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縛られた想い
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「大変だ! 誰か救急車を!」
「大丈夫か!? 意識は?」
学校からの帰り道にある交差点で、また今日も事故が起きた。俺は遠巻きにそれを見つめながらため息をつく。
――またかよ。
一人呆れる様に呟いた。
この交差点では年に何回か事故が起こる。見通しも良く、信号機だってちゃんとある。なのに何故か事故は無くならなかった。一部では魔の交差点とか言い出す奴までいる始末だ。
「やっぱりここ、何かあるんじゃない?」
「亡くなった子を見たって人もいるぐらいだしね」
くだらない噂話をしている連中を俺は睨みつけた。本当は文句の一つぐらい言ってやりたかったが、何も知らない連中にそんな事を言った所で変な噂が消える訳でもないと思い、俺は拳を握りしめたまま唇を噛む。
丁度今ぐらいの季節だった。
俺は当時付き合っていた詩織と学校の帰りにこの交差点を通りかかった。いつもは逆方向にあるファーストフード店やカラオケに行くのが定番だったが、その日は理由もあって普段は通らないその交差点を詩織と二人で通りかかってしまった。そして俺達二人が横断していた時、交差点をトラックが曲がって侵入して来たんだ。
その瞬間、まるで世界はスローモーションの様になり俺はトラックの運転席に目をやった。運転手はまるで俺達に気付いている様子もなく、他の所に視線を送っていた。
俺は咄嗟に詩織をかばおうとしたが次の瞬間、激しい衝撃と共に、身体中が軋むのが分かった。弾き飛ばされた俺達は意識を失い、次に気が付いた時には詩織はもう帰らぬ人となっていた。
俺は詩織の葬儀中崩れ落ち、正直その時の事ははっきりと覚えていないほど取り乱していた。
そんな俺達の事もよく知らないまま『亡くなった子が交差点に立っていた』なんて迂闊に話す連中には嫌悪感さえ覚える。
俺は気分が悪くなり、その場を去ろうと振り返った。しかしその時、一人の女性と目が合った。思わず見とれてしまう程の美女で俺の第一印象はモデルの様な美人だ。
「あの子、大丈夫そうね」
交差点で事故にあった男の子を見ながらその女性が呟く。
交差点では車に轢かれた男の子が大きな声を上げて泣いていた。
「え、ああ、うん」
思わず俺も頷き反応してしまい、暫く二人佇んで交差点内の救助を見守っていた。
暫く沈黙の時間が訪れ、ふと我に返った。見ず知らずの綺麗な女性が俺に話し掛けたかも分からなかったのに俺は頷き、返事を返してしまった。向こうからしてみたら前から来た知らない男が自分の独り言に返事をしてきて困ってるんじゃないかと思うと俺は急に恥ずかしい気持ちが込み上げて来る。
いたたまれなくなった俺がその場を去ろうと僅かに身体を動かした時、女性は突然こちらに顔を向け含みを持たした笑みを見せた。
「あら、もう何処か行っちゃうの? そんな焦って何処か行かなくてもいいわよ。別に変な奴だとか思ってないから」
俺の心を読んだかの様なセリフを言い放ち、ニヤニヤと口角を上げて笑みを見せる女を見て、俺はすぐに第一印象を書き換えた。
美人だけど性格は良くないぞ。絶対に。
これが俺の運命を変える鬼龍叶との出会いだった。
「大丈夫か!? 意識は?」
学校からの帰り道にある交差点で、また今日も事故が起きた。俺は遠巻きにそれを見つめながらため息をつく。
――またかよ。
一人呆れる様に呟いた。
この交差点では年に何回か事故が起こる。見通しも良く、信号機だってちゃんとある。なのに何故か事故は無くならなかった。一部では魔の交差点とか言い出す奴までいる始末だ。
「やっぱりここ、何かあるんじゃない?」
「亡くなった子を見たって人もいるぐらいだしね」
くだらない噂話をしている連中を俺は睨みつけた。本当は文句の一つぐらい言ってやりたかったが、何も知らない連中にそんな事を言った所で変な噂が消える訳でもないと思い、俺は拳を握りしめたまま唇を噛む。
丁度今ぐらいの季節だった。
俺は当時付き合っていた詩織と学校の帰りにこの交差点を通りかかった。いつもは逆方向にあるファーストフード店やカラオケに行くのが定番だったが、その日は理由もあって普段は通らないその交差点を詩織と二人で通りかかってしまった。そして俺達二人が横断していた時、交差点をトラックが曲がって侵入して来たんだ。
その瞬間、まるで世界はスローモーションの様になり俺はトラックの運転席に目をやった。運転手はまるで俺達に気付いている様子もなく、他の所に視線を送っていた。
俺は咄嗟に詩織をかばおうとしたが次の瞬間、激しい衝撃と共に、身体中が軋むのが分かった。弾き飛ばされた俺達は意識を失い、次に気が付いた時には詩織はもう帰らぬ人となっていた。
俺は詩織の葬儀中崩れ落ち、正直その時の事ははっきりと覚えていないほど取り乱していた。
そんな俺達の事もよく知らないまま『亡くなった子が交差点に立っていた』なんて迂闊に話す連中には嫌悪感さえ覚える。
俺は気分が悪くなり、その場を去ろうと振り返った。しかしその時、一人の女性と目が合った。思わず見とれてしまう程の美女で俺の第一印象はモデルの様な美人だ。
「あの子、大丈夫そうね」
交差点で事故にあった男の子を見ながらその女性が呟く。
交差点では車に轢かれた男の子が大きな声を上げて泣いていた。
「え、ああ、うん」
思わず俺も頷き反応してしまい、暫く二人佇んで交差点内の救助を見守っていた。
暫く沈黙の時間が訪れ、ふと我に返った。見ず知らずの綺麗な女性が俺に話し掛けたかも分からなかったのに俺は頷き、返事を返してしまった。向こうからしてみたら前から来た知らない男が自分の独り言に返事をしてきて困ってるんじゃないかと思うと俺は急に恥ずかしい気持ちが込み上げて来る。
いたたまれなくなった俺がその場を去ろうと僅かに身体を動かした時、女性は突然こちらに顔を向け含みを持たした笑みを見せた。
「あら、もう何処か行っちゃうの? そんな焦って何処か行かなくてもいいわよ。別に変な奴だとか思ってないから」
俺の心を読んだかの様なセリフを言い放ち、ニヤニヤと口角を上げて笑みを見せる女を見て、俺はすぐに第一印象を書き換えた。
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