僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第二十四話

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とある日。
楓の部屋をガサ入れしていると、エロ本が見つかった。
あまりにも唐突なことかもしれないが、実際にあったのだからしょうがない。
なんて言えばいいんだろうか。
この場合、不快な気持ちになるのは当然としてある。
これが楓のものっていう証拠はないが、楓の部屋から見つかった以上、私としては黙っているわけにはいかない。

「ねぇ、弟くん。これは何かな?」

私は、あくまでも笑顔でそう訊いていた。

「うっ……。それは……」

楓は、あからさまに表情を変える。
いかにも『なんで……』といったような焦った表情だ。

「私の裸だけじゃ、不満だったのかな?」
「そういうわけじゃなくて……」
「じゃあ、なんなのかな?」
「それは慎吾から借りたもので……。他意はなくて……」
「ふ~ん。風見君からねぇ。なるほど」

こういうのは、わりとはっきりとしておいた方がいい。
私は、エッチな本とかいかがわしいものが嫌いだ。
『ガサ入れ』というのは、あまりにも表現が悪かったかもしれないが。
これは抜き打ちチェックだ。
こうして楓の部屋をチェックをしておかないと、どんなものが出てくるかわかったもんじゃない。

「香奈姉ちゃん。僕も一応は『男』だからね。そういうものの一冊くらいは──」
「なるほどね~。弟くんでも、こういうのは持ってるんだ」

私の裸だけじゃ飽き足らず、こういうエッチな本をも持ってないとダメって……。
男って、みんなそんなものなのかな。
なんだか、わからなくなってきた。

「あまり言いたくはないけど……」

楓の口から、認める発言が出てきちゃうってことは……。
『欲求不満』って言っちゃってるようなものだ。
まぁ、普段から体のスキンシップなんてしてたら、精神衛生上良くないしね。

「それってさ。こういう本からは何か感じるけど、私の体からはなんにも感じないってこと?」

私ったら、何を言っちゃってるんだろう。
普段着がチュニックとミニスカートだからって、楓を誘うような発言をするなんて──
もしかして、意地になってるのかな。
そうだとしたら、らしくない。

「そんなことは……。香奈姉ちゃんは、完璧すぎて──」
「完璧だと思っていても、そんな本を持ってしまうんだ……。やっぱり、それって他の女の人の裸体にも興味があるって事だよね?」
「それは……。僕の口からは、なんとも言えない……」

これは完全にアウトだよね。
私以外の女の子に興味があるっていう意味では──

「そっか。弟くんの口からは言えない、か。でもね。この本はどうしよっかな~」

私は、そう言って手に持っているエロ本を楓の目の前にちらつかせる。
楓は、焦った様子で言う。

「それは──。慎吾から借りたものだから……」
「だから燃やすのはやめてって言いたいのかな?」
「燃やすつもりでいたの?」
「当たり前でしょ。こんなものが見つかったんならねぇ。看過はできないし……。まぁ、弟くんの返答次第によっては、どうしようか悩んじゃうけど」
「僕は、香奈姉ちゃんを信じてるよ。僕の友達の大切なものを勝手に燃やしたりはしないって──」
「大切なものなんだ……。風見君は、ずいぶんとマニアックなものを大切にしてるんだね。そういえば、風見君って彼女さんとかはいるの?」

私は、ふと気になってそんな事を訊いてしまった。
風見君の事は、不思議とそんな話も噂も出てこないから、どうなんだろう。
楓は、途端に神妙な顔になる。

「う~ん……。わからないなぁ。そういった事はあまり聞かないから……」
「そうなんだ。なんか意外だね」
「意外って?」
「弟くんが、友達のプライベートを知らないっていうのは、意外だなって思って──」

楓なら、もっとうまく友達付き合いができていると思っていたんだけど。

「意外でもないよ。普通は、彼女がいるかどうかは確認しないから」
「どうして? 彼女がいるかいないかっていうのは大事な事なんじゃ──」
「男子校では、その話は禁句になってるんだよね。だから誰もそういった話はしないんだ」

なんか新たな事実を聞いた気がしたんだけど。
それって、ホントのことなの?
女子校では、わりとポピュラーな話題だったりするんだけどな。

「平気でナンパはしてくるのに?」
「それを言われると……。耳が痛いかも……」
「弟くんがやってるわけじゃないから、気にしなくていいよ。それよりも──」
「慎吾のことだよね? わかってるよ」
「弟くんの事でもあるんだけどなぁ……」
「え?」

楓は、キョトンとした表情を浮かべている。
やっぱり自覚はないか。
わかっていた事だけに、少々凹んでしまう。

「とにかく。この本は、私が返すことにするね。いいでしょ?」
「いやいや。なんで香奈姉ちゃんが返す必要があるの? そういうのは、僕が返すべきだと思うんだけど」
「うーん……。興味本位?」

私は、そう言ってペロッと舌を出す。
可愛くジェスチャーしたつもりだったんだけど、そんな風に見えるわけもなく──

「興味本位って……」

楓は、呆れてしまったのかなにも言えなくなっていた。
そんな顔をしなくても……。
やっぱり、やめた方がいいのかな。
こういう時は──

「冗談だよ。やっぱり、こういうのは借りた人が返すのが筋だよね。なんかごめんね」

私は、そう言ってエロ本を元の場所に戻しておいた。
流れ的には、ホントに燃やしてしまう事も考えたけど、それをやってしまったら、楓に苦手意識を持たれかねないのでやめておく。

「香奈姉ちゃんって、優しいんだか厳しいんだか、よくわからないなぁ」

楓は、複雑な面持ちでそう言っていた。
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