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本編 平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。
76.紹介します(★)
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※なろう版と一部表現が変わります。
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「黛!」
茫然としていた加藤は生き返ったように、笑顔になった。黛は返事代わりにちょっと笑っただけでそれには答えずに、彼女の前をスッと通り過ぎて七海の傍に立った。
「遅れてワリィ、待っただろ?」
スマン!と言うように立てた片手を額に当てて、黛は神妙な様子で七海に謝った。
七海は気の抜けたような顔をして、珍しく素直に謝る黛をマジマジと見た。
すると黛は形の良い眉を顰めて、七海の顔を覗き込んだ。
「……遅くなったから、怒っているのか?」
「いや……えっと……」
甘えるような口振りと視線を寄越す黛に、背中がむず痒くなって七海は顔を強張らせた。どう言おうかと言葉を探って口籠る。
おそらくスマホを見てくれたか伝言を聞いたかして、黛は駆けつけてくれたのだろう。すれ違わなくて良かったと安堵する。
しかし思いっきり黛の欠点を論ったのをバッチリ聞かれていたらしい。仕事で落ち込んでいる彼を慰めようと行動したのに、何故こんなことに……と我ながら七海は混乱してしまう。
オロオロする七海の肩にポンと手を置き、黛は言った。
「もう閉店時間だ。店の迷惑になってる……外に出ないか?」
「あっうん……」
確かに―――閉店間際に立ち上がり、狭い店内で大きな声を出した七海はかなり迷惑な存在だっただろう……と指摘通りである事に気が付いて、七海は頬を真っ赤にした。
けれど元気が無いと聞いていた黛が、意外と平気なように見えて同時に少し戸惑っていた。声に張りがあり、やけに上機嫌にも見える。本心から元気になったのなら嬉しいのだが―――と、七海は内心訝しみながらも、鞄を持って黛の促すまま出口へ向かった。
すると無言で加藤も二人の後について来る。
(ストーカー疑惑は……晴れたよね、きっと)
射るように七海を見ていた視線は、不自然なほど外されている。加藤は黛の背中をジッと見たまま、七海があたかもその場にいないかのような態度を取っていたが、突っかかって来られるよりはマシだと思った。
店舗の屋外にもテーブル席が幾つか設けられており、男性が一人だけ腰掛けていた。先ほどまで居た他の客は皆席を立ったようだった。
黛は其処まで来るとクルリと振り向いて、ニコリと加藤に笑い掛けた。
「加藤さん、紹介するよ」
そこで、黛は七海の手首をグイッと引き寄せた。
「!」
不意の事に声を上げる間もなく、肩を抱かれて息を呑む。
回された腕と体が密着し、温かさが伝わって来た。突然の事に七海はパニックになった。だが加藤の手前、叫び声を上げ黛を突き飛ばしそうになる衝動を何とか堪える。
「ま、ま、黛くぅ~ん??」
動揺のあまり変なイントネーションになってしまった。黛は七海のそんな気持ちを理解している筈なのに、しれっとした顔で加藤にこう言った。
「江島七海さん。―――俺の大事な人」
(はぁ??)
「え……?」
そして黛は七海の頭に顔を寄せて、空いた手で七海の髪を一房掬い上げると―――ちゅっと口付けて見せたのだった。
七海は思わず声を上げそうになり、加藤は黛の言葉を飲み込めずに―――言葉を失った。
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「黛!」
茫然としていた加藤は生き返ったように、笑顔になった。黛は返事代わりにちょっと笑っただけでそれには答えずに、彼女の前をスッと通り過ぎて七海の傍に立った。
「遅れてワリィ、待っただろ?」
スマン!と言うように立てた片手を額に当てて、黛は神妙な様子で七海に謝った。
七海は気の抜けたような顔をして、珍しく素直に謝る黛をマジマジと見た。
すると黛は形の良い眉を顰めて、七海の顔を覗き込んだ。
「……遅くなったから、怒っているのか?」
「いや……えっと……」
甘えるような口振りと視線を寄越す黛に、背中がむず痒くなって七海は顔を強張らせた。どう言おうかと言葉を探って口籠る。
おそらくスマホを見てくれたか伝言を聞いたかして、黛は駆けつけてくれたのだろう。すれ違わなくて良かったと安堵する。
しかし思いっきり黛の欠点を論ったのをバッチリ聞かれていたらしい。仕事で落ち込んでいる彼を慰めようと行動したのに、何故こんなことに……と我ながら七海は混乱してしまう。
オロオロする七海の肩にポンと手を置き、黛は言った。
「もう閉店時間だ。店の迷惑になってる……外に出ないか?」
「あっうん……」
確かに―――閉店間際に立ち上がり、狭い店内で大きな声を出した七海はかなり迷惑な存在だっただろう……と指摘通りである事に気が付いて、七海は頬を真っ赤にした。
けれど元気が無いと聞いていた黛が、意外と平気なように見えて同時に少し戸惑っていた。声に張りがあり、やけに上機嫌にも見える。本心から元気になったのなら嬉しいのだが―――と、七海は内心訝しみながらも、鞄を持って黛の促すまま出口へ向かった。
すると無言で加藤も二人の後について来る。
(ストーカー疑惑は……晴れたよね、きっと)
射るように七海を見ていた視線は、不自然なほど外されている。加藤は黛の背中をジッと見たまま、七海があたかもその場にいないかのような態度を取っていたが、突っかかって来られるよりはマシだと思った。
店舗の屋外にもテーブル席が幾つか設けられており、男性が一人だけ腰掛けていた。先ほどまで居た他の客は皆席を立ったようだった。
黛は其処まで来るとクルリと振り向いて、ニコリと加藤に笑い掛けた。
「加藤さん、紹介するよ」
そこで、黛は七海の手首をグイッと引き寄せた。
「!」
不意の事に声を上げる間もなく、肩を抱かれて息を呑む。
回された腕と体が密着し、温かさが伝わって来た。突然の事に七海はパニックになった。だが加藤の手前、叫び声を上げ黛を突き飛ばしそうになる衝動を何とか堪える。
「ま、ま、黛くぅ~ん??」
動揺のあまり変なイントネーションになってしまった。黛は七海のそんな気持ちを理解している筈なのに、しれっとした顔で加藤にこう言った。
「江島七海さん。―――俺の大事な人」
(はぁ??)
「え……?」
そして黛は七海の頭に顔を寄せて、空いた手で七海の髪を一房掬い上げると―――ちゅっと口付けて見せたのだった。
七海は思わず声を上げそうになり、加藤は黛の言葉を飲み込めずに―――言葉を失った。
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