ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

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過去と現在

32.甚大なる損失

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物的損失。
それよりもアンテルーレの精神的ダメージの方がデカそうだ。と、僕は思ったんだあの時は。

でも間違ってた。アンテルーレの精神的なダメージも大きかったけど、物的損失もダメージ大きかった。


「村で塩や砂糖なんかは分けてもらえたんだけどねぇ」

アンテルーレが旅の途中で買い揃えた調味料が全ロスしたんだ。


「ぅぅぅ美味しいソースがかかったのが食べたい」

「シュアクーン様。アンテルーレに無理言わないでください。今は塩と砂糖しか無いのですから」

わかってるよ!フェジン!でも思わず口から出てしまうんだよー。
この僕の我儘発言に関しては流石のクリソッカも心から賛同している様子で静かに頷き、嫌味の一つすら口にのぼらせない。


「そもそもいままでが恵まれすぎていたんですよ?
あんなに多くの調味料を旅に持ってくる事など普通は無いんですからね」

ラルクラートのいうことはもっともかも知れないけれど一度驕った口はもう元には戻れない。


「まあ、またハーブやら何やら調味料を買い足していくからさ。…今度は、今度こそは絶対ネーロを離したりしないから」

あ、ちょっとしんみりさせてしまった。これは良くない。


「うん!まだまだエルフの里は遠いから、いーーっぱい調味料集められるね!そうだ!カレーの素とか見つけたら絶対手に入れようよ!」

「そうですね。カレー風味のスープとか美味しそうです」

少し俯いてたアンテルーレが微笑んでくれた。しばらくは食事の愚痴は止めて我慢我慢。


「ロプシンから貰った魔昆虫避けもだいぶ減ってきましたし、町に着いたら一緒に買い物に行きましょう」

フェジンがアンテルーレを誘ってくれる。僕はほっとして手の中のお昼に齧りついた。

新しいネーロがいるとはいえ、まだ時折アンテルーレはどこか遠くを見るような様子をみせていた。
とっても可愛がっていたもんなアンテルーレ。


僕らは次の目的地である町に到着するまで、旅の最初の頃に戻ってしまったご飯を食べ続けなくてはならなかった。…いや、それでも通常の野営食に比べたら十分に美味しいんだけどもさ。





▫️▫️□▫️□▫️



アウス地方の町、ハバモント。

その中でも僕らが今回宿を取ったのはハバモントで一番カレーが旨い!と有名な宿。……ではなくて。
なんと観光シーズンと丸被りした結果、有名どころは全て満室。空き部屋無しの満杯状態。


「すみません。シュアクーン様」

「別に観光に来たわけじゃないんだからさ!気にしない気にしない!ね?ラルクラート!」


「超人気店のカレー、食べたかったなぁ」

「そうだな。どうせなら町一番のモノを食したかった」

もう!ソリクッカもアンテルーレも、ラルクラートが気にしているのにお構いなしなんだからっ!


「別にご飯だけ食べに行けば良いじゃない?ね?ね?」

「それが、観光シーズンは予約制でして……」

「それでは、無理、ということですね」

もう!ソリクッカ!めっ!


「しかし、別の食事処でもカレーは食べられるでしょうから。なんてったってこの町は“じゃがカレー”が売りなのですから」

よぉしフェジン!ナイスフォロー!!


「そうだよ!まずは宿!宿!」

僕たちは今回馬を連れたままだ。なので出来れば馬を預かってくれる宿が良いんだけど。


「馬を預かってくれるような宿で大きな所はもう埋まっていて……少し外れた所にある宿になってしまうのですが」

いいよ!いいよ!観光シーズン真っ只中で良く見つけられたよ!偉いよラルクラートは!!



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