僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第十六話

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楓と約束した日曜日。
この日は楓と遊園地デートをしようと思っていたのだが、それは叶わなかった。
なぜなら、今日の天気は『雨』だったからだ。

「あ~あ……。なんでこんな日に限って雨が降るんだろう……。これじゃ、今日の予定はいつもどおりの勉強会になっちゃうじゃない!」

私は、憤りを覚え独り言を言っていた。
こんな何もない日に『雨』だなんて……。
呪われてるんじゃないかとさえ思ってしまう。
そもそも、楓があの時、変なことを言わなければ、ホントに雨が降るなんてこともなかったんじゃないだろうか。
改めて外を見ても、晴れる様子はない。
そんな時、私のスマホにメールが入ってくる。
楓からだった。

『ホントに雨降っちゃったね。香奈姉ちゃんと一緒の遊園地、楽しみにしてたんだけど……。ちょっと残念かな。どうする? 香奈姉ちゃんの部屋で勉強会…ホントにやるの?』

どうやら楓は、私の部屋で勉強会をする約束も忘れてはいないようだ。
それなら約束どおり、勉強会をやりますか。
私は、楓にメールを送る。

『もちろんやるよ。だから遅れたりしたら承知しないからね!』

さすがに『絶対服従』の文字は書かなかった。
そんなものを書かなくても、楓にはわかっているはずだ。

『わかった。時間は、午前の10時くらいからでもいいかな?』
『うん。全然問題ないよ。待ってるから』

楓が来るのは、午前の10時か。
今は午前の8時だから、準備するにしても充分余裕はある。
とりあえず、楓が家に来る前に、着替えくらいはしておこう。
エッチなことをする想定も一応入れておいて、下着も可愛いものにしようかな。
私は、タンスの中から比較的可愛いと思われる花柄の入ったピンクの下着を取り出した。
洋服に関しては、白を基調としたワンピースで大丈夫だろう。
着るワンピース越しから下着の色が透けてくるかもしれないが、楓に見られるくらいなら問題はない。
今日は、花音には絶対に邪魔されないようにしないと。

勉強会と言ったけど、楓と二人っきりだとなんだか張り合いがないな。
こんなことなら、奈緒ちゃんとか呼べばよかったかな。
いやいや。
雨の日だから、わざわざ呼ぶのも悪いし。
そもそも遊園地デートがダメになったから、勉強会を始めようってことだしなぁ。来るわけがないよね……。
それなら、楓に勉強を教えるのはどうだろう。
私と同じ大学を目指しているのなら、少しでも勉強をしてもらわないといけないから。
しばらくして、インターホンが鳴った。
どうやら、楓がやってきたみたいだ。
考えてるうちに、約束した10時になったらしい。
私は、時間を確認した後、すぐに玄関に向かう。
玄関先に立っていたのは、言うまでもなく楓だった。
私は、笑顔で楓を出迎える。

「お待たせ、楓。さぁ、はやく中に入って」
「うん。お邪魔します」

楓は、いつもどおりに家の中に入ってきた。
勉強会ということもあり、一応、鞄を持ってきている。
その中には、おそらく参考書や教科書が入っているんだろう。
私は楓の手を取って、そのまま私の部屋へと向かう。

「勉強会なら、私の部屋の方がいいよね」
「え、いや……。別に居間の方でも構わないよ」
「ダ~メ。楓は、私の部屋で一緒に勉強をするの。約束はきちんと守らないとね」
「う、うん。香奈姉ちゃんがそう言うなら……」

楓は、少し遠慮がちにそう言った。
そんな緊張しなくてもいいのに。

とりあえず、楓にはリラックスしてもらおうと思い、私は楓の傍に寄り添った。
まず楓のお姉ちゃん的な存在である私には、楓から教わることは何もない。
だから、なんの気兼ねもなくベッタリできるわけだ。
しかし楓の反応は、当然のことながらあまり良くなくて……。

「あの……。香奈姉ちゃん。この状態だと、勉強に集中できないんだけど……」
「それはきっと、楓に邪な心があるからだよ。普通にやっていたら、そんなことはないはずだよ」
「そうかなぁ……。これは、あきらかにくっつきすぎだと思うんだけど──」
「楓は気にしすぎだよ。姉弟なら、このくらいは当然なんだよ。もしかしたら、これ以上のご奉仕もあるかもしれないよ」
「これ以上のご奉仕って……」

楓は、何を想像したのか途中で手を止めてしまう。
私は、すぐに楓の肩に手を添える。

「ほら。手が止まってるよ」
「あ……。ごめん……」

楓は、ハッとなって再びペンを動かした。

「まったく、もう……」

私が言い出した事とはいえ、そんな事でうつつを抜かしてしまうなんて……。信じられない!
今、勉強中なんだぞ。
だいたいの見当はついているんだけど、それでも私以外の女の子のことを考えてるって思っただけで、ちょっとイライラしてしまうな。

「ねぇ、楓」
「何? 香奈姉ちゃん」
「楓はさ。今、気になっている子とかって、いる?」
「気になってる子? う~ん……。どうだろう。いないと言えば嘘になるけど。でも……」

楓は、またも手を止めて、悩み始める。
私ったら、なんて事を訊いてるんだろう。
簡単な質問をしてるつもりなんだけど、楓にとっては簡単ではないらしい。

「そんなに悩むことなの?」
「だって……。香奈姉ちゃんと付き合うようになってからというもの、女の子たちの方から僕に近づいてきてる気がするんだ。特に奈緒さんなんかは──」
「そんなこと……。気にしすぎじゃないの?」
「そうだといいんだけど、あれはあきらかに冗談じゃないような気がして──」

楓は、羞恥に顔を真っ赤にしてそう言った。
楓は一体、何のことを言ってるんだろう。
奈緒ちゃんとの間に何かあったのかな。とっても気になるんだけど。

「そっかぁ。奈緒ちゃんとのことでそんなに悩むなんて思わなかったなぁ。よっぽど奈緒ちゃんが魅力的なんだね」
「魅力的っていうよりか、すごく積極的なんだけど……。なんとかならないかな? 香奈姉ちゃん」
「奈緒ちゃんは、男の子に対してそんなに積極的な性格はしてないよ。それどころか引っ込み思案と言った方がいいかも」

私が知る限りでは、奈緒ちゃんは男の子に対してそんなに積極的な性格はしていない。
周りにはクールなイメージがついてるけど、引っ込み思案な性格が奈緒ちゃんの本来の姿だ。

「え…でも、僕には積極的にアプローチしてくるけど……」
「奈緒ちゃんは、よっぽど楓のことが気に入ったんだね。これは、私もうかうかしていられないな」

そう言うと私は、楓に体を擦り寄せる。
言うまでもなく楓は、困惑した様子だった。

「ちょっと……。香奈姉ちゃん? それって、どういう──」
「楓は何も考えなくていいよ。これは、私たちの問題なんだから」
「そう……。それなら、考えないようにするけど……」

楓は、軽く息を吐いた後、私の体を優しく抱き寄せる。
敢えては聞かないっていう態度だ。
楓も、どこか鋭い一面があるから、きっと私の考えてることはお見通しなんだろう。

「うん、それがいいと思う。楓は、真っ直ぐに私のことを好きでいてくれればいいんだよ」
「なんだかよくわからないけど……。香奈姉ちゃんがそう言うのなら」

楓は、神妙な面持ちでそう言った。
楓自身、納得はしてないけど、だからといって自分にはどうにもできないってことは理解しているみたいだ。
奈緒ちゃんのことを気にかけてるあたりでは、楓は結構律儀な性格なんだけどさ。
でもそれは、私だけに向けてほしいんだよなぁ。
そうしたら、楓ともっと仲良くなれる気がするんだけど。
不貞腐れてもしょうがないか。
楓には、いつもどおりにしてもらうしかないのだから。
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