視える私と視えない君と

赤羽こうじ

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再会③

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「あ、あの叶さん、本当に大丈夫?」

 そんな二人のやり取りを横で見ていた幸太が少し遠慮がちに尋ねると、叶は眉尻を下げて破顔する。

「あ、ごめんごめん、放ったらかしになってたね。私は大丈夫だよ、ちょっと疲れたぐらい。心配した?」

「そりゃ心配するって。三日だよ。三日も連絡なかったんだから」

 指を三本立てて力説する幸太を見て、叶は少し眉根を寄せて困り顔をしつつも、笑っていた。

「はは、まぁそっか。私からしたら数時間ぐらいだったんだけどな。でもわざわざ来てくれたんだね、ありがとう」

「あら、彼氏には優しいのね。私達も心配して飛んで来たのに」

 少し笑みを浮かべて、わざわざそんな事を言う志穂に対して、叶は少し目を細めて冷笑を浮かべた。

「ええ、もちろん志穂さんにも感謝してますよ。それと知りませんでした?私志穂さんと違って優しいんですよ」

「あら私も優しいのよ。今朝もひとの彼氏に朝食ご馳走様して来たし」

 志穂の発言を聞いて困惑する幸太を一瞥いちべつし、志穂の方を向くと叶は眉根を寄せて問い詰める様に覗き込をんだ。

「えっ?聞いてないんだけど……ひとの彼氏捕まえて一緒にご飯食べてたんですか?」

「捕まえた訳じゃないわよ、一緒に行こっかって誘ったらついてきてくれたんだから。その後、一緒にドライブもしたのよ」

「うわぁキレそう……」

 冷たい瞳で蔑む様な眼差しを向ける叶に対して、志穂は少し口角を上げて幸太の方を見つめる。

「……倉井幸太さん、貴方の彼女、なんか全然優しくないんだけど?」

「陸奥方さん、僕を巻き込むのは勘弁してもらっていいですか?」

「おい、あんたら何の話してんだ!?」

 もっともな意見を言って義人が三人の会話に割って入ると、三人は揃って苦笑いを浮かべた。
 そんな中、志穂が一歩前に出る。

「これは失礼しました斗弥陀義人様。私、嵯峨良探偵事務所の陸奥方志穂と申します。あちらにいるのが当事務所の嵯峨良麻璃央先生です。この度はご無事で――」

「長い前口上はいい。とりあえず全員でウチが取ってあるホテルまで移動するからそこで話は聞かせてもらう」

 頭を下げて満面の笑みを浮かべ、丁寧に話し出した志穂を遮り、義人が急かすように言うと志穂は再び頭を下げ、叶は戸惑いの表情を浮かべた。

「え?私もそのホテルに行かなきゃいけないんでしょうか?廃病院の調査は終わったので帰って報告書の作成に移りたいんですが――」

「何言ってんだ?俺達に何が起こったのかあんたが説明しなきゃ分からないだろ?」

 少し語気を強めた義人に対して叶は一瞬顔をしかめたがすぐに頷き愛想笑いを浮かべる。
 そんなやり取りを見ていた志穂が前に出る。

「すいません、斗弥陀義人様。我々嵯峨良探偵事務所はどうさせてもらいましょう?出来れば元請けとして御一緒させて頂きたいのですが?」

「ああ、あんたらも来てもらおうか、その道の専門家なんだろ?」

「はい、ありがとうございます。それで我々と同行していた倉井幸太氏もよろしいでしょうか?彼だけ除け者にするのも忍びないですし、どうでしょう?」

「ああ、別にいいんじゃないか。今更一人二人増えた所で何も変わらんだろ」

「ありがとうございます」

 そう言って頭を下げる志穂と叶を尻目に義人は踵を返し歩き出した。
 頭を上げた叶は志穂の方を向くと再び頭を下げる。

「志穂さん幸太君の事までありがとうございます」

 深々と頭を下げる叶を見つめて志穂が口角を上げた。

「あら、素直にお礼言ってくれるんだ。どう?やっぱり私も優しいでしょ?まぁ彼氏の事が気になって貴女の仕事がいい加減になったら困るしね」

「ふふ、幸太君の事が気になっても仕事はちゃんとしますよ」

「まぁあとは倉井幸太さん良い人だからね」

 志穂は笑みを残して興梠を診ている嵯峨良の元へと歩んで行った。横でついていけずに佇む幸太を見つめると叶は微笑み「じゃあ行こうか」と言って歩き出した。幸太は少し戸惑いつつも叶の後をついて行く。
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