【13章まで完結】25人の花嫁候補から、獣人の愛され花嫁に選ばれました。

こころ ゆい

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ジャッカルはひたすらに愛を囁く

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「...玄翠さん、見過ぎです」

 美波が尻窄みに言った。

「ん~、そうかな?....ごめんね」

 トロンと溶けてしまいそうな目で、頬杖をつきながら隣に座る美波を一心に見つめる玄翠。

 ごめんと言いながら、視線を外す気配はない。

 今日の美波は、パステルグリーンのふわふわのロングスカート、白の爽やかなトップスというスタイル。
 パフスリーブからのぞいた白い腕が、艶っぽい。

 黒く艶やかな長い髪は、ふわふわとウェーブさせてハーフアップにしている。

 美波はいたたまれなくて、俯いた。

****

 今、美波たちは車でお出かけしていた。
 昨日、玄翠が帰る際に誘われたのだ。

 ーー美波ちゃん。俺とデートしない?

 “デート“と言われると、急に意識して美波は真っ赤になった。

 だって、何となく察していたけれど...玄翠は美波に好意を抱いてくれている。はっきりとそう感じてしまったのだ。

 美波をみつめる視線、まっすぐで甘い言葉、美波を気遣ってくれる行動。

 全てが美波にとって、新鮮で。初めての経験で。
 どう反応したらいいのかわからなくて、おどおどする美波でさえ、玄翠は「可愛い」と言ってくれる。

(は、恥ずかし...)

 美波が最近の彼の態度を回想して....恥ずかしさとカァと熱くなる頬に目をギュッと瞑りかけた時。

「...はぁ。...特等席。これはご褒美。癒やし。甘いデザート。...はぁ~。最高です、神様....ありがとう」

「.........」

 まるで夢でも見てるみたいな、うわ言が聞こえてきた。....大丈夫だろうか。

「...寝ぼけてます?」

 美波が照れ隠しでそう言えば、「寝るなんてもったいない!」と本気で返された。

 ....もう放っておこう。
 美波は、スルーして前を向いた。

 そんな会話に、さっきまでの恥ずかしさは和らいでいた。ほわんと心がほぐれて、次はウキウキしてくる。

 車はどんどん進んでいく。
 どこに向かっているのだろう。
 玄翠はどこに行きたいか聞いてくれたが、結局コースは彼にお任せした。楽しみだ。


 家まで迎えに来た玄翠は、スーツにネクタイを締めていた。夕方、仕事があるらしい。ここ数日家に訪れていた時の爽やかなラフスタイルとは雰囲気が違う。

 最初会った時は、スーツだったが...あの時は警戒していてあまりじっくり見ていなかった。

 美波は、チラリと玄翠を盗み見た。

 背が高くほどよく筋肉質なのがわかる彼は、スーツが抜群によく似合う。綺麗な顔立ちと相まって、ものすごく...かっこいい。

 美波は、視線を自分の膝に戻してドキドキしていた。

 ーーそれにしても。

「...玄翠さんって...一体何者ですか?」

 美波の視線の先には、運転席。
 白い手袋をして、ピシッとスーツを着る別の男性。

 玄翠は、見るからに高級そうな車....まさかの運転手付きで現れたのだ。

 玄翠と美波は後部座席に座って、ゆるりと目的の場所に到着するのを座って待つ。

 なんて優雅なのだろう。

「ん~、そういえば話してなかったかな?俺は、色々してるよ。本業は医者だけど、時々、大学で授業してることもある。政治家に呼ばれて、意見交換する仕事もしてる」

 玄翠は、病院で患者を診察する傍ら、名門大学で医学の授業もしていた。時折、政治家たちがアドバイスを求めて玄翠のもとを訪れることも。

 今は全く感じないが....もとい、美波の前ではちょっとばかし弾けてしまっているが。

 そこは、やはり獣人。

 実は頭の回転が速く、頭脳明晰。稼ぎも桁違い。代々続く家柄も良く、条件だけで見たらトップクラス。

 それが玄翠だった。
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