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第14話 ②
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「……やっぱりアンさんが使っている魔法が球根の毒を解毒したのは間違いなさそうだね」
「アンは誰に魔法を教わったんだ?」
「祖父からです。両親の代わりに花の育て方や魔法を私に教えてくれました」
特別魔法の適性が高い子供なら魔法学校に通って魔法師や魔導師を目指すけれど、普通の子供は親に教えて貰うことがほとんどだ。
私の場合も特別魔力が高い訳では無かったので、初級の魔法をお祖父ちゃんから教わっただけだった。
「アンの祖父は名のある魔導師だったのか?」
「え、いや、どうなんでしょう……? 私が物心ついた頃にはここで花を育てていましたので、詳しくは両親に聞かないとわからないですね」
お祖父ちゃんはいつも笑顔を浮かべていて、とても穏やかな人だった。そんなお祖父ちゃんに魔導師というイメージは全く無い。
「あ、でも祖父は元々別の国に住んでいたらしいです。この国で祖母に出逢って永住したと聞いたことがあります」
もしかして術式が珍しいのも、国の違いが原因かもしれない。言葉が違うように魔法も国によって違うのだろう。
「いや、国は関係無いと思うよ。魔法はこの世界の理を規準にして体系化されているんだ。だからこの世界の人間である限り、国が違っても魔法がもたらす効果は変わらないはずなんだよ」
……私の予想は尽くハズレていく。何だか事態は私の理解できる範囲を超えてきたようだ。
「僕も魔法を使ってみるから、よく見ておいてね。<我が生命の源よ 清らかなる水となりて 我が手に集い給え アクア=クリエイト>」
私と同じ初級の魔法の呪文を唱えたヘルムフリートさんの手のひらから、魔法陣が浮かび上がると、そこから水でできた球体が現れた。
「これが普通の魔法だよ。アンさんの魔法との違いはわかる?」
「……えっと、私の魔法は魔法陣が無かったと思います」
私の魔法だと魔力がキラキラと光って水になっていたけれど、ヘルムフリートさんの魔法の場合、魔法陣から出た水の球がだんだん大きくなっていた。
普段、他の人の魔法を見る機会なんて無かったから気が付かなかったけれど、ヘルムフリートさんの魔法が一般的なのであれば、私の魔法は確かに普通じゃないとわかる。
(一体どうなってるの……?! お祖父ちゃんは何も言ってなかったよね……?)
私の魔法を見たお祖父ちゃんからも両親からも、何かを言われたことはない。だから魔法はこういうものだと思っていたのに。
「通常では魔法陣に書かれた術式で水を生成しているが、アンの魔法は魔力を水に変換してるのだな」
「そんな魔法は聞いたことがないよ。まあ、それは後で調べるとして、今はアンさんが作った水が何故毒を無くすのか、だね」
ヘルムフリートさんはそう言うと、鞄の中からガラス容器と箱のようなものを取り出した。
「そういう訳でこの容器の中に毒あり球根と解毒した球根を入れていいかな?」
ヘルムフリートさんが出した箱のようなものは、魔力や成分などを調べる魔道具なのだそうだ。
光の魔法の応用で物質に光を当てて走査し、対象物の情報を調べることが出来るらしい。
「それはもちろん構いませんが……こんな魔道具があるんですね。初めて見ました!」
「ヘルムフリートが作った魔道具なんだ。高度な技術を使っているから、まだ世には出ていないらしい」
「高度な技術……! すごいです……!」
さすが魔術師団団長様だ。この若さで団長になったのだから、さぞや優秀なんだろうな、とは思っていたけれど、こんな魔道具が作れるなんてもう稀代の天才なのではないだろうか。
「そんなに褒められると照れるなぁ。……あ、結果が出たね。どれどれ?」
ヘルムフリートさんが魔道具の上部に現れた文字を読んでいる。ジルさんも結果が気になるのか、魔道具を覗き込んでいるので、私も後ろから覗いてみたけれど、何が書かれているのかさっぱりわからなかった。
「……これは…………!」
「うーん、まさか……ねぇ……」
解析結果を見た二人が黙り込んでしまった。一体どんな結果が出たのか気になるけれど、考えている人の邪魔はいけないと思い、説明してくれるのを待つことにする。
「アンは誰に魔法を教わったんだ?」
「祖父からです。両親の代わりに花の育て方や魔法を私に教えてくれました」
特別魔法の適性が高い子供なら魔法学校に通って魔法師や魔導師を目指すけれど、普通の子供は親に教えて貰うことがほとんどだ。
私の場合も特別魔力が高い訳では無かったので、初級の魔法をお祖父ちゃんから教わっただけだった。
「アンの祖父は名のある魔導師だったのか?」
「え、いや、どうなんでしょう……? 私が物心ついた頃にはここで花を育てていましたので、詳しくは両親に聞かないとわからないですね」
お祖父ちゃんはいつも笑顔を浮かべていて、とても穏やかな人だった。そんなお祖父ちゃんに魔導師というイメージは全く無い。
「あ、でも祖父は元々別の国に住んでいたらしいです。この国で祖母に出逢って永住したと聞いたことがあります」
もしかして術式が珍しいのも、国の違いが原因かもしれない。言葉が違うように魔法も国によって違うのだろう。
「いや、国は関係無いと思うよ。魔法はこの世界の理を規準にして体系化されているんだ。だからこの世界の人間である限り、国が違っても魔法がもたらす効果は変わらないはずなんだよ」
……私の予想は尽くハズレていく。何だか事態は私の理解できる範囲を超えてきたようだ。
「僕も魔法を使ってみるから、よく見ておいてね。<我が生命の源よ 清らかなる水となりて 我が手に集い給え アクア=クリエイト>」
私と同じ初級の魔法の呪文を唱えたヘルムフリートさんの手のひらから、魔法陣が浮かび上がると、そこから水でできた球体が現れた。
「これが普通の魔法だよ。アンさんの魔法との違いはわかる?」
「……えっと、私の魔法は魔法陣が無かったと思います」
私の魔法だと魔力がキラキラと光って水になっていたけれど、ヘルムフリートさんの魔法の場合、魔法陣から出た水の球がだんだん大きくなっていた。
普段、他の人の魔法を見る機会なんて無かったから気が付かなかったけれど、ヘルムフリートさんの魔法が一般的なのであれば、私の魔法は確かに普通じゃないとわかる。
(一体どうなってるの……?! お祖父ちゃんは何も言ってなかったよね……?)
私の魔法を見たお祖父ちゃんからも両親からも、何かを言われたことはない。だから魔法はこういうものだと思っていたのに。
「通常では魔法陣に書かれた術式で水を生成しているが、アンの魔法は魔力を水に変換してるのだな」
「そんな魔法は聞いたことがないよ。まあ、それは後で調べるとして、今はアンさんが作った水が何故毒を無くすのか、だね」
ヘルムフリートさんはそう言うと、鞄の中からガラス容器と箱のようなものを取り出した。
「そういう訳でこの容器の中に毒あり球根と解毒した球根を入れていいかな?」
ヘルムフリートさんが出した箱のようなものは、魔力や成分などを調べる魔道具なのだそうだ。
光の魔法の応用で物質に光を当てて走査し、対象物の情報を調べることが出来るらしい。
「それはもちろん構いませんが……こんな魔道具があるんですね。初めて見ました!」
「ヘルムフリートが作った魔道具なんだ。高度な技術を使っているから、まだ世には出ていないらしい」
「高度な技術……! すごいです……!」
さすが魔術師団団長様だ。この若さで団長になったのだから、さぞや優秀なんだろうな、とは思っていたけれど、こんな魔道具が作れるなんてもう稀代の天才なのではないだろうか。
「そんなに褒められると照れるなぁ。……あ、結果が出たね。どれどれ?」
ヘルムフリートさんが魔道具の上部に現れた文字を読んでいる。ジルさんも結果が気になるのか、魔道具を覗き込んでいるので、私も後ろから覗いてみたけれど、何が書かれているのかさっぱりわからなかった。
「……これは…………!」
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