ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

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ご褒美転生

35.じゃっきんばんばん

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紙を断つ裁断の音とバンバンと紙束を打ち付ける音が響き渡る工房の中。


「いやぁ、やかましくてすまんな」

「工房に活気があってとてもいい雰囲気ですね」

「ほら、あの子が今日来ている孤児院の子供ですよ」

ゲオルクさんの指す先には、ミロンさんが裁断する補助をしている少年がいた。


「いやあ、彼は中々器用でね、このまま採用しようかと娘とはなしとります」

成人したら彼も孤児院には居られなくなる。それはこの国の孤児院の決まりなんだ。

最近の地理の授業が、問題形式で進められてついでに法律関係もぶっ込まれたりしてるから、そのくらいは知っている。

「それは、何でしょーーぉか?」
なんて、ランチャミンさんは可愛くポーズ取って聞いてくるけど、質問内容は至って真面目な物だからさ。大変精神が削られる。
ギャップには良いギャップとよろしくないギャップが存在することを知ったよ。


「いやあ、第三王子殿下にお越しいただけるたぁ、思っても見なかったさ」

ガハハと笑うゲオルクさんは相変わらずだ。お城の一室で折り紙教室を開いた時と変わらない。


「一年が過ぎたら、競合が始まりますので、しっかりと準備を行ってくださいね」

わかってらい!と笑うゲオルクさんの後ろから娘さんが僕たちを呼んだ。


「こちらへどうぞ!お飲み物の用意をいたしましたので」

工房の中に警備の人間をゾロゾロ引き連れて歩くのは邪魔になるからと、ここにいるのは僕、トレネーク、ロンディの三名だ。






僕たちが席につき一息ついていると、ミロンさんも呼ばれてやってきた。


「機会がありましたら、是非第三王子殿下へお礼を申し上げたいと常々……」

数年前、身体を壊した父の世話をするため有名工房を辞めたミロンさん。今はマジア工房のバイトとして短時間労働している。


「…………本当にありがとうございます!」

いやいや。お給金払ってるのはゲオルクさんだからね?感謝はゲオルクさんにどうぞ。


「いやあ、ウチは大助かりさ!仕事は丁寧で早い。しかも時間が短く日にちも毎日でないからこっちの都合にかなり合わせてもらえる。まったく願ったり叶ったりだよ」

その後はバカみたいに売りあげているホットスリーブの話と僕専用の金の折り紙の技術的話で盛り上がった。


数人が喉を潤し、会話が途切れたところで以外な人物が声を上げた。


「ところで質問が一つあるのですが、よろしいか?」

珍しい。護衛でついてきたロンディが口を開いたのだ。


「我々でお答え出来る物なら。何でも聞いてください」

「ホットスリーブには耐水耐油加工を施しているというお話ですが、防水加工は出来ないものなんですか?」

「防水は無理ですね、魔法省にお勤めの方くらいで無いと」

魔力量も大事だが、より緻密で繊細な技術の習得が必要らしい。


「もし私にそれくらいの魔力と技量が有れば、今頃城に勤められてますよ」


ええー。あんまり気にしてなかったけど、防水加工って結構大変なんだ。

そういえば、魔法省って機関が半自立していて、自ら稼いだお金で職員の実験代を賄っていたような。

て、ことはもしかしてタドットさんってとっても優秀!?このミロンさんよりも!??

僕の脳裏に机に模造紙を広げてペンをぐいぐい押し付けてくるタドットさんの姿が浮かんだ。


「あー、こちらからも一つ頼みたいことがあるんだが……」

え?なんだろ??資金繰りが厳しいとか?


「このミロンにも殿下の自立型警護折鶴を見せてやってくれないだろうか」

へ?ツルレンジャー??を??


「実は金の折り紙を最近担当してるのがミロンでな、この四角いキンキラだけのただの紙がどう使われるのか知りたいそうなんだ」

そーですかーー。そーですねーー。

自分の仕事がなにになるのか。何に使われているのか。そりゃあ気になりますねーー。


「わかりました!今支払って買いますから、ちょっと金の折り紙持ってきてくれますか?」

娘さんがいそいそと持ってきてくれた金の折り紙。
それを使って僕はゴールドを折り上げた。


「さあ、ゴールド。皆様にご挨拶」

華麗(?)にボウアンドスクレープを決めるツルレンジャーゴールド。

それに驚き立ち上がる者二名。

ん?二名?
あ。ロンディさんはツルレンジャー知らなかったんだ。

ミロンさんと一緒になって驚いてるロンディさん。他のみんなはもう何でもないって顔してるね。

「このように彼は僕の身の回りの警護を担ってくれています。危険が迫れば誰かを呼びにいってくれたりもします」

では、彼の能力をご覧に入れましょう。
ゴールドは一つこちらに頷いて見せてから、ぱーーん、と軽い音を立てて爆散した。


「これが彼の能力です。いつも持ち歩いているのには、中に紙吹雪が仕込まれています!」

エッヘン!と得意になっていたらトレネークさんに叱られた。
片付けを誰がすると思っているのですか!ご自分で片付けられるわけではないでしょう!?って。

突然テーブルの上を散らかした僕は片付けをする娘さんに平謝りをしたよ。トホホ。



あ、ごめん。お茶にも入ってた。


▫️▫️□▫️□▫️





楽しい遠足はもう終わり。

本当はもっと買食いしたり露店を冷やかしたり、店の中を見て回ったりしたかったけど。

商会ギルドを見学出来たし、マジア工房にもいくことが出来た。
今回はそれでヨシ!

問題なかったんだから、今度は孤児院に行かせてもらおう。

折り紙の布教、普及をするのだ!!



────あの時。

護衛はつけられていた。
離れた場所からついて来ていた。

でも、あの男性は見過ごされた

背後、それも遠目からから見たらただ話しているだけにしか見えなかっただろう。


ゴールドが人質?物質?……捕まえられていたとしても、まだ、自立型護衛折鶴のことはそうは知られていないからな。

精々が、魔力の豊かな魔法を覚えたての子供が小さなおもちゃゴーレムを動かして遊んでいる。
そんなくらいに周囲からは認識されてるんだろね。



「これは更なるゴールドの活躍が期待できますな!!」

僕はその日からゴールドを懐に忍ばせてあるくようになった。


ゴールドには爆散機能!
目指せ!派手派手クラッカー
ぱんぱぱん!!


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