガコンと音がして、下の取り出し口からジュースを取った。
「何だこれ、温いじゃねーか」
よく見ると、冷却中と表示されてあった。
隣の自販機では、オレと同じぐらいの年齢の男が自販機を開け、ジュースやコーヒー、お茶等を補充していた。ルート配送の仕事だろう。
冷たい物に代えてもらおうと思い、補充している男に声を掛けた。
「あの、隣の自販機でジュース買ったのはいいけど、まだ冷えてないんで、冷たいのと交換て出来るかな?」
隣で補充していた男はオレを見て、無愛想に冷たい物と交換してくれた。
オレは、男が自販機の中の飲み物を補充してるのをただ眺めていた。
「あの、何か?」
「いや、別に。ただ大変だなぁって」
段ボール一杯に入ってる缶のジュースを種類別に補充してるのを見て、あぁ、こういう仕事もあるんだなぁ、と感心しながら見ていた。
「あの、ちょっと作業の邪魔なんすけど、そこどいてもらえませんか?」
「あぁ、悪い悪い」
オレは場所を移し、補充している様子を見ていた。
よくある日常的な光景だが、どういうワケか新鮮に見えた。
運転しながら、各自販機の中の飲み物を補充する。
免許はあるから、オレでも出来る仕事かもしれない。
思いきって聞いてみた。
「あの、今ってその仕事募集してるのかな?」
「はぁっ?」
明らかに不機嫌そうな表情でオレを見た。
背はオレと大して変わらない。
ヤンキーみたいに、眉毛が細く、一重瞼で帽子を被っているが、金髪を覗かせていた。
「実は今、仕事を探してて、その様子を見ていたら、オレもこの仕事してみたいなぁって思って。募集してるかな?」
「…お宅何歳?」
それにしても、ぶっきらぼうなヤツだ。
「23だけど」
「…オレと同じか。仕事募集してるかどうか知らないけど、車に会社の名前と番号載ってるから直接電話してみたら?」
ヤンキーの側に停まってあった軽のバンに社名と連絡先が書いてあったので、連絡してみた。
「あ、もしもし。あの、そちらって人募集してます?えぇ、はい。今仕事を探してるんですけど…はい、今23才です。そうです、はい。
あ、面接ですか?明日でもいつでも大丈夫です。そうですか、じゃあ、よろしくお願いします」
運良く募集中で、明日面接する事になった。
「今電話したら、明日面接にきてくれって言われたよ」
「あ、そう。言っとくけど、この仕事楽じゃないよ。それでもいいなら、明日面接に行けば」
「随分とイヤな言い方するな。もしかしたら、一緒に仕事するようになるかもしれないだろ。どんな仕事なのか、作業してる様子を見ても邪魔になんないだろ?」
男の表情が変わった。
「ガタガタうるせぇヤツだな、おいっ!何なんだテメーは?仕事の邪魔だっつってんだろ、コラァ!」
「あぁ?様子見て何が悪いんだ?何キレてんだ、おい!」
オレたちは自販機の扉を開けっ放しにしたまま、掴み合いのケンカを始めた。
あれから、七年が経過した。
墓石を綺麗に磨き、水を掛け、線香を上げた。
(先生…いやオフクロ…やっぱ先生だな。もう23才になった。相変わらず、オレはろくでなしだよ。何をすればいいのか分からないよ。
でも、こうやってまた先生の所に来てるって事は、何かやらなきゃならないって事なんだろうな?なぁ先生、オレはまたここに来るよ。ろくでもないヤツだけど、必ず来るよ。そうそう、まだ先生との約束果たしてないよな。もう少しだけ待っててくれないかな?
必ず高校は卒業するよ。それじゃ、また)
手を合わせ、心の中で鴨志田と会話をした。
何の為に生きているのか…一つだけ分かった事がある。
鴨志田と約束した、何があっても、高校は必ず卒業するという事だった。
その約束が果たせるのがいつになるのか。
帰り道、喉が乾いていたので、自販機でジュースを買った。
ガコンと音がして、下の取り出し口からジュースを取った。
「何だこれ、温いじゃねーか」
よく見ると、冷却中と表示されてあった。
隣の自販機では、オレと同じぐらいの年齢の男が自販機を開け、ジュースやコーヒー、お茶等を補充していた。ルート配送の仕事だろう。
冷たい物に代えてもらおうと思い、補充している男に声を掛けた。
「あの、隣の自販機でジュース買ったのはいいけど、まだ冷えてないんで、冷たいのと交換て出来るかな?」
隣で補充していた男はオレを見て、無愛想に冷たい物と交換してくれた。
オレは、男が自販機の中の飲み物を補充してるのをただ眺めていた。
「あの、何か?」
「いや、別に。ただ大変だなぁって」
段ボール一杯に入ってる缶のジュースを種類別に補充してるのを見て、あぁ、こういう仕事もあるんだなぁ、と感心しながら見ていた。
「あの、ちょっと作業の邪魔なんすけど、そこどいてもらえませんか?」
「あぁ、悪い悪い」
オレは場所を移し、補充している様子を見ていた。
よくある日常的な光景だが、どういうワケか新鮮に見えた。
運転しながら、各自販機の中の飲み物を補充する。
免許はあるから、オレでも出来る仕事かもしれない。
思いきって聞いてみた。
「あの、今ってその仕事募集してるのかな?」
「はぁっ?」
明らかに不機嫌そうな表情でオレを見た。
背はオレと大して変わらない。
ヤンキーみたいに、眉毛が細く、一重瞼で帽子を被っているが、金髪を覗かせていた。
「実は今、仕事を探してて、その様子を見ていたら、オレもこの仕事してみたいなぁって思って。募集してるかな?」
「…お宅何歳?」
それにしても、ぶっきらぼうなヤツだ。
「23だけど」
「…オレと同じか。仕事募集してるかどうか知らないけど、車に会社の名前と番号載ってるから直接電話してみたら?」
ヤンキーの側に停まってあった軽のバンに社名と連絡先が書いてあったので、連絡してみた。
「あ、もしもし。あの、そちらって人募集してます?えぇ、はい。今仕事を探してるんですけど…はい、今23才です。そうです、はい。
あ、面接ですか?明日でもいつでも大丈夫です。そうですか、じゃあ、よろしくお願いします」
運良く募集中で、明日面接する事になった。
「今電話したら、明日面接にきてくれって言われたよ」
「あ、そう。言っとくけど、この仕事楽じゃないよ。それでもいいなら、明日面接に行けば」
「随分とイヤな言い方するな。もしかしたら、一緒に仕事するようになるかもしれないだろ。どんな仕事なのか、作業してる様子を見ても邪魔になんないだろ?」
男の表情が変わった。
「ガタガタうるせぇヤツだな、おいっ!何なんだテメーは?仕事の邪魔だっつってんだろ、コラァ!」
「あぁ?様子見て何が悪いんだ?何キレてんだ、おい!」
オレたちは自販機の扉を開けっ放しにしたまま、掴み合いのケンカを始めた。
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