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第十四章
第二話 リュシアン、お前の力を俺に貸してくれ
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~リュシアン視点~
ベルトラムさんから話をはぐらかされつつも、俺は町への道を歩く。
あれから互いに無言となり、沈黙が続く。
「ふぅ、やっと町が見えたわい。町から砦までの距離はさほどないはずなのに、疲れてしまった。年は取りたくないな」
先に沈黙を破ったのはベルトラムさんだった。彼は見え始める町を見据えながらポツリと呟く。
「ははは。さすがに年には勝てませんか。もしかしたら町に戻れば、綺麗なお姉さんが出迎えてくれるかもしれませんよ」
「何! それは本当か! そんな大事なことは早く言わないか! こうしてはいられない。早く町に戻るぞ!」
先ほどまで疲れた表情を浮かべていたのにも関わらず、彼は声を上げると元気な足取りで歩き始める。
歩く速度を上げるベルトラムさんを見て、苦笑いを浮かべた。
俺は『かもしれない』と言っただけなのに、本当のことを言っていると勘違いしていないか。単純にも程があるぞ。
どんどん先に進むハゲた爺さんの後を歩く。しかし彼との距離は次第に離れて行く一方だった。
本当に疲れていたのか? まるで心配してほしいから、演技をしていたかのように見えるぞ。
まぁ、俺は俺のペースで歩くとするか。さすがに疲れたからな。
疲労が溜まりにくいように負担をかけない歩き方で歩くと、十分ほどで町に辿り着く。すると先に町に戻ったベルトラムさんが、俺を睨み付けてきた。
「ボウズ! お前ワシに嘘を言ったな! どこにもピチピチギャルがおらぬではないか!」
「いや、俺は『かもしれない』と言っただけで、断言はしていませんよ」
しかも彼の頭の中では、ピチピチギャルが出迎えることになっているし。
「あ、リュシアン君おかえり。それとついでにベルトラムさんも」
「あ、ほら。時間差ですけど、綺麗なお姉さんが出迎えてくれたじゃないですか」
水色の髪をクラシカルストレートにしている女性に手を向け、無理やり俺が言ったことが現実になったことを伝える。
「何が綺麗なお姉さんだ。エレーヌはもうおばさんではないか。それに出迎えに来たのはボウズであって、ワシはついでみたい……に?」
ベルトラムさんは言葉を連ねるも、途中で気付いたようで顔を青ざめ出した。
あーあ、俺は敢えて彼女の禁句に触れないようにしていたのに。本当にベルトラムさんはデリカシーがないって言うか、度胸があるっていうか、先のことを考えていないって言うか。
「エ、エレーヌ! 待つのだ! 今のは口が滑って! あ!」
「誰かおばさんですか! わたしは永遠の十七歳って言っているでしょう!」
「ひっ! モンスターよりも怖いやつが憤怒状態になりやがった! 逃げろ!」
恐怖に顔を引き攣らせながらも、ベルトラムさんは全速力で脱兎の如く一目散に逃げ出す。
再び会うまでに、エレーヌさんの機嫌が治っていればいいのだけど。
「もう、本当にあんなんだから女性に嫌われるのよ。リュシアン君はあんな男になってはいけないからね」
「は、はい! 肝に銘じます!」
「あ、そうだ! リュシアン君にお客さんが来ているのよ!」
「お客さん?」
俺に客が来ていると聞かされ、小首を傾げる。
いったい誰だろうか? 俺を訪ねに来る人物に心当たりがない。チャプスの件でレンナルト王様が来ていたとしたら、エレーヌさんがわざわざお客さんとは言わないだろう。いったい誰なんだろうか。
「分かりました。今から会いに行きます」
「ギルドにいるから、わたしも一緒に行くわ」
ギルドマスターと一緒にギルドに戻り、扉を開けて中に入る。
「よぉ、久しぶりだな」
金髪の髪をランダムマッシュにしている男が俺に気付くと右手を上げた。
「お前はフェルディナン! 俺に会いに来たお客さんってお前だったのかよ」
久しぶりにあった元同僚との再会に少しだけ嬉しくなりながらも、彼に近づくとなんか変だと気付く。
目の下にはクマができており、疲れ切った表情をしていた。
「お前大丈夫か。目の下にクマができているし、なんだか辛そうだぞ」
「ああ、リュシアンを探すために睡眠時間を削ってあちこち探したからな。まぁ、睡眠不足はお前がいなくなった後に、アントニオからこき使われた時に慣れている」
俺を探し出すためにここまで無茶をしたのか。昔のフェルディナンなら、考えられないぞ。でも、そんな彼がここまでしたんだ。絶対に何かがあったに決まっている。
「本当に大丈夫なのかよ。話はお前が元気になった後に聞くから、今日は休め」
「そうだな。そうさせてもらう」
「エレーヌさん、寮にまだ空き部屋がありましたよね。そこを使っても良いですか?」
「ええ、別に構わないわよ」
ギルドマスターに許可をもらい、フェルディナンを連れてギルドを出た。
翌日、俺は元気になったフェルディナンとギルド内で対面して彼の話を聞く。
「それで、お前に何があった」
「俺のギルドが潰れた」
「何だって!」
思わず声を上げる。確かにフェルディナンズの評判は、最近よくないと風の噂で聞いていた。でも、彼なりに頑張って、どうにか上手く立ち回っていたはず。
「お前も知っているかと思うが、ペテンが裏切った。俺を半殺しにして運営資金を奪い、ギルドに火を放った」
彼の説明を聞き、生唾を呑む。
ペテンって確か、ラープロテクションの神殿にあった宝玉を俺から受け取ったやつだったよな。
やっぱり、あいつもあのギルドで働いていたのか。でも、俺はペテンとほとんど関わっていないはずだから。あんまり覚えていない。
「俺はあいつに復讐をしたい。だからお前の力を借りたい! 俺には、お前が必要なんだ!」
ベルトラムさんから話をはぐらかされつつも、俺は町への道を歩く。
あれから互いに無言となり、沈黙が続く。
「ふぅ、やっと町が見えたわい。町から砦までの距離はさほどないはずなのに、疲れてしまった。年は取りたくないな」
先に沈黙を破ったのはベルトラムさんだった。彼は見え始める町を見据えながらポツリと呟く。
「ははは。さすがに年には勝てませんか。もしかしたら町に戻れば、綺麗なお姉さんが出迎えてくれるかもしれませんよ」
「何! それは本当か! そんな大事なことは早く言わないか! こうしてはいられない。早く町に戻るぞ!」
先ほどまで疲れた表情を浮かべていたのにも関わらず、彼は声を上げると元気な足取りで歩き始める。
歩く速度を上げるベルトラムさんを見て、苦笑いを浮かべた。
俺は『かもしれない』と言っただけなのに、本当のことを言っていると勘違いしていないか。単純にも程があるぞ。
どんどん先に進むハゲた爺さんの後を歩く。しかし彼との距離は次第に離れて行く一方だった。
本当に疲れていたのか? まるで心配してほしいから、演技をしていたかのように見えるぞ。
まぁ、俺は俺のペースで歩くとするか。さすがに疲れたからな。
疲労が溜まりにくいように負担をかけない歩き方で歩くと、十分ほどで町に辿り着く。すると先に町に戻ったベルトラムさんが、俺を睨み付けてきた。
「ボウズ! お前ワシに嘘を言ったな! どこにもピチピチギャルがおらぬではないか!」
「いや、俺は『かもしれない』と言っただけで、断言はしていませんよ」
しかも彼の頭の中では、ピチピチギャルが出迎えることになっているし。
「あ、リュシアン君おかえり。それとついでにベルトラムさんも」
「あ、ほら。時間差ですけど、綺麗なお姉さんが出迎えてくれたじゃないですか」
水色の髪をクラシカルストレートにしている女性に手を向け、無理やり俺が言ったことが現実になったことを伝える。
「何が綺麗なお姉さんだ。エレーヌはもうおばさんではないか。それに出迎えに来たのはボウズであって、ワシはついでみたい……に?」
ベルトラムさんは言葉を連ねるも、途中で気付いたようで顔を青ざめ出した。
あーあ、俺は敢えて彼女の禁句に触れないようにしていたのに。本当にベルトラムさんはデリカシーがないって言うか、度胸があるっていうか、先のことを考えていないって言うか。
「エ、エレーヌ! 待つのだ! 今のは口が滑って! あ!」
「誰かおばさんですか! わたしは永遠の十七歳って言っているでしょう!」
「ひっ! モンスターよりも怖いやつが憤怒状態になりやがった! 逃げろ!」
恐怖に顔を引き攣らせながらも、ベルトラムさんは全速力で脱兎の如く一目散に逃げ出す。
再び会うまでに、エレーヌさんの機嫌が治っていればいいのだけど。
「もう、本当にあんなんだから女性に嫌われるのよ。リュシアン君はあんな男になってはいけないからね」
「は、はい! 肝に銘じます!」
「あ、そうだ! リュシアン君にお客さんが来ているのよ!」
「お客さん?」
俺に客が来ていると聞かされ、小首を傾げる。
いったい誰だろうか? 俺を訪ねに来る人物に心当たりがない。チャプスの件でレンナルト王様が来ていたとしたら、エレーヌさんがわざわざお客さんとは言わないだろう。いったい誰なんだろうか。
「分かりました。今から会いに行きます」
「ギルドにいるから、わたしも一緒に行くわ」
ギルドマスターと一緒にギルドに戻り、扉を開けて中に入る。
「よぉ、久しぶりだな」
金髪の髪をランダムマッシュにしている男が俺に気付くと右手を上げた。
「お前はフェルディナン! 俺に会いに来たお客さんってお前だったのかよ」
久しぶりにあった元同僚との再会に少しだけ嬉しくなりながらも、彼に近づくとなんか変だと気付く。
目の下にはクマができており、疲れ切った表情をしていた。
「お前大丈夫か。目の下にクマができているし、なんだか辛そうだぞ」
「ああ、リュシアンを探すために睡眠時間を削ってあちこち探したからな。まぁ、睡眠不足はお前がいなくなった後に、アントニオからこき使われた時に慣れている」
俺を探し出すためにここまで無茶をしたのか。昔のフェルディナンなら、考えられないぞ。でも、そんな彼がここまでしたんだ。絶対に何かがあったに決まっている。
「本当に大丈夫なのかよ。話はお前が元気になった後に聞くから、今日は休め」
「そうだな。そうさせてもらう」
「エレーヌさん、寮にまだ空き部屋がありましたよね。そこを使っても良いですか?」
「ええ、別に構わないわよ」
ギルドマスターに許可をもらい、フェルディナンを連れてギルドを出た。
翌日、俺は元気になったフェルディナンとギルド内で対面して彼の話を聞く。
「それで、お前に何があった」
「俺のギルドが潰れた」
「何だって!」
思わず声を上げる。確かにフェルディナンズの評判は、最近よくないと風の噂で聞いていた。でも、彼なりに頑張って、どうにか上手く立ち回っていたはず。
「お前も知っているかと思うが、ペテンが裏切った。俺を半殺しにして運営資金を奪い、ギルドに火を放った」
彼の説明を聞き、生唾を呑む。
ペテンって確か、ラープロテクションの神殿にあった宝玉を俺から受け取ったやつだったよな。
やっぱり、あいつもあのギルドで働いていたのか。でも、俺はペテンとほとんど関わっていないはずだから。あんまり覚えていない。
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