ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第四章

第十三話 砦内での防衛 後編

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「くそう。間に合え!」

 俺はバリスタの弾発射装置のところにいる二人を守ろうと、頭の中でイメージを描きながら太刀を降る。しかし、それと同時にライトニングロウがユリヤたちに雷を落とした。

 落雷の光で、俺は思わず瞼を閉じてしまう。

 もう、瞼を開けても大丈夫だろうか? ユリヤとテレーゼを無事だろうか。

 心配ごとが拭えないまま、瞼を開ける。

 すると視界には、水球に包まれた二人の姿が見える。水の表面には雷を纏っているようで、パリパリと音がしていた。

「よかった。間に合った」

 彼女たちを包み込んでいた水球が弾け飛ぶが、中にいた二人は唖然としていた。

「二人とも、今の内にそこから離れるんだ!」

「ぴ、リュシアンピグレット、これはいったい何がどうなっているの?」

「水の壁を作って二人を守ったんだ! 純水であれば、水は電気を通さないからな。その原理を使って感電しないようにした」

「そうだったのね。迷惑をかけたわ。ごめんなさい」

 どうして二人が無事だったのか説明すると、納得したテレーゼが謝る。そしてバリスタの弾発射装置から離れてくれた。

 雷雲の水平方向の広がりは、通常半径十キロメートル以下だ。放電はこの雷雲のどこで起こってもおかしくはない。そしてどこに落ちるかは予測できないのだ。

 だが、出発地点の真下が落雷の確率が高い。その出発点となるのは落雷を引き起こすライトニングロウだ。つまり、やつから遠ざかる程落雷を受ける危険性が低くなる。

 だからと言って、水による遠距離攻撃ではやつを倒すほどの威力はない。属性の相性から考えても、防御では水は有利だが、攻撃は威力を半減させられる。

「こうなったら、狩りの基本であるヒットアンドアウェイだ。攻撃できる隙があるまで逃げ、チャンスを見つけ次第に攻撃に転じる」

 ライトニングロウがゆっくりと俺のところにやって来る。そして間合いに入ると、奴は右の前脚の爪で俺を切り裂こうとしてきた。

 やつのモーションからどのような攻撃が来るのか予想できた俺は、前転でモンスターの懐に入る。

 懐に入りさえすれば、敵は一瞬でも次にする予定だった攻撃をやめないといけない。

 その隙を突き、刀をモンスターの腹に当て、斬りつける。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 攻撃を受けたモンスターは悲鳴を上げると、二本足で立ち上がり、そのまま地面に倒れた。

 もしかしてこいつの弱点は腹なのか? 普通はあれくらいで怯むことはないからな。
 とにかく、攻撃のチャンスが継続しているのは確かだ。

 今の内に破壊しきれなかった部位を攻撃する。

 俺はライトニングロウの尻尾の前に移動すると、尻尾を何度も斬りつける。

 鮮血が吹き、モンスターの体液で切れ味が落ちていく。そんな中、五回目の斬撃を当てるとついにやつの尻尾を切断することに成功した。

「これで敵の攻撃のリーチが短くなった」

 ライトニングロウが立ち上がり、尻尾を動かす。しかし、リーチが短くなった尻尾では、俺に当てることができなかった。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 モンスターの角が光り、顔を上げて咆哮を上げる。

「みんな気を付けろ! 落雷が来る!」

 仲間たちに声をかけるも、やつは予想外の行動に出た。落雷が落ちたのは確かだが、ライトニングロウは自分自身に雷を当てた。

 雷を受け、全身の毛が逆立つ。

 なるほど、雷による防具を纏ったようなものか。これでは近づくだけで感電してしまう。

 こうなってしまった以上は、遠距離で攻撃するしかない。

 俺は砲撃エリアを見渡す。

 まだやつの落雷を受けていない大砲やバリスタの弾発射装置はある。それらを使い、遠距離攻撃をするしかないな。

 テレーゼが言ったように、やつのモーションに気を付ければ回避は可能だ。何もしないで全て破壊されるよりも、使えるものは使ってやつにダメージを与えた方がいい。

「こいつを喰らえ!」

 剣先に水分子を集めて水を作り、モンスターに放つ。水はやつの顔面に当たるも、ダメージを与えているようには見えない。

 だけどこれでいい。今の内に梯子を登って砲撃エリアに移動だ。

 ライトニングロウが怯んでいるうちに梯子に登り、大砲の球を取りに向かう。

「リュシアンさん。こんなこともあろうかと、あの後大砲の球を集めておきました」

「ユリヤ、ナイス!」

リュシアンピグレット、あたしも頑張って運んだのだから褒めてよ!」

「テレーゼもありがとう」

 彼女たちに礼を言い、大砲の前に向かう。

 そしてやつの頭に狙いを定めて砲撃を開始する。

 大砲の弾は狙いどおりにライトニングロウの頭に命中し、着弾と同時に爆発する。

 攻撃を受け、一瞬怯んでいる間にも、俺は次々と大砲の弾を発射した。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 大砲の威力に、モンスターは堪らず咆哮を上げた。

 やつの落雷が来る。

 分かってはいるが、俺は最後まで大砲による攻撃をやめなかった。

 これではテレーゼに文句を言う資格はないな。だけど、ここで攻撃の手を緩める訳にはいかない。

 俺は大砲の弾を発射すると同時に、太刀に付与した水の属性効果を利用して、水の防御壁で雷をガードする。

 雷と大砲の弾は同じタイミングで当たり、俺は水の防御壁でガードすることができた。だが、ライトニングロウの頭部は部位破壊が起き、角が砕けていた。

「よし、これでやつは雷の鎧を纏うことができない」

 大砲の弾を受け続けたことで、やつの憤怒状態は解けたようだ。

 さっきまでビンビンに立っていた毛は通常時に戻っている。

 そして疲れが溜まっているようで、奴の口からは涎が出ていた。

「どうやらスタミナが切れてきているようだな。ここではエサとなるモンスターは……何!」

 砦内ではライトニングロウの餌になるようなモンスターはいない。そう思っていたが、やつは取り巻きであるハクギンロウの死体を食べ始めていた。

 こいつ、取り巻きのモンスターを食うのかよ。

 やつのスタミナが回復されれば、またやつは暴れてしまう。その前に倒さないと。

 不幸中の幸だが、モンスターは食事の際は無防備になる。今の内に畳み込んで攻撃をすれば、倒せるかもしれない。

「ユリヤ! テレーゼ! 今のうちに使える弾は全て使う。総攻撃だ!」

「わかりました!」

「了解! 砲撃カーニバルと行きましょう!」

 敵がスタミナを回復する中、俺たちは大砲やバリスタを使ってライトニングロウにダメージを与えていく。

 大砲の弾による爆発やバリスタの弾を打ち込まれ、油断していたやつは転倒して弱点である腹を見せている。

 今ならやつに止めを刺すことができそうだ。

 ここから飛び降りれば、やつの腹の上に着地ができる。

「ユリヤ、テレーゼ! 攻撃を中断してくれ。俺が止めを刺す!」

 彼女たちに声をかけ、俺はライトニングロウに向けて飛び降りた。そしてやつの上に着地をすると、太刀を突き刺す。

『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!』

 ライトニングロウは弱点を攻撃され、断末魔の叫び声を上げた。

 そしてしばらく様子を窺ってみるも、やつは動き出す素振りをみせない。

「ライトニングロウ! 討伐完了だ!」

 二人にモンスターを倒したことを告げると、ユリヤたちは俺のところに駆け寄って来る。

「やりましたね! リュシアンさん!」

「やっぱりあたしのリュシアンピグレットね。絶対に勝てると信じていたわ」

「いや、砦の防衛に成功してライトニングロウまで倒せたのは、二人のサポートがあってこそだ。二人とも本当にありがとう。さて」

 俺は真下にいるライトニングロウを見る。

「お待ちかねの剥ぎ取りタイムだ! いい素材を剥ぎ取ろうぜ!」

 ライトニングロウの素材を剥ぎ取った俺たちは、砦を作っていた頭領からも礼を言われた。

 その後、俺たちは討伐後の余韻に浸りながら町に戻りギルドの前に立つ。

 すると、扉が開かれてエレーヌさんが現れた。彼女は荷物を纏めている。

 どこか遠出でもするのだろうか。

「みんな、私たちはこのギルドを出て行くわよ」

「「「ええー!」」」

 俺たちは一斉に声を上げ、言葉がハモる。











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