ダンジョン配信スタッフやります!〜ぼっちだった俺だけど、二次覚醒したのでカリスマ配信者を陰ながら支える黒子的な存在になろうと思います〜

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第24話 エンカウント

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 ボス戦を終えその場、つまりボス部屋の中で休憩を取っていると、遠くから複数の足音が聞こえてくる。

 ボスを倒したことで扉が開き、若い男女5人組が中の様子をうかがっていた。

「誰か来たみたいね」

 乙姫が小声で言うと、扉の向こうから声が聞こえた。

「あれ、人しかいない・・・って、えっ?嘘?あの人倒れてない!? 怪我してる?・・・も、 もしかして死んでいるの!?」

 女性の1人が驚きの声を上げ、俺の方へ駆け寄ろうと慌てて走り出した。

「いやいや、死んでいないわよ」

 乙姫が立ち上がり、冷静に言葉を返すと彼女は俺の顔を見て言葉を返す。

「でも、動いてないし顔が真っ青じゃないですか!」

 女性はなおも心配そうに言うが、乙姫がやれやれと肩をすくめる。

「ただ休んでるだけよ。ボス戦で魔力を使い果たしたの。つまりちょっと疲れただけよ」

 その言葉に女性はほっとした表情を浮かべたが、すぐに乙姫の顔を見て驚きの声を上げた。

「あっ!瑞葉さんじゃないですか!?」

「貴女、先週、隣の席だったわね」

 乙姫は少し驚いた表情を浮かべる。

「そうです、た、田嶋沙織です! 先週、大学で隣の席に座っていたのに、こんなところで会うなんて奇遇ですね!」

 沙織が興奮した様子で乙姫に駆け寄り、手を握る。

「この格好、すごくカッコいいですね! ていうか、瑞葉さんが探索者だなんて知らなかったわ!」

「まあ、ペアでの活動を始めたばかりですからね」

 乙姫が照れ隠しのように笑うと、沙織はさらに興奮した様子で乙姫を見つめた。

「すごい・・・青山とは言えダンジョンボスを倒したなんて、もしかして瑞葉さんってDランクですか?」

 沙織が興味津々で聞いてくる。

「私? Cランクよ」

「えっ、Cランク!? すごい・・・!」

 沙織が驚きで目を見開く中、チャラそうな男が横から口を挟んできた。

「瑞葉さん、カッコいいっすね~。俺たち同じ大学のダン探サークルなんっすよ。今度ぜひ俺たちのサークルに参加しないっすか?」

 軽薄な口調で誘ってくる彼に、乙姫は軽く眉を上げた。

「サークルって・・・君たちまだ学生なのか?」

「ええ、そうっす! 俺たち同じ大学なんですよ~」

 彼が自慢げに話していると、沙織がふと俺を指さした。

「でも、その人・・・学生には見えないような」

「この人は土門さんよ。去年大学を卒業し。今は私とパーティーを組んでいて、彼がリーダーなの」

 乙姫が答えると、チャラ男は興味深そうに俺を見てきた。

「へえ~。瑞葉さんの相棒さん、もしかして俺等の先輩なんっすか?」

「まあ、そんなところだ」

 俺が適当に答えると、彼は「なるほど~」と納得したように頷いた。

 俺は大学生たちの見た目や装備から、彼らの強さを推し量った。装備はまだ初心者を脱却しようとしている段階で、経験も浅そうだ。特に沙織という乙姫の知人はその中でも一番危なっかしく見えた。この子なんか危なっかしくてほおって置けないな・・・と感じた。

 その後も沙織さんたちは雑談を続けたが、最終的に別の場所を探索するため立ち去ることにした。

「瑞葉さん、また大学でお話しましょう! それと土門さんもどこかで!」

 沙織が最後に微笑みながら言い、乙姫は軽く手を振った。

「ええ、また大学で」

 彼らが去った後、乙姫は少し肩をすくめた。

「まさか・・・大学の知り合いに会うなんて思わなかったわ」

「まあ、こういうこともあるんだろうな」

 俺はそれだけ言うと、再び目を閉じて休息を続けた。まだ戦闘ができる状態ではなかった・・・

 乙姫がため息をつきながら尋ねた。

「彼女のこと、気になる?」

「装備も初心者を脱却しようとしている感じがするし、危なっかしくてほおって置けない感じがするな。ダンジョンに入るの大丈夫なのか?」

 乙姫は微笑みながら頷いた。

「そうね。でも、彼女も成長するために頑張っているのよ」

「黒髪ロングで優しそうな顔立ち。薄幸美人タイプで、真面目で気が弱そうに見えるんだ。周りの奴はまるでタイプが違うから、彼女はあのメンツで大丈夫かと思っただけだ」

 俺はそれだけ言うと、再び目を閉じて休息を続けた。まだ戦闘ができる状態ではなかったが、その後ダンジョンを引き上げマンションへ戻った。
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