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ご褒美転生
51.危うし!レッド危機一髪
しおりを挟むそれは、ツルレンジャージョーのために、ツルレンジャーの率いる白鳥を孤児院の子供たちに作ってもらった時のこと。
王子様が僕たちの孤児院に協力?をお願いしにやってきた。
前に王子が来た時、僕は悪戯をして叱らて懲罰房と僕らが呼んでいる鍵の掛かる部屋に入れられて、書取りの勉強をさせられていた。
そりゃあちょっとやり過ぎたとは思ってたけど、なにもそんなビッグイベントの時に懲罰房に閉じ込めることないと思うんだ。
「お昼を持ってきましたよ、ジョミィ。人の物を台無しにする様な子は王子様の前には出せません。自分が同じ事をされたらどう感じるか、よく考えて反省してください」
なんだよ。キシュカのくせに。
アンジー院長に言われるならわかるけど、なんでキシュカに言われなきゃなんないのさ!
でも、その後。王子はもう一回孤児院に来てくれたんだ!
僕らと同じテーブルに座る王子の前に立つ奇妙な物体。
これは!
「僕知ってる!ヨシゴイでしょ!
え、違うんだ、鶴っていう人間くらいの大きさの鳥、なんだ?
えーー?池の葦のとこにいるヨシゴイにそっくりなのにー」
「こら!ジョミィ!!失礼でしよ!」
王子の前に立ってた変な動く紙でできたゴーレム。
僕はヨシゴイにそっくりだと思ったんだ。
けど、王子がコレはツルっていう鳥で、ゴーレムは五羽いて、その五羽の事をツルレンジャーって呼んでいるんだ、と折角教えてくれてたのに。
僕はキシュカに首根っこ掴まれて王子から一番遠い場所へと引き摺られて行って座らされた。
▫️▫️□▫️□▫️
ツルレンジャーをヨシゴイだと言い出した男の子。
その後自分は何に見えるか論争が巻き起こり、すっかりオリガミを折ろう!という雰囲気ではなくなってしまった。
だけど、トレネークの説明でなんとか納得してもらって孤児院の子供たちに白鳥を折ってもらう。
君たちの折った白鳥がセレモニーの時に活躍するからね!しっかり折ってね!!
その後、開催日当日まで僕がセルリーナス孤児院を訪れることはなかったんだけど、何故か孤児院では僕の事を“カミサマ”と呼ぶ様になったと聞かされる。
一体!何が!どうなって!そうなっちゃうのさ!?
▫️▫️□▫️□▫️
そして、時は現在。
孤児院祭りの真っ只中。
「レッド、悪いけどこれシェイラに届けてきてくれる?」
手紙を丸めて入れた筒に紐をつけた物を首に下げ、レッドはキリリとポーズを決める。
「踏み潰されないように気をつけるんだよ?」
初めての催し物、やることなす事が全部初めて。
皆んなは忙しいから今日は一日、僕は孤児院の中から動けない。
シャボン玉製造玩具の売れ行きが知りたくて僕はレッドへとシェイラに宛てたメモを託した。
人でごった返す工房製品即売会の会場。
そこには魔法機器を製造している工房の人間も多く参加していた。
「コイツは……まるで魔法器具のようじゃないか」
魔法機器は魔力を通す事により発動させたい現象をコマンドを介して発動させる。
コマンドを打ち込み発動するタイプもあるが、それは発動させたい現象が一つでは無い時に使われる手法だ。
簡易にするために大抵がボタン式スイッチが採用されている。
一番使われているのがオンオフ機能だろう。
使用者が魔力を通して使う機器に対して、大昔の勇者が工房に与えた“バッテリー”という概念を使用して魔力を蓄えさせたさせた魔力充填石。
魔力を動力源とした機器はそれを予め内部に備え付け、魔力をそこから取り出すことにより現象を発動させ機器に望みの仕事をさせる仕組みだ。
しかしゴーレムはまた少し魔法機器とは事情が違う。
どんなに離れていても魔力のパスを通じてるから使役している主人の魔力が送られてくる。
でも。
それだけじゃあの第三王子のゴーレムの動きは説明出来る物じゃあない。
あのゴーレム内部にはどんなコマンドが詰め込まれているのだろうか。
俺は未知の物体に身震いした。
気がつけば、俺は目の前をちょこちょこ歩いていた第三王子のゴーレムを鷲掴みして、そして。
ゴーレムの腹を開いていた。
突如空から伸びてきた手に捕まり、容赦なく展開されるレッド。
中には何も無い。
真っ白だ。
と、いう事は??
片面が赤。もう片面、内側だった白いところには何も無い。
呆然と立ち尽くしていた俺の背後から子供の甲高い声が上がった。
「つ、つ、ツル殺しぃぃい!!」
子供に指をさされて慌てる男。
男は走って逃げ、後には折り跡も生々しい一枚の赤いオリガミ。
子供はその赤い紙と落ちていた小さな筒を拾って孤児院の方へと駆けていった。
▫️▫️□▫️□▫️
「大丈夫だよ泣かないで、切れたり破れたりしてないから。
ほら、ね?」
泣きながら孤児院に戻ってきたのはあの生意気な男の子。ジョミィだった。
彼は泣き叫びながら赤いオリガミと小さな筒を王子に渡して、それから激しくしゃくり上げながらもレッドを襲った凶行について語った。
復っ活!レェーーーッド!!
その間、シュアクーンは赤いオリガミを降り直していたのだ。
「ほら、みて!君が助けてくれたからレッドはこうして無事だったよ!!」
「チェーンジ!飛行・形・態!」
シュアクーンの謎ポーズと共にシュガキーン!と変形し、元気に飛び回る隊長レッド。
泣いていた子供はすぐに笑顔を取り戻した。
子供の笑顔を守ったツルレンジャー。
ツルレンジャーは世界の平和は守れないが、シュアクーンの平和を日夜守っているのだ。
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