ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

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ご褒美転生

10.シュアクーンと木剣

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「やあー!とおーー!」

王妃様から賜った木剣を振り回して教師の構えるのに何度も打ち込む。

「ゃぁぁあ?とぉー・・・」

ふと、目の端に映り込むモノに気を取られ、気がつけば木剣は我が手を離れ代わりに握られるのはなんだかしっくりくる枝の棒。


ハッ!と我に返るが掴んでしまったものはしょーがない。
とてとてと走り寄り、いい感じの木の棒を振り回す。


「ゃやあーー!!」

「お?シュアクーン様は槍の素養がございますな!」

この教師、叱ることなく褒めて伸ばす方針のようだ。

断然気分の乗ってきた僕はその日の剣術の時間目一杯、拾った棒っ切れを振り回した。


「良かったですぞ!シュアクーン様!そのように長い獲物を振り回せるなど体力がついてきた証ですな!」

ハッハハと笑う教師に気分をよくして僕は久しぶりに、その枝を部屋に連れ帰った。

……木剣はシェイラがちゃんと回収してたよ?



▫️▫️□▫️□▫️



来週は第四回オリガミ会合。


実は先日、新しい色のオリガミを届けにきたトレネークからある提案がなされたのだ。

あの紙工房が潰れるとの噂が蔓延していて、オリガミの材料を売るのを少し渋られてきているのだそうだ。


「忠義者とはあのような者たちの事を言うのでしょうね」

マジア工房の人間は律儀な人たちでオリガミと王子の事を外部に喋らないように固く口を閉ざしている。


「まず、第三王子専属となりながらも工房がショボ……失礼、冴えない感じなのが良くないでしょう」

そして、商会ギルドにオリガミが登録されないうちは彼らは自分達が何をして稼いでいるのか対外的に示すことが出来ない。

なので、いくら支払いが滞っていなくとも噂を否定しきれないでいる。


「ですから工房の外観云々よりも、早急に新商品を登録し、彼らに目に見える利益を与えなくてはなりません」

人の口に戸はたてられない。

噂を真に受けて材料を卸してくれなくなったら困るのはマジア工房だけではない。僕のMy警護戦隊計画もぽしゃってしまう。


「そして、前回。シュアクーン様はオリガミは真四角で無くてはならないとおっしゃいましたが、彼らにはピンときていないご様子。

なので彼らにも作る側としてではなく、使う側としてオリガミに触れ、実際にオリガミを使ってもらう必要を感じました」

今は試作品があるから、それは可能。
オリガミの使い方を教えれば良いんだよね?


「商品の事をよく知らずに商品を作れというのは難しい事と存じます」

そこでトレネークから第四回オリガミ会合開催の提案がなされた。


オリガミに関しては簡単だ。
シュアクーン自身が講師となってオリガミ教室を開催すれば良い。

問題は新商品の方だ。


「むーー。トレネークさん、少しお買い物を頼みたいのだけりぇど」

もしも、勇者アキクーン時代の時と今も変わらないなら……。


さしすせそは言えるようになってはきたが、まだ、ら行は厳しいシュアクーン。腕を組み、顎に手をやっても締まらないのである。



▫️▫️□▫️□▫️





「シュアクーン様はきちんとお布団に入って眠られているかしら」


シュアクーン様は少し寝相が悪くていらっしゃるので、こうしてお眠りになられた頃を見計らい、掛け物が乱れていないかをそっと伺いに参るのです。

本日は剣の授業に大変熱がお入りになっていたので、より心配です。

……まったく庭師たちったら寂しいからってあんなに目立つところに枝を放置することは無いじゃないですか。



寝室の扉を細く開けると、シュアクーン様はまだ起きておられました。


寝室の書き物机に向かい、トレネークから届けられた試作品の折り紙をせっせと折り、何かを作っているシュアクーン様。

あれからオリガミの色も増えて大変カラフルな商品となっている。

シュアクーン様に折っていただいた赤と青のお魚は宝石箱というオリガミとともに私室飾り棚に並んで仲良く飾られている。

どうやら傍に積まれた単色“オリガミ”から赤、青、緑、黄色をそれぞれ一枚ずつ。それともう一枚を引き抜きそれらを使って何かをするご様子。

ガサガサと粗悪な紙の音だけが静謐な夜に響いている。

“オリガミ”というただの模様もない四角い紙で一体シュアクーン様は何を為されようとしているのでしょうか?

叔父からもシュアクーン様が新しく為さることが有れば報告して欲しいと頼まれているため、私はそーっとシュアクーン様の手元を覗き込んだ。





「ッ!!!」

危うくまたぞろ“きも”が口より飛び出してこようとしたが間一髪、両手で塞いでソレを留めた。

……危なかった。

主が楽しそうに喜んで危なげなく遊んでいる、どこからどう見ても全くもって安全なおもちゃを、私の一存で取り上げる訳にも参りません。

私個人としては全くもって気分良くありませんが。


本来ならお眠りなられる時間なので、小声で何かコソコソと奴らに話しかけていらっしゃる。
時折“レンジャー”と聴こえるが他は何を呟いているかまでは聞き取れない。


どうやらシュアクーン様の中では“レンジャー”というのは5個で一組の単位として認識あそばされていらっしゃるようす。

私は“レンジャー”という馴染みの無い単語を心のメモにしっかりと書き込んでおいた。

叔父によると遊びながら魔力の扱いに慣れていくのはとても良い教育手段のひとつとなるそうだ。

────どうせならその、ツル以外のレンジャーにしていただくわけには参りませんのでしょうか。






てれってれーててーててーてれってれー!
五色揃って!
ツルレンジャー!!

どごぉおおおん(爆発)

GO!GO!ツールレンジャー♬
GO!GO!五羽なんじゃ~♪

古紙じゃ無くなったツルレンジャー。五色になれたツルレンジャー。良かったね。


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