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ご褒美転生
17.赤と青のエチュード
しおりを挟む「おやすみレッド。明日はきっといいことあるからね」
自立型警護折鶴。
My警護戦隊ツルレンジャー。
戦隊とは名ばかりの一名のみの隊員であり、ツルレンジャーの隊長レッド。
レンジャーの基本として五名、いや、五羽揃わなくてはいけないのだが、シュアクーンの魔力量ではそれはかなわなかった。
日々魔力を使い、魔力量を増やしてやっと誕生させたのが、このツルレンジャーのリーダーであるレッド。
そうだ、まだ終われない。
シュアクーンは密かに次の段階へと進もうとしていた。
▫️▫️□▫️□▫️
「この様にして食べます」
持参したホットスリーブに包まれたたチュロスの様な砂糖を塗した短い揚げ菓子。
バナナの皮を剥く様にして少しホットスリーブを広げ齧り付く。
ほろっと砂糖が剥がれるが、ホットスリーブが優しく受け止めてくれる。
持ってきたオリガミを招かれたテーブルの上に取り出し、隣でシェイラがオリガミについて母に説明しているのを聞きながら、母の目の前で折る。
宝石箱が出来上がり母へとシェイラを介して、渡した。
母は目を丸くして驚いた様子で手のひらに載せたそれをくるくるとひっくり返したりしながらもじっくりと眺める。
僕の方へと「気に入りました」の微笑みを向ける母。よかった。
母からの突然の呼び出し。
これはお小言の予感?と、オリガミで機嫌を取ろうと画策して準備して来た。
まず、オリガミの花のブーケと持参したお菓子を渡す。
菓子を食べた後の紙屑を入れるための包装紙で作った屑入れを折りたたんで持参し、広げて使って見せる。
「便利なものね」と感心する母。
女性に好評だった宝石箱をその場で折ってプレゼント。
────そしてここで白鳥。
敵は微笑みを放っているッ!
真っ白な鳥は受けがいいッ。
僕のターーン!
ブルーアイズホワイトツル!
二体を召喚っっ
そして懐からシュバっと出す僕。
折りたたんでいた二羽を丁寧に開いてみせる僕に、「白鳥ですね?素敵だわ」と、手を合わせとても喜んでいる母。
大きさを変えた親子のツルに母は満足してくれたようだ。
……ちゃんとお目目を青くしておきましたとも。
母からお茶に招かれ、てっきりあのピクニックのリベンジかと思えば。
「一つ上の階のあなたの真上の部屋を開けさせたので自由にお使いなさい」
という。
「商会も順調だと聞きましたし、書類を置く部屋が必要かと思いましたの」
母は政務に携わっているわけでも無いし、王妃様の様な仕事もない立場にいる。
それでも一日中遊んで暮らしているはずも無いので、僕の仕事の事を思い気遣ってくれたのだろう。
普通、王子は八歳になると王宮の方に私室と執務室を賜る。
そこに書類保管用の資料室もくっついてくるのだそうだが、僕はその前に商会を設立するだなんてとんでもないことをやり始め、しかもそれなりに運営できてしまっていた。
母はここまで上手くいくとは思っていなかったので、部屋を用意するのがすっかり遅くなってしまってごめんなさいね、と謝罪までしてくれた。
まあ。
まともに座ってピクニックもできず、池の花に石投げて散らして喜んでるような子供が何言ってんだって話しでしたよね。確かに。
商会の商品について改めて僕から説明し、母とのお茶会はなんとか無事に終わった。
商会の商品であるホットスリーブに乗っけて持って行った砂糖を塗した揚げ菓子を母はいたく気に入ったようだった。
やっぱ女性には甘いものだよね。
母への手土産の揚げドーナツ。
断面が星形なので“流れ星”って呼ばれてる短いチュロス。
あの長いのを齧るのがイイんだけどなあ。
露店の商品を集めた時に、このお菓子もあったんだ。
多分、どっかの聖女が作らせたんだろうね。
こっちのは原価を考慮してなのか、そもそも甘いものを外でたくさん食べないのか、ホットスリーブに収まるくらいの短さだ。
用意したのは普通のグラニュー糖ではなくてシナモンシュガーとザラメ。
どちらも粒々が際立ってイイ感じ。
え?母は粉砂糖の方が良かったって?
うーん。お茶会なんかで出すならその方が無難なのかもね。
ポロポロし難そうだもの。
でも僕は粒々の方が好きなんだもん。
昔、ピクニックで呼び出された時とは違い、僕がまともにお茶が出来ることにも母は大変満足していたようだった。
……今回はシェイラもいたしね。
▫️▫️□▫️□▫️
「シュアクーン様、たくさんお母様に喜んでもらえましたね」
「良かったですね、シュアクーン様」
「二人とも、色々手伝ってくれてありがとう」
二人にはブーケ用の折り紙の花を一緒に折ってもらったのだ。
時間がない中でよくあれだけ準備できたよ。
「そうだ!僕、今日二人に見てもらって欲しい物があるんだ」
ジャジャーン♪
とポケットから取り出したのは赤と青の折り鶴。
「見てみて!」
シュガキーン!シュガキーン!と口で音を当てながら、二股に切られているツルの尾に当たる部分を真っ直ぐに伸ばしていく。
それからシュアクーンは赤と青の二羽に魔力を込め始めた。
「ツルレンジャー、起動!!」
テーブルの上に二羽のツルが立ち上がった。
二体揃っての初お披露目。
「ねー、ねー、すごいでしょ?すごいでしょ!!」
今朝早くに、シュアクーンはもう一体、My警護戦隊ツルレンジャーブルーを生み出していたのだ。
二体はシュアクーンが命令をせずとも自在に動く。
「きっ、……ようなものですね」
「ほう。これはすごい」
「僕のつくった僕の護衛隊なんだ!」
これからは、この二羽が僕のそばにいてくれるから、よろしくお願いします!と、勢いよく頭を下げるシュアクーン。
その動きと合わせてボウ・アンド・スクレープを左右対称の形で華麗に披露する姿が、完全シンクロしている赤と青の二羽だった。
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