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ご褒美転生
65. 安心安全の信頼と実績の設計
しおりを挟む「ねぇ、トレネーク。このどこいきマーカーってどう思う?」
「そうですねえ。色々使い道は考えられますが……ところでシュアクーン様。名称は、サガスシールとかではいかがですか?それで商会に仮登録しておきましょう」
「そ、そうだね、名前についてはそうしよっか!今タドットさんが頑張ってるから、仕様書ももうちょいしたらキッチリ仕上がると思うよ」
シュアクーン様がまた新しいことを始められた。
これは少し忙しくなるか?
「僕ねぇ、最近手裏剣の色の組み合わせに凝ってるんだ!」
シュアクーン様は手元にオリガミを引き寄せて先程から何かを折り続けている。と、思っていたらそれは“シュリケン”という物らしい。
私は今、やりがいのある日々を過ごせて満足している。
理知的な同僚と思いがけないことを考える主。
最初は幼児に仕えるだなんて、と思ってだけど、シュアクーン様は訳の分からない我儘な事を言い出して困らせるなんてことは無かった。
────ただ。
シュアクーン様は、時々オカシナことをしたり言ったりする。
「ふんふ~ん、しゃばどぅびたっちへんし~んッ」
「ン゛ふゥ゛ッ!」
後ろを振り向くと、口を押さえそっぽを向いているトレネークさん。
???
何かが彼のツボにハマってしまったらしい、ふらふらと扉に一度激突し、震えながらドアノブを掴んで部屋の外へと出ていく。
「もっ、うしわけございませっ、少々、せきをっ、外させていただきますっ」
「……はーい」
僕は今、子供特有の自分のことで笑われているけどどこが面白かったのかよくわからない、を、味わっている。
……ほんとに、どこがオカシかったんだろうね。
ツルレンジャーのみんなに聞いてみてもみんな首を傾げるばかり。
そうだよね?わかんないよね?
「トレネークはどうされました?姿が見えないようですが」
「あ、シェイラ。トレネークはどっかに行っちゃった!ねぇ、この青と赤の組み合わ、」
「シュアクーン様、今年の夏には七歳の昼餐会がございますのでその心算をしておいてくださいね」
運んできたお菓子とお茶の用意をしながら何気なく伝えてくるシェイラ。
今度は事前連絡有りなんだ。これからずっとこうだと良いなぁ、心構えがしやすいから。
「そうですか、外出中なのですね。
トレネークの好きなスコーンがあるのですが、戻ってきますでしょうか?」
「ねえ。昼餐会あるって言ったよね?」
「はい、たった今お伝えしました」
「うん。うん。
確認したかっただけ」
疑問符を頭上に飛ばしてそうな顔をするシェイラ。
だって、三歳の時はお支度中に、五歳の時は朝目覚めると今日だと告げられて。
「ねえ。夏って言ったよね?」
「はい。何事もなければ今年の夏にシュアクーン様が七歳となられてから、と伺っております」
やっとですぞ!!やっと!
事前の!こころの準備期間が設けられたの!
サラッと伝えられたのには何か釈然としないものを感じるけど!
「何か用意するもの、ある?」
「シュアクーン様のお誕生日のお祝いなんですよ?主役が用意する物なんてありません」
そっかー。そうだよね。
七歳の昼餐会で父に何を強請ろうかなー。
そんな事を考えながらオヤツの準備が済むまで僕は手裏剣を折り続けた。
▫️▫️□▫️□▫️
「シュアクーン様、大変ですよ」
「お帰りートレネーク」
「おかえりなさい。トレネークの分のスコーン取っておいてありますよ」
「シャボン玉玩具、後発品が次々に登録、販売されています」
「んーー、そうだろねぇ。簡単な仕組みだからねー」
さ、まずは座って。とシェイラにスコーンとお茶を勧められるトレネーク。
温かいお茶と美味しいスコーンで少し落ち着きを取り戻したみたい。
信頼と実績という点において、タドットさんは魔法省の人間だし、
僕は周囲には明かされてこそいないが前世の記憶保持転生というチート持ち。
子供の玩具には安心安全が大切なことをどちらもよーーく知っている。
工房製品即売会を見に来た、有用そうな商品の後発品の開発を企む数々の商会が、売れそうな品に目をつけ同じような商品をギルドへと登録した。
ま、良くある話だよね?
その中に僕とタドットさんが知恵を出し合って作り上げたシャボン玉魔法玩具もあった。
それも複数種類。
それを商会ギルドに仮登録に行ったトレネークが、顔見知りのギルドの職員から教えられた。
と、言うのです。
更に後によくよく調べた所によりますと。
実際、僕の商会の商品とは形を変えた類似品が、かなり大量に出回っていた。
しかも、かなり安価で売られていた。
の、ですが。
僕たちの付けた安全ボタンがついてないせいで、部屋の中で子供がシャボン玉を盛大に飛ばしまくる事故が多発しまして。
小売店には客から、商会ギルドには小売店からの苦情が殺到していた。
そりゃ子供に手渡せば、ねぇ?
子供は一回握ってしまったら魔力通しっぱなしにして遊ぶでしょうよ。
玩具そのものを取り上げないうちはずーーっとね。
さぞかし、どこのご家庭でも親子でのパワフル鬼ごっこが展開されたことでしょう。
これ以上被害を被らないように真剣に一瞬でも早く取り上げようとする親は必死の形相で追いかけてくる。
そんな事されたら、より一層逃げ回る子供は、面白がってやっちうけどね。
なんで他の商会は安全ボタン機能つけなかったのかって?
だって安全ボタンつけたら僕の商会にお金払わなきゃならないからね。
そこが商会ギルドの商品登録が特許と似ていると僕の思う部分。
商会ギルドも動作確認と、使用時の安全確認はしても、子供がどう使うかまでは考えたり確かめないだろうからね。
類似品はわりとすぐに淘汰されてなくなっていってしまったよ?
一度は類似品を手にした子供の親たちが二度とシャボン玉魔法玩具を買うことは無かった。
酷い目にあったもんね。
家中シャボン液だらけだもの、値段の差で浮いたお金よりも掃除にかかる時間のほうがかかってしまっては本末転倒だしね。
僕の商会の登録商品を購入して、ちゃんと使用説明書を読んで遊ばせていた親からは、そういう苦情が来ることも無くて本当に良かったよ。
そんな類似品の事故が多発している事を小売店側も知っていたから、販売時に使い方をちゃんと読んで正しくご使用下さい、と一言添えていたみたい。
そのような小売店の気遣いもあり、パピエ商会の登録商品は使い方を守ればそんなことにはならない、と知っていている人からの人気は衰える事なく、続いたんだ。
というか、類似品の方だって必ず屋外で使用してください。という注意書きを添えて販売していればそれでいいのだし、使う方もそれを守ればいい話でもあるんだけどね。
パピエ商会のシャボン玉魔法玩具一号二号は、最初の頃ほどの爆発的な売れ行き!とはいかないものの、製造元から時々外観の変更の相談をもらったりしながら、息の長いずっと愛されるような商品になったよ。
世に出され続けている聖女の絵本に描かれているスティックは形が様々だからね。
あと、付け加えると。
木剣型はスポンジの役目をする素材部分を無くしてシャボン玉液を直で入れる凄く安価な物が出回ったんだ。
こっちは剣の鞘を傾けるとシャボン玉液がじょばじょば地面に全部溢れちゃって、すぐにシャボン玉液を足さなくちゃならなくなってさ。
いくら親が「ほら!傾けちゃダメよ!気をつけて」っつってもさ、子供って夢中になるとそんなの忘れちゃうからね。
子供はすぐにシャボン玉出来なくなって泣いたし、何度もシャボン玉液を買わされた親も泣かされたし、子供が室内で遊んで床に撒かれた親も泣いたみたいよ。この世界のお父さんお母さんも大変そうだなぁ……。
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