ただいま御褒美転生中!〜元召喚勇者は救った世界で、自作の自立型魔法創作物と共に自由を求める〜

いくしろ仄

文字の大きさ
51 / 230
ご褒美転生

51.危うし!レッド危機一髪

しおりを挟む



それは、ツルレンジャージョーのために、ツルレンジャーの率いる白鳥を孤児院の子供たちに作ってもらった時のこと。




王子様が僕たちの孤児院に協力?をお願いしにやってきた。

前に王子が来た時、僕は悪戯をして叱らて懲罰房と僕らが呼んでいる鍵の掛かる部屋に入れられて、書取りの勉強をさせられていた。

そりゃあちょっとやり過ぎたとは思ってたけど、なにもそんなビッグイベントの時に懲罰房に閉じ込めることないと思うんだ。


「お昼を持ってきましたよ、ジョミィ。人の物を台無しにする様な子は王子様の前には出せません。自分が同じ事をされたらどう感じるか、よく考えて反省してください」

なんだよ。キシュカのくせに。
アンジー院長に言われるならわかるけど、なんでキシュカに言われなきゃなんないのさ!


でも、その後。王子はもう一回孤児院に来てくれたんだ!


僕らと同じテーブルに座る王子の前に立つ奇妙な物体。

これは!

「僕知ってる!ヨシゴイでしょ!
え、違うんだ、鶴っていう人間くらいの大きさの鳥、なんだ?
えーー?池の葦のとこにいるヨシゴイにそっくりなのにー」

「こら!ジョミィ!!失礼でしよ!」

王子の前に立ってた変な動く紙でできたゴーレム。

僕はヨシゴイにそっくりだと思ったんだ。
けど、王子がコレはツルっていう鳥で、ゴーレムは五羽いて、その五羽の事をツルレンジャーって呼んでいるんだ、と折角教えてくれてたのに。

僕はキシュカに首根っこ掴まれて王子から一番遠い場所へと引き摺られて行って座らされた。


▫️▫️□▫️□▫️


ツルレンジャーをヨシゴイだと言い出した男の子。

その後自分は何に見えるか論争が巻き起こり、すっかりオリガミを折ろう!という雰囲気ではなくなってしまった。

だけど、トレネークの説明でなんとか納得してもらって孤児院の子供たちに白鳥を折ってもらう。

君たちの折った白鳥がセレモニーの時に活躍するからね!しっかり折ってね!!


その後、開催日当日まで僕がセルリーナス孤児院を訪れることはなかったんだけど、何故か孤児院では僕の事を“カミサマ”と呼ぶ様になったと聞かされる。

一体!何が!どうなって!そうなっちゃうのさ!?





▫️▫️□▫️□▫️


そして、時は現在。
孤児院祭りの真っ只中。



「レッド、悪いけどこれシェイラに届けてきてくれる?」

手紙を丸めて入れた筒に紐をつけた物を首に下げ、レッドはキリリとポーズを決める。


「踏み潰されないように気をつけるんだよ?」

初めての催し物、やることなす事が全部初めて。
皆んなは忙しいから今日は一日、僕は孤児院の中から動けない。

シャボン玉製造玩具の売れ行きが知りたくて僕はレッドへとシェイラに宛てたメモを託した。




人でごった返す工房製品即売会の会場。


そこには魔法機器を製造している工房の人間も多く参加していた。


「コイツは……まるで魔法器具のようじゃないか」

魔法機器は魔力を通す事により発動させたい現象をコマンドを介して発動させる。

コマンドを打ち込み発動するタイプもあるが、それは発動させたい現象が一つでは無い時に使われる手法だ。

簡易にするために大抵がボタン式スイッチが採用されている。
一番使われているのがオンオフ機能だろう。

使用者が魔力を通して使う機器に対して、大昔の勇者が工房に与えた“バッテリー”という概念を使用して魔力を蓄えさせたさせた魔力充填石。

魔力を動力源とした機器はそれを予め内部に備え付け、魔力をそこから取り出すことにより現象を発動させ機器に望みの仕事をさせる仕組みだ。

しかしゴーレムはまた少し魔法機器とは事情が違う。

どんなに離れていても魔力のパスを通じてるから使役している主人の魔力が送られてくる。

でも。
それだけじゃあの第三王子のゴーレムの動きは説明出来る物じゃあない。
あのゴーレム内部にはどんなコマンドが詰め込まれているのだろうか。

俺は未知の物体に身震いした。


気がつけば、俺は目の前をちょこちょこ歩いていた第三王子のゴーレムを鷲掴みして、そして。

ゴーレムの腹を開いていた。



突如空から伸びてきた手に捕まり、容赦なく展開されるレッド。


中には何も無い。
真っ白だ。
と、いう事は??

片面が赤。もう片面、内側だった白いところには何も無い。
呆然と立ち尽くしていた俺の背後から子供の甲高い声が上がった。



「つ、つ、ツル殺しぃぃい!!」

子供に指をさされて慌てる男。

男は走って逃げ、後には折り跡も生々しい一枚の赤いオリガミ。


子供はその赤い紙と落ちていた小さな筒を拾って孤児院の方へと駆けていった。





▫️▫️□▫️□▫️


「大丈夫だよ泣かないで、切れたり破れたりしてないから。
ほら、ね?」

泣きながら孤児院に戻ってきたのはあの生意気な男の子。ジョミィだった。

彼は泣き叫びながら赤いオリガミと小さな筒を王子に渡して、それから激しくしゃくり上げながらもレッドを襲った凶行について語った。

復っ活!レェーーーッド!!

その間、シュアクーンは赤いオリガミを降り直していたのだ。


「ほら、みて!君が助けてくれたからレッドはこうして無事だったよ!!」



「チェーンジ!飛行・形・態!」

シュアクーンの謎ポーズと共にシュガキーン!と変形し、元気に飛び回る隊長レッド。

泣いていた子供はすぐに笑顔を取り戻した。


子供の笑顔を守ったツルレンジャー。
ツルレンジャーは世界の平和は守れないが、シュアクーンの平和を日夜守っているのだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

処理中です...