僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

文字の大きさ
277 / 382
第二十二話

12

しおりを挟む
ゲームセンター内は時間帯もあってか、結構な人集りができていた。
やっぱり他所の高校の生徒たちが多い。
遊びに来てるというより、暇つぶしに見に来ているといった感じだろう。
主にクレーンゲームの方に人は集まっていた。
私たちは、それには興味はない。
プリクラコーナーさえ空いていたら、他の場所はどうでもいいのだ。
ちなみに、最近のプリクラコーナーは結構空いている場合が多い。
奈緒ちゃんは、迷いなくプリクラコーナーに向かっていく。

「よかったら、一緒に撮ろうよ。楓君」

たどり着くなり、もうアプローチに入っている。
楓はどんな反応をするんだろう。

「いや。こういうのは……。女の子同士で撮った方がいいんじゃないかな」
「それは、そうだけど……。でも、あたしは楓君と一緒に撮りたいんだ。ダメかな?」
「ダメっていうことはないけど……。だけど……」

楓は、私に気を遣ってなのかどうかはわからないが、私の方をチラチラ見てくる。
鈍い楓にも、わかっているみたいだ。
一緒にプリクラを撮るっていう行為が、どういう事なのかは──
できるなら、断りたいんだろうな。

「やっぱり、あたしと一緒に撮るのは嫌なの?」

奈緒ちゃんは、さも悲しげな表情で楓に訊いていた。
あきらかに意図的な表情だ。
楓はどうするのかな?
ちょっと成り行きが気になる。

「そんなことはないよ。ただ──」
「楓君が思っていることは、なんとなくわかるよ」
「え……」
「楓君は、みんなと一緒に撮りたいんでしょ?」

奈緒ちゃんは、鋭くそう言った。
やっぱり、私たちは邪魔だったかな。
奈緒ちゃんは、顔には出していないけれど。

「うん。やっぱり、みんながいるからね。僕なんかに気を遣わなくても……」
「わかってないなぁ。相手が楓君だから、あたしは一緒に撮りたいんだよ」
「奈緒がそんなこと言うなんてねぇ。よっぽどだね」

一緒にいた美沙ちゃんは、納得したかのようにそう言っていた。
理恵ちゃんは、静かに楓と奈緒ちゃんのことを見ている。
何も言わないところを見ると、考えていることは私や美沙ちゃんと一緒のようだ。

「僕だから?」
「うん。あたしは、楓君のことが好きなんだ。だから、記念になるものが欲しくて」
「奈緒さんが、僕のことを……」

楓にとって奈緒ちゃんは、私と同じく頼りになるお姉さんといった感じなんだろう。
そんな奈緒ちゃんが、楓のことを一途に見ている。
あの日、絶対に何かあったと確信が持てるくらいにして。

「そういうことだから、あたしと一緒にプリクラを撮ろう。もう嫌じゃないよね?」
「うん、まぁ……。奈緒さんが、それでいいのなら」
「決まりだね。それじゃ、さっそく──」

奈緒ちゃんは、プリクラコーナーの中に入ると、お金を投入する。
私と美沙ちゃんたちは、外側で待つことにした。

「それじゃ、私たちはここで待ってるね」
「次は、わたしたちの番だからね。独り占めは許さないからね」

と、理恵ちゃん。
理恵ちゃんも、楓のことを狙っているのかな。
どうなんだろう。
とりあえず、奈緒ちゃんの願いを叶えさせないとダメか。

やっぱり2人だけにするのは、失敗だったかな。
あれからしばらく経ったが、奈緒ちゃんと楓は戻ってこない。
プリクラを撮るだけなら、そんなに時間はかからないと思うんだけど……。

「ずいぶんと時間がかかってるね。2人とも、何やってるんだろう?」

さっそくというべきか、美沙ちゃんが不満そうにそう言った。
理恵ちゃんも、一度スマホの画面を見て何かを確認して、思案げな表情をしている。

「たしかに、あれから結構経つよね。一回、様子を見に行ってみる?」
「いいかもね」

そう言い合っていた時に、2人が戻ってくる。
奈緒ちゃんは、あきらかに恥ずかしげに表情を赤くしていた。

「お待たせ」
「ずいぶんと時間がかかったわね。何をしていたの?」

私は、2人に訊いてみる。
楓の表情を見る限り、特に何も無さそうなのだが。
それでも、気になるものはしょうがない。

「いや。何をしていたってわけでもないけど……。敢えて言うなら、プリクラを撮るために奈緒さんが色々とね」
「色々、かぁ」
「やましいことは何もないよ。一応──」

楓は、弁明するかのようにそう言った。
別に疑っているわけじゃないんだけどなぁ。

「そっか。それじゃ、次はわたしの番だね」

理恵ちゃんは、笑顔でそう言うと楓の手を握り、そのまま引っ張っていく。
向かう先は、プリクラコーナーだ。

「え。理恵先輩? それは、ちょっと……」
「なに? 楓君は、わたしと一緒にプリクラを撮るのは嫌だったりするの?」
「そんなことは……」
「そんなことないよね? 奈緒ちゃんは良くて、わたしたちがダメってことは、絶対にないよね?」
「………」

さすがの楓も奈緒ちゃんも、黙り込んでしまう。
たかがプリクラといってもそんなことはなく、重要なことになってるみたいだ。
いつの間にか、そんな話になってるし。
たしかに私自身も、楓とはプリクラを撮った事はない。
だから、今回は話の流れに乗っておこうかな。

「まさかね。奈緒ちゃんだけが特別ってことはないよね?」

私も、笑顔でそう言って楓にプレッシャーをかけておく。

「そんなことは……。奈緒さんとはそんなんじゃ……」

言うまでもなくたじろぐ楓。
これは、あきらかに何かがあったっていう顔だ。
敢えては聞かないけれど。

「へぇ。楓君は否定するんだ。あたしの部屋であんな事をした仲だって言うのに──」
「あんな事? それって、どういう事? 良かったら、詳しく教えてくれないかな?」

その話に食いついたのは、理恵ちゃんだった。
いかにも興味津々といった表情だ。
奈緒ちゃんは、悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。

「それはね。色々とあるんだよ。男の子と仲良くなるためには、女の子の方から積極的に行かないと」
「なるほど」

なにを理解したのかわからないが納得している理恵ちゃん。
これはもう、プリクラを撮るっていう雰囲気じゃないな。
話を元に戻さないと。
そう思った矢先、理恵ちゃんはかなり強引に楓のことを引っ張っていく。
おとなしい女の子とは思えないくらいにして。

「それなら、なおさら一緒にプリクラを撮らないとね。──行こう。楓君」
「う、うん」

楓には、もはや拒否する権限がないみたいだ。
容赦なく理恵ちゃんに引っ張られていった。
近くにあるプリクラコーナーが、少しだけ遠くにあるような感じがする。
これって、私の番は回ってくるのかな。
このままの流れだと、私の番が最後になるような感じだけど。
どうなんだろう。
私は、めずらしくモジモジとした美沙ちゃんの仕草を見てそう思うのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...