視える私と視えない君と

赤羽こうじ

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再会②

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 人影を見つめた三人だったが、幸太がすぐに叫んだ。

「叶さん!」

 幸太の声を聞き、向こうも幸太達に気付いたようだった。
 幸太は走り出し、遅れて嵯峨良と志穂も駆け寄る。

「えっ?なんで?幸太君?」

「叶さん!」

 驚き狼狽する叶に幸太が飛びつき抱き寄せると、志穂も声を掛ける。

「意外と元気そうね」

「志穂さん?なんでいるんですか?」

 目を丸くさせ、驚きながら問い掛ける叶に対して、志穂が少し呆れたように答える。

「なんでって、貴女達が行方不明になったって聞いたから急いで飛んで来たんじゃない」

「えっ?ちょっと待って下さい。私達が行方不明?いつの話ですか?」

「いつって、貴女が私に〝今から廃病院に入ります〟って連絡くれた日からでしょ。次の日に貴女達が帰って来ないって斗弥陀から連絡きたのよ。それで慌てて私と嵯峨良先生がこっちに来たのが昨日。そして今日、そちらの倉井幸太さんと会って廃病院に来て、今に至る感じなんだけど」

 志穂からの説明を聞き、叶は押し黙ると顎に手を添えながら思慮を巡らせる。

「……幸太君、ちょっと離してくれる?」

 自身を抱き締めたままの幸太を叶が優しく手で離すと、義人や秋義が見守っている方へゆっくりと振り向いた。

「聞きました?どうやら私達三日程行方不明になってたみたいなんですけど……」

 叶の問い掛けに全員顔を見合わせ困惑の表情を見せていた。

「いや、なんていうか、そんな筈ないよな……」

 困惑に満ちた表情のまま義人が逆に叶に問い掛けると、叶は苦笑いを浮かべて志穂の方へと向き直る。

「志穂さん、ご覧の通り皆さんかなり戸惑ってます。それもその筈、私達の体感では廃病院に入ってから数時間しか経ってない筈なんですから。それが廃病院から出て来たら日はまだ明るいし、ここに居るはずのない幸太君や志穂さんがいるし、正直訳がわかりません」

「……数時間?いいえ貴女からの連絡が途絶えて三日よ。明らかに何かがおかしいわね。中で何があったか教えてもらえるかしら?」

「ええ、もちろん」

 そう言って叶は嵯峨良と志穂に説明を始めた。廃病院に来てからずっと霊の気配がまとわりついていた事。建物内に入ってすぐに宇津崎紗奈が紛れ込んだ事。そして手術室での興梠の異変や中庭での祠の事。そして白骨化した遺体の事。
 それを聞いた嵯峨良は何度も頷き、志穂は頷き後ろにいる面々を見つめる。

「ふ~ん、確かに今いる方々は事前に聞いていた人数と合致するわね。しかし感知能力が高い貴女が珍しく惑わされるなんてね」

「それだけここはやばい場所だって事ですよ」

「まぁ確かにそうかもね。実際白骨化した遺体まであった訳だしね。まぁその辺は警察の仕事だからお任せするとして、インチキ霊媒師の興梠さんは大丈夫かしら?」

 そう言って叶の肩越しに志穂が興梠の様子を確認するが、興梠は視線を泳がせ上の空といった感じで呆けていた。

「どうなんでしょうか?治療出来そうですか?」

 興梠の方をチラリと見た叶が問い掛けるが、志穂は首を傾げていた。

「なんとかなりそうな気もするけどね。あんなインチキ霊媒師でも心配?私からしてみたら自業自得だと思うけど」

「そうかもしれませんけど、自分が参加した案件で負傷者や犠牲者が出るのは嫌なんですよ」

「なるほどねぇ。聞いてました先生?診てきてあげたらどうですか?」

「えっ、僕が?」

 突然振られ、戸惑う嵯峨良だったが、志穂は何も言わずに無言のまま笑顔で嵯峨良を見つめる。
 嵯峨良が「う~ん」と少し唸りながら興梠の方へと歩いて行くと叶が少し呆れたように志穂を見つめた。

「どっちが秘書なんですか?嵯峨良さん少し困ってませんでした?」

「仕方ないじゃない、ああいうのも先生のお仕事なんだし。私はあくまでも秘書、事務的な事やサポート、仕事の調整なんかが仕事なんだから」

 したり顔で当たり前のように言う志穂を見て、叶はため息をつくと苦笑いを浮かべた。
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