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本編 平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。
44.どなたですか
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「七海ー、お疲れ!」
会社を出ると新がニコニコして手を上げ七海を迎えた。
今日は長髪を一つに括って、Tシャツに薄いグレーのジャケットを羽織っている。以前の怪しい装いとは違うキチンとした雰囲気なので、少しホッとして胸を撫で下ろした。
「あら……」
声を掛けようとして七海はピタリと立ち止まる。
そしてクルリと振り返った。
またしても、三人の先輩と目が合う。
七海はペコリと頭を下げた。
驚いたように目を見開いた三人の内、岬以外は二人がペコリと頭を下げ返してくれた。
ホッとして七海は新の方を振り返り手を上げた。
すると長身の新の影からヒョッコリと顔を出した人物がいて、七海は目を瞠った。
見覚えがある、そう思ったからだ。
「え……と、あれ?」
フワフワの金髪に薄い水色の瞳。
記憶を引き出そうと、ニコリと微笑んだ彼女の顔を七海はマジマジと見入った。
「もしかして……亜理子ちゃん?」
「七海、久しぶり~!」
手を小さく振りながら背の高いその娘は七海に歩み寄り、彼女の両手を取った。
そのままフルフル取った手を振リ回す仕草は可愛らしいが、見た目は海外のファッション誌の表紙から飛び出して来たようなゴージャスさで(ギャップがスゴイな)と七海は思った。
「ま~……なんか大人になったねぇ……」
「七海、親戚のオバちゃんみたいだな」
「アハハ……七海はぜんっぜん、変わらないねえ。すぐ分かったよ」
新が突っ込みを入れると、亜理子と呼ばれた金髪碧眼の彼女が笑いながら言った。
その屈託の無さに思わず七海も笑ってしまう。
「亜理子ちゃん、どうしてここに?」
新の中学時代の彼女である亜理子は、高校進学の時期に父親の都合でアメリカに引っ越した。帰って来るかどうかも分からなかったので、二人は結局円満に別れる道を選んだ。
その後暫くして新には新しい彼女が出来たが、それほど長く付き合いが続く事無く別れに至ると言う事が何度かあって、今はフリーの筈だった。
「春休みに俺、旅行行ったでしょ?そん時偶然再会したんだ」
「え?アメリカじゃ無かったよね」
「うん。フランスのポワッシーでコルビジェの家を見に行った時、その門の前でバッタリ会ったんだ」
新は建築学科専攻で、バイト代を貯めて休み毎に国内外の有名な建築物を見て回っていた。そこで偶々同じように見学旅行をしていた亜理子と再会したそうだ。
「へぇ~、スゴイ偶然だね。もしかしてアメリカの学校って今夏休み?」
「うん、今月から三カ月。ずっとお祖母ちゃんの家にいるから、また遊んでね」
新は休みの日によく亜理子を家に連れて来て、黛や七海とゲームをして遊んだものだ。すっかり七海を追い越して大人の女性に成長した亜理子と今更ゲームも無いかもしれないが、七海はコクリと頷いた。最近暫く本田家にもお邪魔していないので、挨拶がてら遊びにに行くのも良いかもしれない。
「じゃあ、唯の試験が終わったら遊ぼうか」
「やった」
手を取り合いながら喜ぶ女性陣に、お腹を空かせた長髪の男が抗議の声を上げた。
「お腹空いた!もう移動しようよ」
「あ、そうだね。よおし、今日は社会人のお姉さんが二人に奢ってあげよう!」
七海が漢気を発揮して胸をドンと叩くと、学生二人は手を叩いて喜んだ。
「七海優しい!」
「お姉さま!カッコ良い!太っ腹!」
「調子良いな~、二人とも」
両側から飛びつかれ、七海は満更でも無い顔で苦笑したのだった。
会社を出ると新がニコニコして手を上げ七海を迎えた。
今日は長髪を一つに括って、Tシャツに薄いグレーのジャケットを羽織っている。以前の怪しい装いとは違うキチンとした雰囲気なので、少しホッとして胸を撫で下ろした。
「あら……」
声を掛けようとして七海はピタリと立ち止まる。
そしてクルリと振り返った。
またしても、三人の先輩と目が合う。
七海はペコリと頭を下げた。
驚いたように目を見開いた三人の内、岬以外は二人がペコリと頭を下げ返してくれた。
ホッとして七海は新の方を振り返り手を上げた。
すると長身の新の影からヒョッコリと顔を出した人物がいて、七海は目を瞠った。
見覚えがある、そう思ったからだ。
「え……と、あれ?」
フワフワの金髪に薄い水色の瞳。
記憶を引き出そうと、ニコリと微笑んだ彼女の顔を七海はマジマジと見入った。
「もしかして……亜理子ちゃん?」
「七海、久しぶり~!」
手を小さく振りながら背の高いその娘は七海に歩み寄り、彼女の両手を取った。
そのままフルフル取った手を振リ回す仕草は可愛らしいが、見た目は海外のファッション誌の表紙から飛び出して来たようなゴージャスさで(ギャップがスゴイな)と七海は思った。
「ま~……なんか大人になったねぇ……」
「七海、親戚のオバちゃんみたいだな」
「アハハ……七海はぜんっぜん、変わらないねえ。すぐ分かったよ」
新が突っ込みを入れると、亜理子と呼ばれた金髪碧眼の彼女が笑いながら言った。
その屈託の無さに思わず七海も笑ってしまう。
「亜理子ちゃん、どうしてここに?」
新の中学時代の彼女である亜理子は、高校進学の時期に父親の都合でアメリカに引っ越した。帰って来るかどうかも分からなかったので、二人は結局円満に別れる道を選んだ。
その後暫くして新には新しい彼女が出来たが、それほど長く付き合いが続く事無く別れに至ると言う事が何度かあって、今はフリーの筈だった。
「春休みに俺、旅行行ったでしょ?そん時偶然再会したんだ」
「え?アメリカじゃ無かったよね」
「うん。フランスのポワッシーでコルビジェの家を見に行った時、その門の前でバッタリ会ったんだ」
新は建築学科専攻で、バイト代を貯めて休み毎に国内外の有名な建築物を見て回っていた。そこで偶々同じように見学旅行をしていた亜理子と再会したそうだ。
「へぇ~、スゴイ偶然だね。もしかしてアメリカの学校って今夏休み?」
「うん、今月から三カ月。ずっとお祖母ちゃんの家にいるから、また遊んでね」
新は休みの日によく亜理子を家に連れて来て、黛や七海とゲームをして遊んだものだ。すっかり七海を追い越して大人の女性に成長した亜理子と今更ゲームも無いかもしれないが、七海はコクリと頷いた。最近暫く本田家にもお邪魔していないので、挨拶がてら遊びにに行くのも良いかもしれない。
「じゃあ、唯の試験が終わったら遊ぼうか」
「やった」
手を取り合いながら喜ぶ女性陣に、お腹を空かせた長髪の男が抗議の声を上げた。
「お腹空いた!もう移動しようよ」
「あ、そうだね。よおし、今日は社会人のお姉さんが二人に奢ってあげよう!」
七海が漢気を発揮して胸をドンと叩くと、学生二人は手を叩いて喜んだ。
「七海優しい!」
「お姉さま!カッコ良い!太っ腹!」
「調子良いな~、二人とも」
両側から飛びつかれ、七海は満更でも無い顔で苦笑したのだった。
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