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廃村 エピローグ 陸奥方志穂
しおりを挟む廃村と呼ばれる心霊スポットに向かった大学生達が行方不明になったと依頼を受け、私は嵯峨良先生と依頼者を車に乗せ、仕方なくその場所に向かっていた。
「む、陸奥方君、少し飛ばし過ぎじゃないかな?」
助手席に座る嵯峨良麻璃央先生がドアの上部にあるグリップを必死に握りながら何か言っていたが私は笑みを浮かべながら更にアクセルを踏み込んだ。
「えっ?何か言いましたか先生?行方不明になった大学生が心配ですからもうちょっと急ぎますね」
私達が乗る車は急な山道を更に加速しながら疾走して行く。
そうしてある分岐点まで来た所で車を停めると、車から降り古い祠の横を伸びる獣道を見つめた。
「この車じゃ入って行けないか」
暗い山の中へ伸びる細い獣道を見つめ呟いた。
無理矢理入って行けば行けなくもないが、車が傷付くのを嫌った私はそこで車で行くのを諦めた。
「先生、ここからは徒歩になりそうです。車に何かあったら嫌なんで、先生はここで車の番をお願いします」
「えっ?ああ、それはいいけど、陸奥方君は一人で大丈夫かい?」
助手席に乗っていただけで冷や汗をかきながら呼吸を乱してる男が何か言っていた。
「……ええ、寧ろ足枷がなくなって楽な物です。さぁ香月さんは一緒に行きましょうか」
私は依頼者を伴い山中へと入って行った。
依頼者である香月さんは神妙な面持ちで私の後を歩いていた。
「さて香月さん。折角ですから私がガイドでもしましょうか」
私が笑みを浮かべながら提案するが、香月さんは戸惑うような表情を見せた。
確かに暗い山中で行方不明になった友人を心霊スポットに探しに行くのだから私のテンションに違和感を感じるのも仕方ない。
だけど私は構わずそのまま続けた。
「今から向かう廃村と呼ばれる心霊スポットは、昭和初期に地図上からもなくなったいわく付きの場所です。噂では発狂した一人の男が村人達を次々に惨殺し、最後は男も自殺したとか言われてますが、実際は違います。
その村は山岳地帯にあった小さな村だったのですが、村の中である病が流行ってしまったのです。因みになんだと思いますか?」
「えっ?いや、ちょっとわかりません」
困惑しながら呟くように言った香月さんを見て、私は微笑んだ。
「結核です。今でこそ結核はそれ程恐れる病気ではありませんが、当時は不治の病と言われてましてね。結核が流行ってしまった村は周囲の村から敬遠され、村ごと隔離されたようになってしまったのです。
そして結核が蔓延してしまったその村では一人、また一人と結核によって亡くなっていき、最後は村人全員が結核によって命を落とす事になり村は事実上壊滅してしまったそうです。これが廃村となってしまった本当の理由です」
調べた廃村についての歴史を伝え終わると香月さんは眉根を寄せて困惑したような表情を浮かべていた。
そうして私が廃村について丁度話し終わる頃、私と香月さんは村の入口と言われる朽ちた鳥居へと辿り着いていた。
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