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第52話 水球と収納できない巨大骨
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翌朝。
たっぷり睡眠を取ったからか、昨晩のことが嘘のように雫ちゃんはケロッとしていた。
逆に俺の方が、緊張と腕の痺れで寝不足気味だったが……まあ、彼女の笑顔が見れるなら安いものだ。
ウエスで顔を拭い、朝食を終えた後。俺たちは昨日の続き――魔法の検証を行うことにした。
「しかし、驚いたな。まさか『水魔法』まで使えるとは。……雫ちゃん、他にはどんな魔法が使えるんだい?」
俺が尋ねると、雫ちゃんは少し困ったように眉を下げた。
「それが……私にもよく分からないんです。必要な時に『あ、これ知ってる』って感じで、頭の中に浮かんでくるというか……」
整理用のタグがないため、自分でも全容を把握できていないらしい。
俺たちは手探りで検証を始めた。
「じゃあ、ファンタジーの定番だ。『ファイアボール』!」
……シーン。
「『ウィンドカッター』!」
……シーン。
どうやら火や風は使えないらしい。
次に、昨日使ったものを試す。
「『アイスボール』!」
ヒュンッ。野球ボール大の氷塊が出現。これは確定だ。
「次、水系統だ。『ウォーターボール』!」
「『ウォーターボール』!」
ボヨン、と音を立てて、空中にビーチボールくらいの大きさの水球が出現した。もちろん雫ちゃんから出た。
「おお、出たな」
「出ました! ……でもこれ、ただの水ですよね?」
雫ちゃんが不思議そうに水球をつつく。
確かに攻撃力はなさそうだ。だが、俺は別の使い方を思いついた。
「いや、大きさを見てみろ。人の頭がすっぽり入るサイズだ」
「え? ……あ」
「敵の顔面にこれを被せて固定すれば、無音で『窒息』を狙えるかもしれない。……音を出したくない時の暗殺向きだな」
「ひぃっ……! さ、佐東さん、発想が怖いです……!」
雫ちゃんが慌てて水球を消した。
とりあえず、攻撃魔法は『氷』と『水』がメインのようだ。
・
・
・
「さて……魔法の検証も終わったし、もう一つ試したいことがある」
俺は立ち上がり、雫ちゃんとボス部屋へ。
中央――広大な空間に鎮座する、あの巨大なドラゴンの骨を見上げた。
「前々から考えてたんだが、この骨、素材として回収できないかと思ってな。俺のインベントリじゃ無理だが、雫ちゃんの『アイテムボックス』なら入るんじゃないか?」
「あ、いいですね! やってみます!」
雫ちゃんは意気揚々とドラゴンの巨体――太い大腿骨のあたりに歩み寄り、ペタリと手を触れた。
「えいっ!」
……シーン。
何も起きない。
「……あれ? 容量オーバーかな? もう一度。えいっ!」
やはり、反応がない。
「おかしいな……」
俺はふと足元に転がっていた「本体から欠け落ちた骨の破片」を拾い上げた。
長さ50センチほどの、肋骨の一部だ。
「雫ちゃん、こっちはどうだ?」
雫ちゃんがその破片を受け取り、収納を念じる。
シュンッ。
一瞬で消えた。
「あ、入りました」
「……破片は入る。でも、本体は入らない?」
俺の中に、戦慄が走った。
雫ちゃんのアイテムボックスは、通常「アイテム(無機物や死体)」しか入らないはずだ。
生物は入らない。
ゴブリンやリザードマンは入った。つまり「死体」判定だった。
じゃあ、なぜこの骨は入らない?
まるで、システムが「これはアイテム(死体)ではない」と判定しているかのように思える。
・
・
・
「……雫ちゃん、離れろ」
「え?」
「急いで安全地帯に戻るぞ。走るんだ!そいつまだ生きているぞ!」
俺たちはドラゴンの骨から弾かれたように背を向け、安全地帯へと駆け込んだ。
あの骨は、ただのオブジェクトじゃない。
もしかしたら、生きている可能性が高いと気が付き、血相変えて安全地帯へと走った。
俺たちは、とんでもない爆弾の隣で寝ていたのだ。まあ、安全地帯だと思うから、動き出してもここにはこれないと思う。そうだよね?誰かそうだと言って!
その事実に気が付いた俺たちは、恐怖に体を震わせた。
たっぷり睡眠を取ったからか、昨晩のことが嘘のように雫ちゃんはケロッとしていた。
逆に俺の方が、緊張と腕の痺れで寝不足気味だったが……まあ、彼女の笑顔が見れるなら安いものだ。
ウエスで顔を拭い、朝食を終えた後。俺たちは昨日の続き――魔法の検証を行うことにした。
「しかし、驚いたな。まさか『水魔法』まで使えるとは。……雫ちゃん、他にはどんな魔法が使えるんだい?」
俺が尋ねると、雫ちゃんは少し困ったように眉を下げた。
「それが……私にもよく分からないんです。必要な時に『あ、これ知ってる』って感じで、頭の中に浮かんでくるというか……」
整理用のタグがないため、自分でも全容を把握できていないらしい。
俺たちは手探りで検証を始めた。
「じゃあ、ファンタジーの定番だ。『ファイアボール』!」
……シーン。
「『ウィンドカッター』!」
……シーン。
どうやら火や風は使えないらしい。
次に、昨日使ったものを試す。
「『アイスボール』!」
ヒュンッ。野球ボール大の氷塊が出現。これは確定だ。
「次、水系統だ。『ウォーターボール』!」
「『ウォーターボール』!」
ボヨン、と音を立てて、空中にビーチボールくらいの大きさの水球が出現した。もちろん雫ちゃんから出た。
「おお、出たな」
「出ました! ……でもこれ、ただの水ですよね?」
雫ちゃんが不思議そうに水球をつつく。
確かに攻撃力はなさそうだ。だが、俺は別の使い方を思いついた。
「いや、大きさを見てみろ。人の頭がすっぽり入るサイズだ」
「え? ……あ」
「敵の顔面にこれを被せて固定すれば、無音で『窒息』を狙えるかもしれない。……音を出したくない時の暗殺向きだな」
「ひぃっ……! さ、佐東さん、発想が怖いです……!」
雫ちゃんが慌てて水球を消した。
とりあえず、攻撃魔法は『氷』と『水』がメインのようだ。
・
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「さて……魔法の検証も終わったし、もう一つ試したいことがある」
俺は立ち上がり、雫ちゃんとボス部屋へ。
中央――広大な空間に鎮座する、あの巨大なドラゴンの骨を見上げた。
「前々から考えてたんだが、この骨、素材として回収できないかと思ってな。俺のインベントリじゃ無理だが、雫ちゃんの『アイテムボックス』なら入るんじゃないか?」
「あ、いいですね! やってみます!」
雫ちゃんは意気揚々とドラゴンの巨体――太い大腿骨のあたりに歩み寄り、ペタリと手を触れた。
「えいっ!」
……シーン。
何も起きない。
「……あれ? 容量オーバーかな? もう一度。えいっ!」
やはり、反応がない。
「おかしいな……」
俺はふと足元に転がっていた「本体から欠け落ちた骨の破片」を拾い上げた。
長さ50センチほどの、肋骨の一部だ。
「雫ちゃん、こっちはどうだ?」
雫ちゃんがその破片を受け取り、収納を念じる。
シュンッ。
一瞬で消えた。
「あ、入りました」
「……破片は入る。でも、本体は入らない?」
俺の中に、戦慄が走った。
雫ちゃんのアイテムボックスは、通常「アイテム(無機物や死体)」しか入らないはずだ。
生物は入らない。
ゴブリンやリザードマンは入った。つまり「死体」判定だった。
じゃあ、なぜこの骨は入らない?
まるで、システムが「これはアイテム(死体)ではない」と判定しているかのように思える。
・
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「……雫ちゃん、離れろ」
「え?」
「急いで安全地帯に戻るぞ。走るんだ!そいつまだ生きているぞ!」
俺たちはドラゴンの骨から弾かれたように背を向け、安全地帯へと駆け込んだ。
あの骨は、ただのオブジェクトじゃない。
もしかしたら、生きている可能性が高いと気が付き、血相変えて安全地帯へと走った。
俺たちは、とんでもない爆弾の隣で寝ていたのだ。まあ、安全地帯だと思うから、動き出してもここにはこれないと思う。そうだよね?誰かそうだと言って!
その事実に気が付いた俺たちは、恐怖に体を震わせた。
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