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ご褒美転生
29.新しい剣術教師と僕
しおりを挟むか、からだが。からだが筋肉がビシビシいってる。
痛い。全身が。
ホント、ビシっビシっつって聞こえるんだよぉ~。
いたいいたい、こんなに痛い。
ここまで痛いのは病気では?
「しぇいら……ぼく体がいたくてしんじゃうのかもしれない…………」
「筋肉痛ですね」
シェイラが可笑しそうにしながら冷たい飲み物を渡してきた。
グリーンが顔に爽やかな風を送り、ブルーが僕の事を心配してくるくると動き回り熱を持っていそうな個所を冷やしてくれている。
新しい僕の剣術の教師は侮れない。
▫️▫️□▫️□▫️
新しい剣術の教師には速攻バレた。ナニってさ、身体強化してたのがだよぉ。
身体強化したまま鍛錬をしても、なーーんにも成りませんよ?と優しく叱られた。
なので、新しい教師に代わってから真面目にやっているんだけど。
五歳でこの筋肉痛っていいの?ねぇ、いいの??
今もロプシンさんが微笑ましげに僕のことを見守っている。
「はい、今日はこれで充分です。お部屋に戻って汗を流して下さい」
「はひい……」
へっへっ、へっへっ、と犬のように息をしている僕に飲み物を手渡しながら、自室まで送り迎えをする人を魔力で作った小鳥を飛ばして呼ぶ。
ただの合図代わりに飛ばすから、小鳥に伝言を持たせる必要が無いので、単調な様子でスッと飛ばしてる。
しかし、この伝書鳩な小鳥。
ある程度の技量が必要となるので、魔力が有れば誰でも出来るというものでも無かったりする。
……ナリアガス“先生”は飛ばせませんもん。
僕の新しい剣術の教師は魔法にも精通しているようだ。
これが何を意味するかといいますと、僕の奥の手、魔法によるズルを封印されたのと同義という事なのです、よぉ。とほほ。
▫️▫️□▫️□▫️
誰しも一人待つ時間は長く感じるもの。
ブルーとグリーンは疲れたシュアクーンに冷たい風を送ってあげるために、剣術の授業について行っている。
レッドは一人いや、一羽で御留守番だ。
その間ツルレンジャーの隊長レッドは何をして過ごしているのか。
初めのうちは窓の外を眺めていた。退屈だった。
剣術の授業中、ずっと一羽でシュアクーンの部屋で待つことは苦痛ではなかったが、彼は時間を持て余していた。
彼は一羽で考えた。
主の魔力を貰わないと飛行形態には変形できない。
つまり自力では変形、飛行が叶わない。
主を守るためにも自力での長距離移動が必要だと考えた。
自立型護衛折鶴のレッドの秘密特訓が開始されたのだ。
王子の自室警備を任されたレッドは、窓枠に登り、滑空の練習に精を出す。
ツルレンジャー平常形態(脚付)のままでの移動速度を上げたいと彼なりに考えての訓練方法。
スーーーー…………っ……とととと
再度窓枠に登り、滑空。
スーーーー…………っ……とととと
レッドはツルレンジャーのリーダーである、王子や隊員の目が無いところでも、自己鍛錬を欠かさない。
スーーーー…………っ……とととと
王子の自室にシェイラが入ってくる、どうやら王子が出掛けている間に清掃をしたいようだ。
「さて、軽くお掃除とベッドメイクを済ませてしまいませんと……」
スーーーー…………っ……とととと
シェイラは片手に虫籠を持ち、レッドが滑空する導線に向かう。
避けようと羽根を目一杯使い、角度をつけるレッド。はたして。
スー~~⤴︎ーポっ……パタン…かち
哀れ囚われのレッド。閉められた虫籠の中から、外を見つめることしか出来なくなってしまった。
シェイラは虫籠を落とさないようにサイドテーブルにそっと置くと、それきり視線もよこさず掃除を始めたのだった。
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