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第14話 ジャンプ!
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しかし、ダレン大佐の命令に対し、各艦から反発が出た・・・
「重力ジャンプですか?それは無茶です!」
「恒星から近すぎます!重力ジャンプなんてできません!死ねとおっしゃるのですか?そんな事も分からないのですか?」
「どこに飛ぶかわかりません!死ぬかもしれません!」
「大佐、これには反対します!我々は戦闘を続けます!大破した僚艦にいる生存者は救助を求めています!助けましょう!」
各艦から様々な意見や抗議が飛び交った。
ダレン大佐はそれらを聞いて、選択肢が間違っていたら?と苦悩した。
彼は各艦の不安や恐怖を理解しているし、何よりこの位置での重力ジャンプには高いリスクがあるということを誰よりも知っていた。
しかし、ダレン大佐は重力ジャンプが生き残る唯一の方法だと確信していたし、他の方法があるにしろ、頭に浮かんでこないし他の方法を誰も告げようとはしない。
そうせねば超新星爆発で間違いなく死ぬと、恐怖に似た感情に支配されていた。
ただ、それを理解していない者を説得する自身がない。
もちろん最終的には可能だろうと思うし、そうできる。
最悪の場合は提督権限を使い、反対する艦長を解任し、別の者にやらせるだけだ。
しかし、それは悪手だ。
最大の問題は時間敵猶予が殆ど無いことにある。
彼はどうすべきか悩んだ。
各艦を説得するべきか?
それとも強制的に重力ジャンプを実行するべきか?
ダレン大佐は全艦に対し説得することを選び、各艦に重力ジャンプの必要性と安全性を説明し、全員の賛成を取り付ける道を選んだ。
時間的に最後の機会だ。
最悪、提督にも知らされておらず、工廠部の者でさえ一部の者にしか知らされていない強制コードを使い、操作権を奪う最大のタブーを考えた。
他に知っているのは元帥だけだ。
「全艦隊に告ぐ。知っての通り重力ジャンプとは恒星や惑星などの重力源を利用し、空間を歪めて移動することだ。通常のワープと違い、恒星の距離が規定より近くでは目的地や到着時間を正確に制御できない。そのため、重力ジャンプは恒星から遠い距離でしか行えない。恒星から近い距離で行うと、重力の影響でコースがずれたり、時間がずれたり、場合によっては消滅したりする危険があるから、システム的にも禁止されていて実行不可だ・・・」
重力ジャンプの原理とリスクを説明し始めた。
「しかし、我々は重力ジャンプを行うことができる。なぜなら、我々にはフェニックスクラウンがあり、健在だからだ。フェニックスクラウンはこの位置からでも重力ジャンプを可能にする装置を持っている。それを利用すれば重力ジャンプを敢行できる!」
ダレン大佐はフェニックスクラウンの特徴と能力を説明する。
「フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置は、恒星や惑星などの重力源から受ける重力波を逆転させ、空間を歪めることができる。それにより恒星から近い距離でも重力ジャンプを可能としている。ただ、今の重力異常下では目的地や到着時間は正確に制御できないが、それでも生き残る可能性は高くなる」
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置の仕組みと効果を説明した。
「しかし、フェニックスクラウンが持つ特殊な重力ジャンプ装置は通常使用できない。それは航宙軍の一部高官のみが知るセキュリティーコードが必要だからだ。通常提督と分岐隊の指揮官が知っているが、残念だが死んだか通信不能な艦にしかいない。しかしだ、俺は設計上知る必要があり、それがあるので戦闘中の艦の指揮を本来は取らない立場だった。俺は設計上のセキュリティーを知り尽くしていて、各種制限を解除することが可能なんだ」
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置の制限の解除方法を説明した。
「俺はそのセキュリティーコードを知っている。俺はフェニックスクラウンの設計者であり、工廠部門の現場の実質トップだ。その性能や特徴を最もよく知っている人物の1人だ。俺がそのセキュリティーコードを入力すれば、フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置が起動する。そして、我々は艦隊ごと一斉に重力ジャンプを敢行する。この場に留まれば間違いなく重力崩壊に巻き込まれる。残念だが、重力ジャンプができない艦を助ける術はない。違うな!観測結果を見ろ!どうみてもこの星系の恒星は間もなく超新星爆発を起こす。巻き込まれたら分子レベルに分解されて死ぬぞ。もうジャンプ出来ない者を救う時間も術もない。残念だがこれが現実だ!敵を討つためにも我々は生き延びねばならん!こんなことをしくさった奴らを滅ぼさねばならん!」
彼は自分の役割と計画を説明した。
「大佐、恒星が完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられなくなるまであと1分です」
航法士が声を震わせながら警告した。
「了解した。全艦、重力ジャンプの準備はできたか?反対する者は?・・・」
ダレン大佐は時間ギリギリまで問いかけた。
星系内の全域にセキュリティー解除のコードと、目標座標を送信した。
その中に死にたくなければ実行を押せというコメントをさり気なく付け加えた。
「はい、大佐。準備できました!」
各艦から了承した旨、返事が返ってきた。
最終的にダレン大佐の説得によって、各艦は重力ジャンプに同意した。
彼らは重力ジャンプにはリスクがあることを知っていたが、それでも生き残る可能性を掴むことを選んだ。
観測結果が星系の終焉を告げており、もしも反対する艦長がいたら、ブリッジクルーが反乱を起こし、即時に射殺ないし解任されただろうが、愚か者はいなかった。
「よし、では、重力ジャンプを敢行する。目標は第8惑星の裏側。そこでなら超新星爆発の衝撃から我々を守ってくれる。カウントダウンを始めろ!」
ダレン大佐は声を荒げて命令した。
恒星の位置と艦隊がいる位置関係から、恒星から見て惑星の裏に回れるのはここだけだった。
超新星爆発の衝撃波をやり過ごすのには惑星の裏側に隠れるしか無いと分かっていた。
「了解しました。カウントダウンを始めます」
航法士が言い、カウントダウンを始めた。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、ゼロ」
「全艦重力ジャンプ発動!」
ダレン大佐が叫んだ。
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置が発動した。
いや、通信を受信できた全ての艦でだ。
重力ジャンプを実行した影響で、全艦の周りの空間が歪んだ。
その瞬間、命令を受理した全艦は恒星から離れ、別の場所へと飛んだ。
彼らはどこに飛んだのか?何時に到着するのか?何が待っているのかわからなかった。
そして直ぐにジャンプアウトしたが、彼らは1つだけ確信したことがある。
それは【生き残った!】だ。
ただそれだけだが、確かに自分は呼吸をしていると、目の前に見える仲間が生きていると・・・
「重力ジャンプですか?それは無茶です!」
「恒星から近すぎます!重力ジャンプなんてできません!死ねとおっしゃるのですか?そんな事も分からないのですか?」
「どこに飛ぶかわかりません!死ぬかもしれません!」
「大佐、これには反対します!我々は戦闘を続けます!大破した僚艦にいる生存者は救助を求めています!助けましょう!」
各艦から様々な意見や抗議が飛び交った。
ダレン大佐はそれらを聞いて、選択肢が間違っていたら?と苦悩した。
彼は各艦の不安や恐怖を理解しているし、何よりこの位置での重力ジャンプには高いリスクがあるということを誰よりも知っていた。
しかし、ダレン大佐は重力ジャンプが生き残る唯一の方法だと確信していたし、他の方法があるにしろ、頭に浮かんでこないし他の方法を誰も告げようとはしない。
そうせねば超新星爆発で間違いなく死ぬと、恐怖に似た感情に支配されていた。
ただ、それを理解していない者を説得する自身がない。
もちろん最終的には可能だろうと思うし、そうできる。
最悪の場合は提督権限を使い、反対する艦長を解任し、別の者にやらせるだけだ。
しかし、それは悪手だ。
最大の問題は時間敵猶予が殆ど無いことにある。
彼はどうすべきか悩んだ。
各艦を説得するべきか?
それとも強制的に重力ジャンプを実行するべきか?
ダレン大佐は全艦に対し説得することを選び、各艦に重力ジャンプの必要性と安全性を説明し、全員の賛成を取り付ける道を選んだ。
時間的に最後の機会だ。
最悪、提督にも知らされておらず、工廠部の者でさえ一部の者にしか知らされていない強制コードを使い、操作権を奪う最大のタブーを考えた。
他に知っているのは元帥だけだ。
「全艦隊に告ぐ。知っての通り重力ジャンプとは恒星や惑星などの重力源を利用し、空間を歪めて移動することだ。通常のワープと違い、恒星の距離が規定より近くでは目的地や到着時間を正確に制御できない。そのため、重力ジャンプは恒星から遠い距離でしか行えない。恒星から近い距離で行うと、重力の影響でコースがずれたり、時間がずれたり、場合によっては消滅したりする危険があるから、システム的にも禁止されていて実行不可だ・・・」
重力ジャンプの原理とリスクを説明し始めた。
「しかし、我々は重力ジャンプを行うことができる。なぜなら、我々にはフェニックスクラウンがあり、健在だからだ。フェニックスクラウンはこの位置からでも重力ジャンプを可能にする装置を持っている。それを利用すれば重力ジャンプを敢行できる!」
ダレン大佐はフェニックスクラウンの特徴と能力を説明する。
「フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置は、恒星や惑星などの重力源から受ける重力波を逆転させ、空間を歪めることができる。それにより恒星から近い距離でも重力ジャンプを可能としている。ただ、今の重力異常下では目的地や到着時間は正確に制御できないが、それでも生き残る可能性は高くなる」
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置の仕組みと効果を説明した。
「しかし、フェニックスクラウンが持つ特殊な重力ジャンプ装置は通常使用できない。それは航宙軍の一部高官のみが知るセキュリティーコードが必要だからだ。通常提督と分岐隊の指揮官が知っているが、残念だが死んだか通信不能な艦にしかいない。しかしだ、俺は設計上知る必要があり、それがあるので戦闘中の艦の指揮を本来は取らない立場だった。俺は設計上のセキュリティーを知り尽くしていて、各種制限を解除することが可能なんだ」
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置の制限の解除方法を説明した。
「俺はそのセキュリティーコードを知っている。俺はフェニックスクラウンの設計者であり、工廠部門の現場の実質トップだ。その性能や特徴を最もよく知っている人物の1人だ。俺がそのセキュリティーコードを入力すれば、フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置が起動する。そして、我々は艦隊ごと一斉に重力ジャンプを敢行する。この場に留まれば間違いなく重力崩壊に巻き込まれる。残念だが、重力ジャンプができない艦を助ける術はない。違うな!観測結果を見ろ!どうみてもこの星系の恒星は間もなく超新星爆発を起こす。巻き込まれたら分子レベルに分解されて死ぬぞ。もうジャンプ出来ない者を救う時間も術もない。残念だがこれが現実だ!敵を討つためにも我々は生き延びねばならん!こんなことをしくさった奴らを滅ぼさねばならん!」
彼は自分の役割と計画を説明した。
「大佐、恒星が完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられなくなるまであと1分です」
航法士が声を震わせながら警告した。
「了解した。全艦、重力ジャンプの準備はできたか?反対する者は?・・・」
ダレン大佐は時間ギリギリまで問いかけた。
星系内の全域にセキュリティー解除のコードと、目標座標を送信した。
その中に死にたくなければ実行を押せというコメントをさり気なく付け加えた。
「はい、大佐。準備できました!」
各艦から了承した旨、返事が返ってきた。
最終的にダレン大佐の説得によって、各艦は重力ジャンプに同意した。
彼らは重力ジャンプにはリスクがあることを知っていたが、それでも生き残る可能性を掴むことを選んだ。
観測結果が星系の終焉を告げており、もしも反対する艦長がいたら、ブリッジクルーが反乱を起こし、即時に射殺ないし解任されただろうが、愚か者はいなかった。
「よし、では、重力ジャンプを敢行する。目標は第8惑星の裏側。そこでなら超新星爆発の衝撃から我々を守ってくれる。カウントダウンを始めろ!」
ダレン大佐は声を荒げて命令した。
恒星の位置と艦隊がいる位置関係から、恒星から見て惑星の裏に回れるのはここだけだった。
超新星爆発の衝撃波をやり過ごすのには惑星の裏側に隠れるしか無いと分かっていた。
「了解しました。カウントダウンを始めます」
航法士が言い、カウントダウンを始めた。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、ゼロ」
「全艦重力ジャンプ発動!」
ダレン大佐が叫んだ。
フェニックスクラウンの重力ジャンプ装置が発動した。
いや、通信を受信できた全ての艦でだ。
重力ジャンプを実行した影響で、全艦の周りの空間が歪んだ。
その瞬間、命令を受理した全艦は恒星から離れ、別の場所へと飛んだ。
彼らはどこに飛んだのか?何時に到着するのか?何が待っているのかわからなかった。
そして直ぐにジャンプアウトしたが、彼らは1つだけ確信したことがある。
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