ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第十五章

第二話 セシリオのトラップ

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 レンナルト王様から王族の馬車を借り、俺たちは天空の塔を目指す。

 今日が満月の日だ。夜になる前になんとしても暗黒龍の復活を阻止する。

 敵の野望を阻止する覚悟を固めながら、視界に捉えつつある塔を見る。

 大きいな。天空龍スリシオを無力化するために向かった山のように聳え立っている。

 馬車の中で、俺たちは無言だった。みんなこれが最後の戦いだと分かっているようで、顔を引き締めている。

 それから数十分が経過し、俺たちは天空の塔へと辿り着いた。

 ここまでは敵の妨害がなかったな。復活の儀式の準備に手間取っているのか、それとも俺たちを足止めするまでもないと思っているのか。

 どっちにしても、すんなりとここまで来られたのは大きい。

 馬車が停止して扉が開かれる。

「天空の塔に到着しました」

「ありがとうございます。ここは危険な場所ですので、あなたは引き返してください。翌朝に迎えに来ていただければ大丈夫ですので」

「畏まりました。では、そのように致します」

 兵士に一旦帰るように伝え、俺たちは馬車から降りる。

 全員が馬車から降りると、俺たちを乗せた馬車は急いで引き返して行く。

「さぁ、行こう」

 塔の扉を開けると中は広い空間だった。壁沿いに螺旋状の階段があるだけで、他には何もない。

「この上にサウザーたちがいるのですね」

「早く行きましょうよ」

「そうですわね。あの男たちと決着を付けて伝龍からの恐怖から解放されましょう」

 女性陣がそれぞれ口に出す中、俺は無言で顔を見上げる。

 この先にサウザーとセシリオさんがいる。ここまで妨害がなかったのは意外だったが、この先もないとは限らない。

「みんな、念のために警戒を怠らないように。もしかすると罠が仕掛けられているかもしれない」

 彼女たちに注意を促し、俺は慎重に階段へと向かって行く。

 ゆっくりと歩き、床や壁にトラップがないかを確認する。

 今のところ怪しいものはないな。床の一部が沈んでトラップが作動する様子も、怪しいボタンもない。

 螺旋状の階段までは特に罠などはなかった。

 この階段、長年手入れされていないから錆び付いているな。脆くなっている場所もあるし、階段を壊されでもしたら先に進めなくなる。

 罠が発動しないように願いながらゆっくりと階段を登って行く。

 トラップがないか細心の注意を払っているからか、さっきから心臓の鼓動が早鐘を打っている。

 緊張しているな。でも、こればかりは仕方がない。奴らとの最終決戦を前にして、緊張しないやつはいないだろう。

「ハハハ! リュシアン良く来たな。お前なら必ず来てくれると信じていたぞ」

 真上から聞き覚えのある声が聞こえ、顔を上げる。そこには、茶髪のロングヘアーで眼帯をしている容姿の整っているイケメンがいた。清潔感のある高そうな服から、一瞬貴族かと見間違ってしまうほどの存在感を醸し出している。

「セシリオさん!」

「リュシアン、悪いが暗黒龍は必ず復活させてもらう。俺には成さなければならないことがあるからな」

 セシリオさんは懐から突起物のあるお椀型の物体を取り出した。

「ここまで来て悪いが、お前たちはここで終わりだ。あの世で俺の活躍を見届けていろ」

 彼が突起物を押した瞬間、螺旋状の階段が爆発する。

 くそう。ここまで来てからトラップを発動させやがったか。

「か、階段が爆発して落ちる!」

「ピ、リュシアンピグレットどうするの!」

「このままででは全員死んでしまいますわ!」

 階段を爆破されたことで彼女たちが取り乱している。

 現在階段の半分ほど登っている。この場から落下してしまえば、ほぼ確実に落下死してしまう。運良く生き残ったとしても複雑骨折は免れない。一生寝たっきりの生活を過ごすことになる。

 そんなことさせるかよ。

 落下しつつも上空を見ると、爆破されたのは半分までで、そこから上はまだ残っていることが分かった。

 瞬時にポーチに手を突っ込み、マンダラ蜘蛛の糸で作った操り糸をれをロープ代わりに使う。

 残った階段の手すりに巻きつけ、余った分をユリヤたちの体に巻き付ける。

 これでどうにか落下死からは免れた。でも、宙吊りされた状態ではほとんど状況は変わらない。

「ハハハ! さすがリュシアンだ。咄嗟に生き残るための選択を瞬時にできるとは称賛に値する」

 笑い声が上げながら、セシリオさんが降りてきた。

 まずい。このままでは糸を切られて落下させられる。

 歯を食い縛っていると、彼は階段の端から俺たちを見下ろす。

「そんなに怖い顔をするなよ。ここまで必死に生き残ろうとしているやつを落とすほど、俺は落ちぶれてはいない。そこから這い上がって来ることができたのなら、再び相手をしてやる」

 捨て台詞を吐くと、セシリオさんは階段を登り始め、頂上へと向かって行った。

 なんとか命を繋ぎ止めることができたが、このままでは時間の問題だ。

 何か方法がないか思考を巡らせていると、あるアイディアが閃く。

 上手く行くかは賭けになるが、やってみる価値はある。

 太刀の柄に嵌めてある炎の属性玉に意識を集中させると、塔の中央に巨大な火球が出現する。

 よし、太刀に触れていなくとも属性玉を使うことができた。

 続いて風の属性玉に意識を集中させる。すると、火球の日光により、温められた床から上昇気流が発生し、周囲から強風が吹きこむ。すると渦巻き状に回転が強まった塵旋風じんせんぷうが発生した。

 風の渦は俺たちを飲み込むと上方へと押し上げる。

 上手く行った。塵旋風は時にして人の体を吹き飛ばす力もある。成功してくれて助かった。

 押し上げられた俺たちは、塔の最上階付近の階段に辿り着くことができた。

 目の前には外に繋がると思われる扉がある。

 俺は固唾を呑むと、心臓の鼓動が早鐘を打つ中扉を開けた。
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