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廃病院⑦
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扉を開けると中には大きく如何にも堅牢な机が部屋の中心に置かれ、左右の壁には空っぽになった巨大な本棚とショーケースが残されていた。
「流石に中身は何も残されてませんね」
叶が語り掛けるように言うと、義人が嬉々として物色するように机や本棚を触って調べていく。
「何かありますか?」
「いや、特に何もないな」
叶が問い掛けたが、義人は不満そうに両手を広げて首を振っていた。
「じゃあ記念に写真ぐらい撮っとくか」
そう言って義人がスマホを取り出し構えるが、叶が遮るようにその前に立つ。
「すいません義人さん。こういう場所で軽率に記念写真とかはやめて頂きたいのですが」
「なっ……記念写真じゃなくて記録だ。それだったらいいだろ」
叶に苦言を呈され少し戸惑ったような義人だったが、すぐに言い直すと叶は下がり、義人は部屋の様子を数枚写真に収めていく。
記念にとか言ってたくせに……。
叶はそんな鬱屈した思いを心にしまい、写真を撮る義人を表情を変える事なく冷たい眼差しで見つめていた。
やがて義人が一通り写真に収め満足気な笑みを浮かべ、全員が待つ壁際へと歩み寄って来る。
「もういいですか?」
「ああ、そうだな」
叶が問い掛けたが、義人は今撮った写真を見返しながら空返事を返していた。
その後三階にある他の部屋等を見て回ったが特に変わった事もなかった為、一行は階段を降りて行き、再び二階へと戻って来る。
「さてと、では二階の探索に行きましょうか」
そう言って叶が歩いて行く中、義人は歩きながら先程撮っていた写真をスマホでもう一度見直していた。
そんな時、理事長室で撮った一枚の写真に義人は違和感を感じる。
「なんだ?何かおかしいような……」
その写真は部屋の西側から撮られ、机を物色するような秋義と手持ち無沙汰に東側の壁に立つ他の者達を収めていた。
怪訝な表情を浮かべる義人に、朱里が寄り添うようにしてスマホを覗き込む。
「何?どうしたの?」
「いや、これ何か違和感みたいなもん感じないか?」
そう言って義人はスマホを朱里に手渡した。朱里は眉根を寄せて画面を見つめるがすぐに首を傾げて義人にスマホを返した。
「特に何も分からなかったけど?」
「そうか、気のせいか」
そう言って義人はこの時自身の気のせいと思い込み、スマホをズボンのポケットにしまってしまう。
やがて一行は二階の突き当たりにある部屋の前で立ち止まり顔を見合わせていた。
部屋の扉はそれまでの物とは異なっており、扉の上には手術室と書かれていた。先頭に立つ叶が振り返り真剣な表情で全員に問い掛ける。
「正直に言います、嫌な予感しかしません。どうしますか?」
叶の表情を見てただならぬ雰囲気を感じ取った一行は、誰も声を発する事なく互いの顔を見合わせては戸惑う様な仕草をみせていた。
だがやがてしびれを切らしたかのように義人が声を上げる。
「それでも中に入らなきゃ調査の意味ないだろ?その為にあんたら二人に頼んでるんだ」
義人の言葉に叶は仕方なく従い扉を開けて手術室に入って行き、全員がその後に続いて行く。
そうして叶が手術室内を進んで行くと手術台のような物がある所に行き着いた。
手術台のような物の上には台を照らすように円形の照明も当時のまま設置されている。
暗い手術室には台と照明だけが残されているだけだったが妙な威圧感を感じ、叶は思わず後退りしてしまう。
「おぉ、ここが手術室か」
「何?手術台とか残ってんの?」
叶が部屋の入り口で尻込みしていたが、後ろにいた義人や朱里は待ちきれない様子で叶を追い越し部屋に入って行く。
「あっ、ちょっと待って――」
叶が義人達を制止しようと体を乗り出した瞬間、叶の目には有り得ない光景が飛び込んできた。
「流石に中身は何も残されてませんね」
叶が語り掛けるように言うと、義人が嬉々として物色するように机や本棚を触って調べていく。
「何かありますか?」
「いや、特に何もないな」
叶が問い掛けたが、義人は不満そうに両手を広げて首を振っていた。
「じゃあ記念に写真ぐらい撮っとくか」
そう言って義人がスマホを取り出し構えるが、叶が遮るようにその前に立つ。
「すいません義人さん。こういう場所で軽率に記念写真とかはやめて頂きたいのですが」
「なっ……記念写真じゃなくて記録だ。それだったらいいだろ」
叶に苦言を呈され少し戸惑ったような義人だったが、すぐに言い直すと叶は下がり、義人は部屋の様子を数枚写真に収めていく。
記念にとか言ってたくせに……。
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やがて義人が一通り写真に収め満足気な笑みを浮かべ、全員が待つ壁際へと歩み寄って来る。
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「なんだ?何かおかしいような……」
その写真は部屋の西側から撮られ、机を物色するような秋義と手持ち無沙汰に東側の壁に立つ他の者達を収めていた。
怪訝な表情を浮かべる義人に、朱里が寄り添うようにしてスマホを覗き込む。
「何?どうしたの?」
「いや、これ何か違和感みたいなもん感じないか?」
そう言って義人はスマホを朱里に手渡した。朱里は眉根を寄せて画面を見つめるがすぐに首を傾げて義人にスマホを返した。
「特に何も分からなかったけど?」
「そうか、気のせいか」
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