ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

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過去と現在

53.あみあみポンチョ

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「あのさ、お姉さん。僕の友達ここに出してもいいかな?」

お姉さんの出してくれたオヤツを前にモジモジとしながら伝えるシュアクーン。ずっと山道ばかりで安心してツルレンジャーたちを遊ばせてやれていなかったから。





▫️▫️□▫️□▫️


シュアクーンのお友達。

お茶をこぼしたりお皿をひっくり返したりしたらいけないからとテーブルの上を片付け、レース編みを再開してから「出してもいいよ。でもこの上でだけね?」って約束をしたんだけど……。



「ダメだよ!お姉さんの邪魔しちゃ」

多分紙?でできた不思議な生き物?で遊んでいる。…というか勝手に動いてる??

青いのは水が出せるみたいで室内の鉢植えに水をやり、緑のは風が起こせるようで他のを高く飛ばして遊んでいる。赤いのはリーダーっぽいし、黄色いのは……光る。
そして、黒いのと金ピカのはシュアクーンの近くにお座り?している。


「僕の友達を遊ばせてもいい?」って聞かれたから、ポケットに小動物でも入っているのかしら?と思ってた。そう思って「いいよ」って言ったのは、私。


「その、……その子たちはなんなの?かしら」

「あ、!みんな整列!」

シュアクーンの掛け声と共に私の前に一列に並ぶ謎の生物。…本当に生き物なのかしら?


「お姉さんにご挨拶を」

赤いのから一人づつ。羽があるみたいだから一羽ずつ??頭を下げるもの、腰をおとするもの、貴族みたいな礼をとるもの。緑のはやたら大袈裟な動きをして挨拶してくれた。…魔法?なのかしら。

そうね、こんなこと出来るのは魔法よね?ああっ商人から聞いたことがあるわ!重い荷物や建材を運ぶ時ゴーレムっていう魔法で大きい人形を動かして使うんだって。
きっとそれと同じなんだわ!

魔法を使い使役するゴーレム。
その練習?なのかも??

私は少し混乱しながらも手だけはしっかり動かしていた。




▫️▫️□▫️□▫️


カゴの中に入っていたレース糸を丸めたものを一つ貸してくれた娘さん。
玉はほんのりキラキラしていてツルレンジャーたちは押したり転がしたりして楽しそう。…ちょっと運動会の玉転がしみたい。


「ねえ、お姉さん。この糸って何の糸なの?」

「この糸?これはね。
ある時、果実以外に何か売れるような物が無いかと考えた人がネストネットの糸を紡ぐのに成功してね」

「それで布を織ったの?」

もしもネストネットの布があったらジャージくらいの柔軟性伸縮性がありそうだ。


「ううん。機織りは織り上がるまでに時間も根気もいるから、糸を撚ってレース用の糸に加工したり糸を染めて刺繍用の糸にしたの」

布を織る仕事は、折角軌道に乗った果樹畑の仕事の合間に出来るものでは無いという。

席を立って出してきてくれたのはレース編みをつなげたような綺麗なレインポンチョ。


「ネストネットの糸は水を弾くから、よっぽどのザンザン降りでも無ければ充分防水魔法をかけたレインコートと同じくらいの効力が見込めるわ」

丸いレース編みを繋げた繊細で綺麗な模様の丸いレース編みをフード付きのポンチョの形に繋げた物。────これはすごい!


「わあ!綺麗だね!すごいや!!」

「色糸はアクセントに端っこにつけたりするの」

生産している糸を全部染めている時間も労力もないから、と彼女の指し示す場所には白いレースのポンチョに立体刺繍の花などが縫い止められていた。


「商人さんに結構良い値で買ってもらえるのよ?
ただね。レース編みの出来る人の作業する時間は果樹園の仕事の合間だけだから、そんなに数が作れないのよ」

僕はお姉さんにお願いしてレインポンチョを一つ譲ってもらった。あとはお土産に糸をたくさん!
買い付けにくる商人さんよりも高く買い取ったし、糸も譲ってもらえるだけにした。

今あるだけを全部買い取りたいけど、糸が無ければ次がすぐには作れなくなっちゃうし、そうすると買い付けにくる商人さんが困っちゃうし、その人が次から来なくなったらここの人たちも困るから。

僕はその晩売ってもらった物をみんなに見せてあげた。
お姉さんは自分の編んだカゴに入れて僕らの寝ている部屋に運んでくれたのだ。…お金はフェジンから娘さんに払ってもらったよ?



「これはお嬢様方の間で流行りそうですね」

「珍しい素材と素晴らしい技術。そしてレース編みの模様も緻密で繊細で。高位貴族が持っていてもおかしくないくらいの品です」

「私はこんな繊細なものはすぐ破ってしまうから運ぶために手に持つのだって願い下げだね、おお怖い」


レース編みのレインポンチョには立体刺繍の小花がアクセントに付けられていてとても可愛らしい。
お姉さんの話だと昔特産品だったフェルトに施していた刺繍の技術も残っているのだそう。

あ、そうそう。クリソッカはクタクタでご飯食べてすぐに入眠してしまったよ。



この先どう進むかを決めるための参考に、集落の人から情報収集するのに僕らはもう少し滞在することにした。
その間お世話になっている家の仕事を手伝うのは勿論、獲物を獲ってきたりして食卓を賑わせた。

僕もツルレンジャーたちを遊ばせる事ができて満足さ!



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