58 / 76
第58話 呼び出された
しおりを挟む
今日は水曜日の放課後。
つまりダンジョン探索の休養日だ。そんな日は早めに家に帰ってのんびりするのが日課になっている。いや、友理奈とパーティーを組んでからはまだ休みはない。
友理奈と校舎を出るべく、俺が教室から廊下を恐る恐る覗き込む姿を見て、友理奈がクスクス笑う。
「何よ、銀治。そんなにビクビクして。今日は休養日なんだから、誰も追いかけてこないわよ。」
その言葉に安心して友理奈と共にクラスメイトと別れて教室を出ようとした。
「じゃあまた明日」
軽く手を振るが――その瞬間。
「だーれだっ!」
背後から突然目隠しされ、浅香の元気な声が響いた。
「浅香、何やってんだよ!」
文句を言いつつ手を振り払うと――
目の前には・・・確かに浅香がいた。
「あれ?」
困惑する俺に、浅香はニヤリと笑い指を振ってどやる。
「ぶぶー、ざーんねんでした!」
そして追撃だ。
「先輩、マック行きましょうよ!」
悪い笑みを浮かべる浅香。
「じゃあ、誰だ?」
恐る恐る振り向くと――そこには頬をポリポリ掻いている弘美の姿があった。
「え、弘美?」
浅香なら確かに背が低くて届かないが、弘美なら届く。いや、そういう問題じゃないだろ?と一人ツッコミを入れる。
それに、弘美ってこんなことをするようなヤツだったか?カタブツだと思っていたんだがと呟いた瞬間、浅香と弘美がハイタッチを交わしているのが見えた。
「なんか妙に気まずい……」と思ったのも束の間、弘美が「ごめんなさい」と小さな声で謝ってきた。
そこに友理奈も加わり、「マック、いいわね」と賛成。
「昨日、銀治からもらったお金があるし、奢るわよ」
友理奈がさらっと言い出すが、俺があげたんじゃなく稼ぎを分配しただけなんだが・・・
仕方がないので4人で食べに行くことになった。妙に楽しそうにしている3人を見ながら、俺は気が進まない気持ちを抱えつつ、校門を出る。
校門を出てスマホの電源を入れると、水木さんからLINEが届いていた。
「市河様、ギルドマスターが魔石の売買についてお話があるとのことです。なるべく早めにいらしてください。」
画面を覗き込んでいた弘美が、「早速スマホ使ってるんですね」と微笑む。
「ギルドマスターから呼び出されたみたいだ」
3人に画面を見せると、浅香が手を叩く。
「じゃあ4人でギルドに行こうよ!」
提案すると、3人は頷く。
俺は少し嫌な予感を覚えつつぼそっと呟く。
「今回のギルドマスターからの呼び出しって普通俺が1人で行くんじゃないのか?」
そう呟くが、浅香と友理奈に手を引っ張られ、弘美に肩を押された。ほれもあり、まあいいっかと、4人でギルドに向かうことに。
ギルドに到着すると、水木さんが笑顔で迎えてくれた。
「市河様、こちらへどうぞ。」
奥の部屋に通され、ギルドマスターから本題を切り出される。
「魔石の売買についての確認だが、今回の分は税金20%を差し引いても、最終的に3,000万円ちょいになる。」
一瞬、空気が凍る。
「3…3000万?」
俺が呟くと、友理奈、浅香、弘美の3人も固まっていた。
ギルドマスターが手際よく書類を出してくると、浅香が「これ、冗談じゃないですよね?」と目を丸くする。
友理奈も驚きを隠せなかった。「3…3000万…そんなの、初めて見たわ」と呟く。
俺自身も頭が追いつかず、「これで家買えるよな……」と無意識に口にしていた・・・
つまりダンジョン探索の休養日だ。そんな日は早めに家に帰ってのんびりするのが日課になっている。いや、友理奈とパーティーを組んでからはまだ休みはない。
友理奈と校舎を出るべく、俺が教室から廊下を恐る恐る覗き込む姿を見て、友理奈がクスクス笑う。
「何よ、銀治。そんなにビクビクして。今日は休養日なんだから、誰も追いかけてこないわよ。」
その言葉に安心して友理奈と共にクラスメイトと別れて教室を出ようとした。
「じゃあまた明日」
軽く手を振るが――その瞬間。
「だーれだっ!」
背後から突然目隠しされ、浅香の元気な声が響いた。
「浅香、何やってんだよ!」
文句を言いつつ手を振り払うと――
目の前には・・・確かに浅香がいた。
「あれ?」
困惑する俺に、浅香はニヤリと笑い指を振ってどやる。
「ぶぶー、ざーんねんでした!」
そして追撃だ。
「先輩、マック行きましょうよ!」
悪い笑みを浮かべる浅香。
「じゃあ、誰だ?」
恐る恐る振り向くと――そこには頬をポリポリ掻いている弘美の姿があった。
「え、弘美?」
浅香なら確かに背が低くて届かないが、弘美なら届く。いや、そういう問題じゃないだろ?と一人ツッコミを入れる。
それに、弘美ってこんなことをするようなヤツだったか?カタブツだと思っていたんだがと呟いた瞬間、浅香と弘美がハイタッチを交わしているのが見えた。
「なんか妙に気まずい……」と思ったのも束の間、弘美が「ごめんなさい」と小さな声で謝ってきた。
そこに友理奈も加わり、「マック、いいわね」と賛成。
「昨日、銀治からもらったお金があるし、奢るわよ」
友理奈がさらっと言い出すが、俺があげたんじゃなく稼ぎを分配しただけなんだが・・・
仕方がないので4人で食べに行くことになった。妙に楽しそうにしている3人を見ながら、俺は気が進まない気持ちを抱えつつ、校門を出る。
校門を出てスマホの電源を入れると、水木さんからLINEが届いていた。
「市河様、ギルドマスターが魔石の売買についてお話があるとのことです。なるべく早めにいらしてください。」
画面を覗き込んでいた弘美が、「早速スマホ使ってるんですね」と微笑む。
「ギルドマスターから呼び出されたみたいだ」
3人に画面を見せると、浅香が手を叩く。
「じゃあ4人でギルドに行こうよ!」
提案すると、3人は頷く。
俺は少し嫌な予感を覚えつつぼそっと呟く。
「今回のギルドマスターからの呼び出しって普通俺が1人で行くんじゃないのか?」
そう呟くが、浅香と友理奈に手を引っ張られ、弘美に肩を押された。ほれもあり、まあいいっかと、4人でギルドに向かうことに。
ギルドに到着すると、水木さんが笑顔で迎えてくれた。
「市河様、こちらへどうぞ。」
奥の部屋に通され、ギルドマスターから本題を切り出される。
「魔石の売買についての確認だが、今回の分は税金20%を差し引いても、最終的に3,000万円ちょいになる。」
一瞬、空気が凍る。
「3…3000万?」
俺が呟くと、友理奈、浅香、弘美の3人も固まっていた。
ギルドマスターが手際よく書類を出してくると、浅香が「これ、冗談じゃないですよね?」と目を丸くする。
友理奈も驚きを隠せなかった。「3…3000万…そんなの、初めて見たわ」と呟く。
俺自身も頭が追いつかず、「これで家買えるよな……」と無意識に口にしていた・・・
31
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる