ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第七章

第三話 責任をとれって無茶だろう!

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 女の子を抱きしめながら、俺は地面に向けて落下した。

 いくら二階から落ちたとしても、着地に失敗すれば大怪我に繋がる。

 上手く着地する方法を瞬時に考えると、落下地点の近くに木があることに気付く。

 手を伸ばせば枝を掴むことができるかもしれない。失敗すれば無傷ではいられないだろう。最悪の場合、女の子だけは何がなんでもケガをさせるわけにはいかない。

「届け!」

 俺は片手で女の子を支えながら、反対側の手を精一杯に腕伸ばす。すると運良く枝を掴むことができ、俺たちは地面に直撃するのを避けられた。

 ふう、どうにか直撃せずに済んだな。これくらいの距離なら、手を離しても着地できるだろう。

 掴んでいた枝から手を離し、そのまま着地する。

「上手く着地することができたな。大丈夫ですか?」

 女の子から手を離し、彼女に訊ねる。すると女の子はキッと睨みつけてきた。

「よくもワタクシの邪魔をしてくださいましたね」

「邪魔と言っても、あそこ二階だったぞ。飛び降りたら大ケガをしていたかもしれない」

「大丈夫ですわよ」

 堂々とした立ち振る舞いで彼女は問題ないと告げる。

 もしかしてこの女の子には何か方法があったのか?

「ワタクシ、日頃の行いが良いですもの。飛び降りても、きっと神様が助けてくださいますわ」

 彼女の言葉に、俺は苦笑いを浮かべた。

 運が作用することなのに、よく実行に移すことができたな。

「まぁ、結果的にはあなたが助けてくれたお陰で、無事に降りることができましたもの。やっぱり、ワタクシは運が良いですわ」

 まぁ、結果論にはなってしまうけど、確かに俺が彼女を見つけたのがきっかけで、ケガすることなく城の外に降りることができた。

 それを考えると、本当に幸運に恵まれているのかもしれないな。

「おい、今何か音がしなかったか?」

「あれは姫様! また城から抜け出そうとしているのですか! あなたを逃せば王様から罰を受けるのは我々なんですよ!」

 二人組の兵士がこちらに歩いて来ると俺たちを見つけ、女の子に向けて叫ぶ。

 やっぱり、この女の子はこの国のお姫様だったのか。

「見つかってしまいましたわね。捕まっては、また城に連れ戻されますわ。こうなってしまったのもあなたのせいです。責任取って、ワタクシに付き合いなさい」

 お姫様が俺の腕を引っ張ると、走って行く。

 どうしてお姫様の強引な脱出に巻き込まれないといけない!

 心の中で叫ぶも、俺も走って彼女と逃走した。

 角を曲がったところに木箱が置かれていることに気付いた俺は、お姫様の腕を引っ張る。

「何をするのですの!」

「捕まりたくなければ俺を信じてくれ」

 木箱を開けてお姫様を中に入れると、続いて俺も入って蓋を閉める。

「くそう! 見失った!」

「こうなってしまったら仕方がない。王様にバレないように、仲間たちにも協力してもらおう」

 次第に足音が遠ざかっていく。

 そろそろ出ても大丈夫だろうか?

 軽く蓋を持ち上げ、外の様子を伺う。

 周辺には兵士の姿が見当たらなかった。

「もう大丈夫のようですね」

 先に俺が木箱から出ると、お姫様に手を差し伸ばす。俺の手を握り、彼女も木箱から出た。

「ありがとうございます。お陰であの兵士たちから逃げ切ることができましたわ。あなた中々頭がキレますわね」

「お褒めにいただき光栄です。お姫様」

「そう言えば、この城では見かけないですわね。あなた、どこの貴族ですの?」

「お……私は隣国の王、レンナルト王の息子であるリュシアンと申します」

 俺と言いかけて、俺は慌てて一人称を変えた。

 さすがに王族が俺なんて言葉を使うわけにはいかない。レンナルト王様がチャプスではなく俺の名を言ってバーンズ王に紹介したので、情報の違いが生じさせないためにも、俺がレンナルト王様の息子だと名乗らなければならなかった。

「あなたが隣の国の王子だったのですね。噂は聞いておりますわ。でも、聞いた話となんだか雰囲気が違うような?」

 バーンズ王様はチャプス王子のことは知らなかったが、お姫様はどうやら話だけでも聞いたことがあるようだ。

 まずいな。ここで下手に動こうとするとボロが出るかもしれない。

「まぁ、噂なんてその程度だったってことでしょう。自分自身の目で見ることこそが大事ですもの」

 思考を巡らせていると、お姫様は自己解決して納得してくれた。

 良かった。どうにかバレずにすみそうだ。

「まだ名を名乗ってはいませんでしたわね。ワタクシはエリーザ・フランツ、この国の姫ですわ」

 自身の名を告げると、エリーザ姫は城下町のある方へと歩き出す。

「さぁ、リュシアン王子。行きますわよ。ワタクシを王都の外へと連れて行ってください」

「分かりました」

 了承すると、俺は彼女の隣を歩く。

 本来俺が彼女の従者のように従う必要はないのだが、お姫様に背けば悪い噂をバーンズ王に言いふらされるかもしれない。そうなれば、レンナルト王様や俺を含め、彼の治める土地に住む民にとって良くないことが起きるかもしれない。

 様々な状況を考えた場合、ここはエリーザ姫のお願い事を聞く方が良いと判断した。

 彼女が向かった先は城下町とは反対方向だった。

「この前偶然見つけたのですが、このウツギの後の壁に、穴が空いておりましたの。ここから抜け出すことができますわ」

 低木樹であるウツギの後の壁は、エリーザ姫が言ったとおりに穴が空いていた。

 確かにここからなら抜け出すことができそうだな。でも大丈夫だろうか? 途中で引っ掛かれば、見つかって連れ戻されることにもなる。

「先に通れるのか、俺が確認しますよ」

 うつ伏せになると、俺は匍匐前進して穴の中を通る。

 少しきついが、どうにか通れそうだ。

 無事に穴を通り抜け、俺は城壁の外に出た。

「大丈夫のようですわね。では、次はワタクシの番ですわ」

 俺に続いてエリーザ姫が穴を取る。しかし、途中で彼女は動きを止め、頬を赤く染めた。

「どうしたのですか?」

「む……胸がつっかえて……引っかかってしまいました。悪いですが手を引っ張ってくれませんか」

 エリーザ姫が俺に手を伸ばす。

 そう言えば、男と女では胸部の大きさが違ったな。そこは考えていなかった。

 差し伸ばされた腕を掴み、俺は彼女を引っ張る。

 少し時間はかかったが、どうにかエリーザ姫を城壁の外に引っ張り出すことに成功した。

「あ、ありがとうございます。あんなトラップが仕掛けられていたとは思いませんでしたわ」

 いや、あれはトラップではないのだけどな。

「どうにか城の外に出ることができましたし、早く森の方に向かいますわよ」

 ドレスに付いた汚れを払い、彼女は森の方に向かって行く。

 そう言えば、エリーザ姫が城を抜け出したい理由を聞いていなかったな。あとで聞くとしよう。

 俺はお姫様の隣を歩き、森に向かった。










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