忘却の艦隊

KeyBow

文字の大きさ
11 / 85

第11話 ライナン星系激戦の行方

しおりを挟む
 そして数時間後ようやく、交戦宙域が近付いてきた。

「大佐、敵本隊と駐留艦隊まであと10分です」

 航法士が報告したが、これは最大射程での時間だ。

「了解した。各部署、準備を整えろ。新造艦と旧艦の隊列の入れ替えを完了させろ」

「了解しました」

 ダレン大佐が命令すると、各部署、艦から返事が返ってきた。

 ダレン大佐は深呼吸をし、自分が今何をするべきかを考えた。

 彼は自分がこの任務に適任かどうかを疑った。
  しかし、彼は自分に言い聞かせた。

「俺はできる。俺はこの艦隊を勝利に導く。俺はこの戦争を終わらせる!」

 彼はそう信じていた、いや、自己暗示を掛けたのだ。

「大佐、主砲発射準備完了です」

 程なくして戦術士が報告した。

「了解した。艦内の全クルーに告げる。本艦はこれより主砲を発射する。全員主砲発射に備えよ!これは訓練ではない。1度全電源が落ちる。無重力に備えよ!目標は敵本隊中央部。発射せよ!」

 ダレン大佐は照準を指示し、確認すると戦術士に命令した。

「了解しました。発射します。5、4、3、2、1、ファイヤ!」

 戦術士がカウントダウンの後、主砲発射用のトリガーを引いた。

 すると4つに開かれた砲身の中に貯められたエネルギーが集束され、フェニックスクラウンの主砲から超陽子共鳴ビームが発射された。

 その光は太陽よりも眩しく、宇宙に轟音を響かせ、その光の奔流は敵本隊の中心部に襲い掛かり、見方のすぐ近くにまで達していた。

 ビームがターゲットの敵艦に当たると、そこから光が弾け細かい網のように光が暴れ狂い、次々と敵艦を飲み込んでいく。

 敵の中心部の艦は精々握りこぶし大の破片に分解され、7割を消失させた。 

 光に包まれた敵艦は一瞬だけ耐えるも、すぐさま爆散し、或いは枯れ葉を握りつぶすが如く細かく砕けていった。
 渾身の一撃を放った側のフェニックスクラウンだが、停電に見舞われた。
 艦内は一瞬真っ暗になるも、数秒後に非常電力に切り替わったが、しかしながらこれは想定内の出来事だ。

 ダレン大佐はそのままブリッジで指揮を執った。 
 彼は残った3割の敵本隊の残りのうち、7割程がフェニックスクラウンに襲いかかってくると予測していた。
 今のフェニックスクラウンは、砲身やエネルギー関連装置の冷却にほぼすべてのエネルギーを使わざるを得なく、生命維持に必要な分以外が冷却に回されており、慣性で進んでいるに過ぎない。
 進路変更も不可だった。

「大佐、敵の7割の消失を確認。しかし敵本隊の残存艦の大多数が我々に接近して来ます」

「了解した。新造艦のうち1番から20番艦は旗艦護衛艦隊として旗艦を死守せよ!以後護衛艦隊はマクスロイ艦長が指揮せよ!新造艦の21番艦以降は敵本隊の残存艦と交戦せよ。尚21番艦に艦長がいれば分岐艦隊として指揮せよ!いなければ22番艦以降に指揮権を譲渡せよ!旧艦は敵を追撃する新造艦を援護せ。旧艦の戦艦のみによる分岐艦隊の指揮は1番艦の艦長、いなければ2番艦以降へ指揮権を譲渡せよ!、同様に巡航艦隊、駆逐艦隊も同様に1番艦の艦長が、いなければ以降の若番艦の艦長が指揮せよ!駐留艦隊は新造艦と逆側から敵本隊の残存艦を追撃し、戦闘能力か防御力を失った艦は防御に専念せよ!」

 戦術士が報告するとダレン大佐は直ぐに命令を出した。
 大まかな指示を出し、即席で艦種により分隊と分隊指揮官を決め、その分艦隊の指揮を任せた投。
 ダレンが指揮する第12特別輸送艦隊の艦種により安直な符号で呼んでいる。
 もちろん正式な符号もあるが、いちいちKDE28075は・・・等は長くてやっていられないので、艦種に対し1番からの通し番号が自動で割り振られていた。
 
「了解しました。命令を受理し、実行します」

 各部署や艦から返事が返ってきた。 
 何故今現在もダレン大佐が駐留艦隊へ命令を出しているかと言うと、旗艦が大破し、大佐以上の者と連絡が付かなくなっていた。
 どうやったのかはともかく、情報によると指揮艦がことごとく体当たりにて撃破されたのだ。
 真っ先に沈められたのは旗艦だった。
 正確には数艦に体当たりが成功すると、動きが変わったそうだ。

 旗艦の次に各分隊にいる少将以上の指揮官の乗る艦が沈められ、最先任が戦艦の艦長となった。
 戦艦の艦長は少佐から大佐で構成され、半分の艦が大破した段階で大佐が指揮する艦は全滅しており、この星系にいる航宙艦の指揮権を持つ中で最先任がダレンとなったからだ。

 そしてダレン大佐の指揮の下、敵本隊の残存艦との交戦が始まった。

 ダレン大佐は明かりの消えたブリッジで指揮を執った。 
 元の3割にまで減った敵艦を問題なく撃破することができると確信していた。

 駐留艦隊は敵本隊との戦闘で大きな損害を受けていたが、それでも戦意を失わなかった。

「倒された駐留艦隊の敵討ちを!」

 新造艦のクルーも士気は高かった。

 まだ全滅していないんだがなあと思うも、そこは突っ込んだらだめだろうな!ダレンはぼそっと呟いた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

処理中です...