ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

文字の大きさ
17 / 230
ご褒美転生

17.赤と青のエチュード

しおりを挟む



「おやすみレッド。明日はきっといいことあるからね」

自立型警護折鶴。
My警護戦隊ツルレンジャー。

戦隊とは名ばかりの一名のみの隊員であり、ツルレンジャーの隊長レッド。

レンジャーの基本として五名、いや、五羽揃わなくてはいけないのだが、シュアクーンの魔力量ではそれはかなわなかった。

日々魔力を使い、魔力量を増やしてやっと誕生させたのが、このツルレンジャーのリーダーであるレッド。

そうだ、まだ終われない。
シュアクーンは密かに次の段階へと進もうとしていた。


▫️▫️□▫️□▫️



「この様にして食べます」

持参したホットスリーブに包まれたたチュロスの様な砂糖を塗した短い揚げ菓子。

バナナの皮を剥く様にして少しホットスリーブを広げ齧り付く。
ほろっと砂糖が剥がれるが、ホットスリーブが優しく受け止めてくれる。

持ってきたオリガミを招かれたテーブルの上に取り出し、隣でシェイラがオリガミについて母に説明しているのを聞きながら、母の目の前で折る。

宝石箱が出来上がり母へとシェイラを介して、渡した。

母は目を丸くして驚いた様子で手のひらに載せたそれをくるくるとひっくり返したりしながらもじっくりと眺める。

僕の方へと「気に入りました」の微笑みを向ける母。よかった。






母からの突然の呼び出し。
これはお小言の予感?と、オリガミで機嫌を取ろうと画策して準備して来た。

まず、オリガミの花のブーケと持参したお菓子を渡す。

菓子を食べた後の紙屑を入れるための包装紙で作った屑入れを折りたたんで持参し、広げて使って見せる。

「便利なものね」と感心する母。

女性に好評だった宝石箱をその場で折ってプレゼント。

────そしてここで白鳥。


敵は微笑みを放っているッ!

真っ白な鳥は受けがいいッ。
僕のターーン!

ブルーアイズホワイトツル!
二体を召喚っっ

そして懐からシュバっと出す僕。


折りたたんでいた二羽を丁寧に開いてみせる僕に、「白鳥ですね?素敵だわ」と、手を合わせとても喜んでいる母。

大きさを変えた親子のツルに母は満足してくれたようだ。
……ちゃんとお目目を青くしておきましたとも。


母からお茶に招かれ、てっきりあのピクニックのリベンジかと思えば。

「一つ上の階のあなたの真上の部屋を開けさせたので自由にお使いなさい」

という。

「商会も順調だと聞きましたし、書類を置く部屋が必要かと思いましたの」

母は政務に携わっているわけでも無いし、王妃様の様な仕事もない立場にいる。
それでも一日中遊んで暮らしているはずも無いので、僕の仕事の事を思い気遣ってくれたのだろう。


普通、王子は八歳になると王宮の方に私室と執務室を賜る。
そこに書類保管用の資料室もくっついてくるのだそうだが、僕はその前に商会を設立するだなんてとんでもないことをやり始め、しかもそれなりに運営できてしまっていた。

母はここまで上手くいくとは思っていなかったので、部屋を用意するのがすっかり遅くなってしまってごめんなさいね、と謝罪までしてくれた。

まあ。
まともに座ってピクニックもできず、池の花に石投げて散らして喜んでるような子供が何言ってんだって話しでしたよね。確かに。



商会の商品について改めて僕から説明し、母とのお茶会はなんとか無事に終わった。

商会の商品であるホットスリーブに乗っけて持って行った砂糖を塗した揚げ菓子を母はいたく気に入ったようだった。
やっぱ女性には甘いものだよね。

母への手土産の揚げドーナツ。
断面が星形なので“流れ星”って呼ばれてる短いチュロス。

あの長いのを齧るのがイイんだけどなあ。
露店の商品を集めた時に、このお菓子もあったんだ。
多分、どっかの聖女が作らせたんだろうね。

こっちのは原価を考慮してなのか、そもそも甘いものを外でたくさん食べないのか、ホットスリーブに収まるくらいの短さだ。

用意したのは普通のグラニュー糖ではなくてシナモンシュガーとザラメ。
どちらも粒々が際立ってイイ感じ。

え?母は粉砂糖の方が良かったって?
うーん。お茶会なんかで出すならその方が無難なのかもね。
ポロポロし難そうだもの。

でも僕は粒々の方が好きなんだもん。

昔、ピクニックで呼び出された時とは違い、僕がまともにお茶が出来ることにも母は大変満足していたようだった。

……今回はシェイラもいたしね。


▫️▫️□▫️□▫️



「シュアクーン様、たくさんお母様に喜んでもらえましたね」

「良かったですね、シュアクーン様」

「二人とも、色々手伝ってくれてありがとう」

二人にはブーケ用の折り紙の花を一緒に折ってもらったのだ。
時間がない中でよくあれだけ準備できたよ。


「そうだ!僕、今日二人に見てもらって欲しい物があるんだ」

ジャジャーン♪
とポケットから取り出したのは赤と青の折り鶴。

「見てみて!」

シュガキーン!シュガキーン!と口で音を当てながら、二股に切られているツルの尾に当たる部分を真っ直ぐに伸ばしていく。

それからシュアクーンは赤と青の二羽に魔力を込め始めた。


「ツルレンジャー、起動!!」

テーブルの上に二羽のツルが立ち上がった。
二体揃っての初お披露目。


「ねー、ねー、すごいでしょ?すごいでしょ!!」

今朝早くに、シュアクーンはもう一体、My警護戦隊ツルレンジャーブルーを生み出していたのだ。

二体はシュアクーンが命令をせずとも自在に動く。


「きっ、……ようなものですね」

「ほう。これはすごい」

「僕のつくった僕の護衛隊なんだ!」

これからは、この二羽が僕のそばにいてくれるから、よろしくお願いします!と、勢いよく頭を下げるシュアクーン。

その動きと合わせてボウ・アンド・スクレープを左右対称の形で華麗に披露する姿が、完全シンクロしている赤と青の二羽だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。 なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。 一人称視点、独り言多め、能天気となっております。 なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。 ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A ご指摘あればどんどん仰ってください。 ※2017/8/29 連載再開しました!

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

処理中です...