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斗弥陀邸にて②
しおりを挟む案内された自室で暫くゆっくりした後、叶は幸太の部屋を訪れていた。二人ソファに腰掛け他愛もない会話をしていると、隣の叶の部屋をノックする音が微かに聞こえてきた。
二人顔を合わせ暫くそっと聞き耳を立てているとそれは志穂だと気付く。
「鬼龍ちゃん、いないの?」
叶は苦笑いを浮かべながらゆっくりと立ち上がると扉を開け幸太の部屋から顔を覗かせた。
「志穂さんなんですか?」
「あれ?そっち?あっ、倉井君の部屋か!」
「そうですよ、何ですか?」
扉から顔だけを出して会話を続ける叶を見て、志穂は片方の口角を釣り上げにんまりと笑う。
「あっ、ごめんね、お邪魔だったかな?ひょっとして服着てないとか?」
「着てますよ!邪魔には変わりないですけどね」
志穂の軽口に対して叶は部屋から出て否定すると、志穂は歩み寄り、笑みを浮かべたまま近付くとそのまま幸太の部屋へと入って行く。
「そんな邪険にしないでってば。久しぶりに一緒に仕事するんだから仲良くしましょうよ」
そう言って志穂は部屋に入ると、幸太が座るソファの対面にあった一人掛けの椅子に腰掛けた。正面の幸太と目が合うと志穂は更ににこりと微笑む。
「ごめんね倉井君、お邪魔しちゃって。でも良かったわ、実際入ったら倉井君が上半身裸とかでベッドにいたらどうしようかと思ったから」
「実際そんな状況だったら初めから無視してますけどね」
叶は戻って来るなり、ふざける志穂に対して語気を強めて文句を言いつつ幸太の横に腰を下ろした。
「無視しないでよ、大事な用だったらどうすんのよ?」
「声のトーンで急用がどうかぐらい少しは分かりますよ」
「分かんないわよ。嵯峨良先生が死んじゃったとかなら私今ぐらいのトーンかもしれないじゃん」
「……それはもう少し慌ててあげて下さい」
叶が少し呆れた様にため息をつく。
「ふふふ、まぁ与太話はこれくらいにして本題に移りましょうか。まずは鬼龍ちゃんと、えっと……今更だけど倉井君て呼んでいいよね?」
志穂が幸太の方を指さし尋ねると、二人揃って「ええ」と言って頷く。
「まぁ二人共こっち来てすぐだから知らないでしょうけど、私達以外に霊能者が他に二人いるみたいなの」
「私達以外に?興梠さんじゃないですよね?」
叶の問い掛けに志穂は笑みを浮かべて首を振った。
「あのおじさんは京都で入院中よ。一人は中年女性の三条いつき。もう一人は三十前後かしら、ちょっとイケメンの神谷崎怜音」
「三条さんに神谷崎さんか……志穂さん面識は?」
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「まぁそうですよね。斗弥陀会長はそんなに霊能者を集めて何をするつもりなんですかね?」
「さぁね。まだ肝心の斗弥陀義将会長が出てきてないからなんとも。ただ、恐らくコレかなって予想は出来てるんだけどね」
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「じゃあもったいぶらずに教えてくださいよ」
「ふふふ、いいわよ。ついでに斗弥陀の相関図みたいなのも教えといてあげるわ」
自身を見つめていつもと変わらぬ笑顔を浮かべる志穂を見て、叶は漠然とした不安を覚えた。
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