僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第二十八話

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香奈姉ちゃんと僕との距離感って、どれだけ離れてるんだろうか。
最近の香奈姉ちゃんは、暇があればいつも僕の部屋にいる。
さすがに進路のこともあるから、勉強だけは欠かしてはいないみたいだが。
さすがにバンドメンバーのみんなが僕の部屋に集まるのは勘弁してほしい。

「ねぇ、楓君。最近、わたしたちとの距離感ってどう思う? …近づいているかな?」

先にそう言ってきたのは、理恵先輩だ。
不安そうな表情でそう言うものだから、みんなの視線が僕に注がれる。
みんなドキドキしながら、僕の返答を待っているみたいだ。
こういう時って、なんて答えればいいんだろうか。
特にも奈緒さんなんか、不安なのか無言で僕の手を握ってきている。
そんな真剣な眼差しで見られたら、返答に困ってしまうよ。

「うん。近づいていると思うよ。みんな積極的だから──」
「そっか。みんな積極的…か。そうだよね……」

なにか言いたげだったのは、気のせいだと思うことにしよう。
ここでみんなが無言になるのは、さすがに気まずい。
僕からも、理恵先輩の良いところを言ってあげよう。

「理恵先輩は、みんなのことを考えてくれているから、僕としては安心してるんだ」
「楓君はもっと心配すべきかと思うんだけど」
「心配? なにを?」

僕は、本当にわけがわからず思案げに首を傾げる。
しかし、その場にいる4人の女の子たちはムッとした表情を浮かべつつも僕に寄り添ってきていた。
気がつけば4人とも露出の多い服装でやってきている。
季節柄、薄着というわけではないが、それでもお洒落に気を遣った上着を着ていた。
奈緒さん以外の3人は、タイプは違うがミニスカートの類を穿いていてお洒落な格好だ。
奈緒さんだけは、ミニスカートが苦手なのか、ショートパンツになっている。
ちなみに靴下にも気を配っているのが、2人からは見て取れた。
美沙先輩は黒のハイソックスで、理恵先輩は白のルーズソックスである。
香奈姉ちゃんと奈緒さんは、お洒落なサンダルを意識したのか靴下は履いてない。
ルーズソックスはギャル系が履くものだという認識だが、今の時代はそうではないみたいだ。
真面目そうな印象の理恵先輩が履いているのだから、違うんだろう。

「楓君は、警戒心をもってわたしたちと接しないとダメだと思うよ」
「そうそう。ただでさえ、楓君は女の子に優しいんだし。そういうのはモテる条件だったりするんだから──」

そう言って僕に寄り添ってきたのは美沙先輩だ。
美沙先輩は、あからさまに好意を僕に向けて、アプローチしてくる。
しかし、それを許さないのが奈緒さんだった。

「美沙。それはさすがに──」
「やっぱりダメだった?」
「ダメ…じゃないけど。もう少し、やり方ってものがあるんじゃないかな」
「そう言われてもな……。私には、これ以外のスキンシップのとり方ってわからないし……」
「それはあたしも同じかも──」
「ちょっと──。それなら私の立場はどうなるわけ?」

香奈姉ちゃんは、不機嫌そうな表情でみんなに訊いていた。
それを言われたら、僕の立ち位置ってどうなんだ?
みんなに囲まれているのは、どう考えてもおかしいと思うんだけど……。
しかしその場にいるみんなは、当たり前と言わんばかりに口を開く。

「香奈はねぇ……。楓君とは幼馴染だし。何をしたって文句は言われないでしょ」

奈緒さんは、呆れた様子でそう言う。
それに続いて美沙先輩たちも──

「そうそう。香奈ちゃんはねぇ……」
「もはや鉄板でしょ。幼馴染っていうだけで──」

美沙先輩と理恵先輩は羨ましそうにそう言っていた。
女の子同士の幼馴染っていうのは、そういう関係にはならないから、よけいに羨ましいのかもしれない。
女の子同士の場合、恋愛の対象には絶対にならないから。
男の子がいるなら話は変わってくるけど。

「幼馴染だからって、必ずしも恋人同士になるとは限らないんだよ。他の人と付き合ったりすることは、無いことではないんだから特別なことじゃ──」
「私も一応、楓君の彼女候補として、ここにいるんだけどな」

美沙先輩は、恥ずかしそうな表情を見せてそう言った。
それはみんなも同じなのか、僕のことを恥ずかしそうに見てくる。

「あたしも美沙と同じかな。楓君以外の男の子のことをそんな目で見れないかも……」
「うんうん。さすがにエッチなことは堂々とはできないけど、軽いスキンシップくらいならできるかも……」

理恵先輩の場合は、『軽いスキンシップ』といっても言葉が重い。
香奈姉ちゃんは、理恵先輩には警戒心があるのか、焦ったような表情を浮かべる。

「理恵ちゃんの場合は軽いとかの問題じゃなくて……」
「別にいいじゃない。香奈ちゃんの場合は、いつでも楓君とスキンシップをはかれるんだし──」
「いつでもってわけじゃ……。私だって、弟くんには気を遣って──」
「「そうなの?」」

美沙先輩と奈緒さんが、興味津々といった表情で香奈姉ちゃんを見る。
香奈姉ちゃんは、至って落ち着いた様子で言う。

「そんなものなのよ! 弟くんのお世話は『お姉ちゃん』である私の努めなんだから当然じゃない」
「「なるほどねぇ」」

2人は、訝しげな視線で香奈姉ちゃんを見つめていた。

「2人とも、そんな目で見ないでよ! 恥ずかしいじゃない!」

香奈姉ちゃんは、頬を赤くしてそう言っていた。
よく見れば耳まで赤い。
どうやら、落ち着いた様子だったのはやせ我慢だったみたいだ。
これ以上は、あまり追求しないほうがいい気がするんだけど。
恋バナには、そんなものは通用しないらしい。
理恵先輩が口を開く。

「まぁ、わたしたちの場合は、特別な理由がないとスキンシップとかできないんだよね。今回の場合、楓君の部屋の中だし、誰もこないならチャンスがあるかも──」
「理恵ちゃん……。もしかして──」
「うん。香奈ちゃんがいいのなら──」
「そんなの……。ダメだよってはっきり言えないよ……」

香奈姉ちゃんは、断りづらそうにそう言う。
どうやら香奈姉ちゃんにとっては、理恵先輩のやりたい事を止めることはできないらしい。
僕とのスキンシップなんだろうけど、みんなが見てる前でやるとか、どうかしてる。
しかし、これとは無関係なんだが、ここからのアングルだと理恵先輩のミニスカートの中の下着がチラリと見えているんだが……。言わない方がいいかもしれない。
みんな床に直接座っているのだから、見えてしまうのは、この際しょうがない。
唯一ショートパンツを穿いている奈緒さんが正解なのかな?

「楓君。やっぱり気になるの?」

理恵先輩は、僕を見てそう訊いてくる。
どこに視線を向けているのかわかっているみたいだ。
別に気になったりはしないが、なんとなくそっちに視線が行っただけなんだけど……。
女の子って鋭いな。

「いや……。なんとなく……」

僕は、そうとだけ言っていた。
正直言うと、気になってはいるんだけど、下心は出さない方が無難だろう。

「そっか」

みんな、なぜか残念そうな顔をする。
僕としては、みんなの座り方がなんとなく気になっているんですが……。
椅子がないからなのか、奈緒さん以外のみんなが床に座りこみ、しかも下着が見えてしまうような座り方をしている。
これだと見るなって言われても、不可抗力で見てしまうやつだ。
それももう見慣れてしまっているから、なんとも──

「今日は弟くんの部屋にいるんだし、せっかくだから勉強会をしよっか?」
「いいね。楓君なら文句は言わないだろうし」
「そうだね。わたしは別に構わないかな。何もしないでいても退屈になるだけだし──」
「楓君に勉強を教えるいい機会だね?」

4人は、いい提案とばかりにそう言う。
勉強はみんなが帰った後でゆっくりやろうと思っていたんだけど……。
みんなは受験勉強とかはいいのかな?
僕なら、ちょっと焦ってしまうかも……。

「いや……。香奈姉ちゃんたちは、受験勉強もあるわけだし……。無理をしなくても──」
「いやいや。弟くんのお世話は、お姉ちゃんである私の務めなの。無理なんてしてないわよ」
「そうそう。わたしたちのことなら心配はいらないよ。勉強なら、自分のペースでちゃんとやっているから」
「今はね。楓君の部屋にいるんだから、何をしに来たのかくらいはわかってもらわないと──」

美沙先輩は、そう言って僕の手を握ってくる。
さっきまでの握り方とは違い、あきらかに僕のことを意識したような意味ありげな感じだった。
これには、さすがの奈緒さんも黙ってはいなかった。

「あたしたちは、楓君にちゃんと教えるつもりでここに来てるんだから──。無碍にされたら困っちゃうかも……」
「楓君の学校の成績は、きちんと把握しているつもりだよ。…今回は、わたしたちにもできることがあるはずだから──。安心してほしいかな」
「でも……」
「大丈夫だって。楓君は、安心して私たちを頼ってほしいな」

先輩達にそう言われてしまうと、素直に厚意に甘えてしまうかもしれない。
拒否したらなにか言われてしまいそうだし。

「わかった。それなら、お言葉に甘えようかな」

なんでそう言ったのか、僕にもわからない。
きっと嫌われたくないからなのかもしれないが、一番なのは香奈姉ちゃんが原因だろう。

「うん。任せて!」

香奈姉ちゃんは、嬉しそうにそう言っていた。
なんとなく、香奈姉ちゃんのその笑顔が見たかった。
いつの間にか僕の部屋が香奈姉ちゃんたちが集まる女子部屋となってしまっているというのは、この際言わないでおこう。
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