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聖女暗殺事件
第52話 ロザリアの信頼 1 B
しおりを挟むそして、俺がロザリアに頼んでおいた文献調査の内で、一番重要なのが三番目。
――悪魔を召喚することが出来るという魔導書と、悪魔『ベルゼブブ』について、詳しく知っておく必要がある。
魔導書は王宮の禁書庫から盗まれ、その後、処刑台でソフィが待たされていたところまでは確認できているが、ローゼリア事件の混乱で所在不明になり、いまだに発見されていない。
もう終わった出来事よりも、まだ解決していない不安要素の方が重要度は高い。
「悪魔召喚の魔導書――正確には『悪魔を封じ込める』ための魔導書だね。封印を解くには――『婚約者の命を捧げる』か、『悪魔に叶えて欲しい強い願いを持ち、代償を支払う』……。どちらも簡単なことじゃないから、封印が解かれる危険は低いよ」
「確かにハードルは高そうだ。けど、封印が解かれる危険もゼロじゃないな――」
悪魔が封印されている本か――
確かに禁書に指定して、封じておく必要がある本だ。
前世で禁書と言えば、時の権力者にとって都合が悪い記述があるから、燃やされる本というイメージだったが、こっちの世界では、ガチで危ないから厳重に保管されている本なわけか――
ローゼリアの奴め、面倒ごとを増やしやがって――
「――使われると、具体的にどうなる?」
「さあ、それは使用者の願いしだいだし、分かんないよ。――でも、一つはっきり言えることは、悪魔に願いを叶えて貰った人間は、周りに不幸をまき散らした挙句に、願いを叶えた本人が、一番不幸になる。そういうふうに出来ているんだって――」
……。
「ローゼリアの奴は、そんなものをソフィに使わせようとしていたのか――」
「酷いことするよね。けどまあ、使えなかったと思うよ。――ソフィ様が使うとすれば、婚約者のアレス王子の命を捧げなきゃだし――悪魔に代償を支払ってまで叶えたい願いとか、そんなの持ってそうにないし――」
「……それもそうか」
「まあ、『悪魔召喚の魔導書』が危険なものであることは確かなんだし、早く探し出して、禁書庫にしまっておいた方が良いよ――」
そう言いながら、ロザリアはポリポリと尻を掻いた。
――痒かったのだろう。
俺はロザリアの尻を見つめながら、あることに思い至る。
「……そう言えば、俺はロザリアからの信頼を、いつの間にか失ってしまったのだろうか――?」
「――は? 何言ってんの? アレス様……」
ロザリアは顔を上げてからこっちを振り向き、何言ってんだこいつ? と、言いたげな表情で俺を見つめてくる。
「――いや、俺たちが知り合って、半年くらいだったか――今日みたいに、俺がロザリアの部屋を訪ねて、研究結果の報告を聞いていた時にさ――」
俺はあの時のことを、ロザリアに話した。
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