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ご褒美転生
84.既知との遭遇
しおりを挟む「シュアクーンさまあ!!」
うわっ、この大声は。
「シュアクーンさまあ!!」
そんなに叫ばなくても聞こえてるよっ!!出来ればこのまま聞こえない振りしてスルーできたら良いなとは思ってるけどっ。
「シュアクーンさま!お久しぶりです!」
あ。今、気がついたんだけれどちゃんと“様”付けするようになったんだね。
……どんだけあの後お偉いさんたちに怒られたのさ。
「……お久しぶりです。
ナリアガス。お元気そうですねー」
「先日は賊が侵入したとか!大変でしたね!」
大変でしたね!じゃねーんだわ。
まずは身を案じろよ!大丈夫でしたか?とか、お怪我はありませんでしたか?とか?
今日は「授業等で離宮を離れることは罷り成らんが、禁書庫ならば宜しい」と、王様から通達が来て喜び勇んで禁書庫へ向かってる途中、だったんだけど。
「ナリアガス。お前少し我が主人に対して馴れ馴れしいぞ」
おお。ロンディの怒りの低音ボイス!痺れるぅーー。
もっとやれーー!!
トーモスが居てもなんの役にも立たないからね、こーゆー時には。
「す、すみません。つい、弟子と思うと……」
だから。
弟子認定やめてくれ?
「僕の近況はそんなとこですけど、ナリアガスは最近どうですか?」
「騎士は身体が資本!鍛えて鍛えて筋肉増大!体力増強!そして健康第一!!と、日々訓練、隙あらば鍛錬の毎日ですっ!!!」
──ねぇ、僕、耳塞いでもいい?
僕の隣でロンディも眉を顰めているよ。
「そうだね、身体を鍛えるのは大事だと僕も思う。
使えば減る、使わなきゃ減らないのはお金も贅肉も一緒だよね」
離宮から出るの禁止されてちょっと僕のお腹周りが怪しくなってきた気がするよー。
明らかなる運動不足だねー。
このままだと縦より先に横に育っちゃいそう。
贅肉とお金。
贅肉は身体を使えば減る!
お金も使えば減る!
使わなきゃ減らないのは贅肉もお金もいっしょ!
贅肉は減らしてもお金は減らすな!と、僕に叫んだのはダイエット中の前の世界のMy mother。
「シュアクーンさまは面白いことを言いますね!それ、私も使わせてもらおう!」
どうぞどうぞ、ご勝手に。
それより早よ僕らを解放しておくれ。
「久方ぶりだのう。殿下」
「お久しぶりです。ランタキン 。
僕、今日はずーーーっとここにいます!」
「ほっほう。そりゃあれか、安全地帯にいろ!ということかな?」
「まー、そんなとこです」
なんか面白いこと書いてある文献ないか探してみよーっと。
こんなに禁書庫三昧できる時はそうそう無いから。
「そうじゃそうじゃ。今度来たら教えてやろうと思ってな。
禁書庫の前任者のまとめた面白い本があるぞ?読んでみるか?」
ランタキン に差し出されたのは、過去に書庫番になった一人が暇に飽かせて編纂した『歴代聖女の好んだ模様大全』。
よっぽど暇だったのかそういった仕事が好きだったのか。
ご丁寧にも聖女とその略歴と並べて好んだ模様とその理由などが事細かに記されていた。
この『歴代聖女の好んだ模様大全』の他にもその人が調べて編纂した本は幾つかあるそうだし、他の番人が纏めた本が何冊もあるのだと、ランタキン が教えてくれた。
ただ禁書庫の中で調べた物なのでその本も結局禁書庫の中からは出る事はないんだよね。
しばし没入した後、顔を本から上げ、はあぁっと幸せのため息を吐きだしたシュアクーン。
「ランタキン、そういえば後の二人は?」
「片方は体調崩して寝とる。
もう片方は連休で、久しぶりに外で羽を伸ばしとるわい」
「そうなんだー」
こんなに禁書庫に浸れる時間がたっぷり取れるならもう一回くらい賊が侵入してくれてもいいかも!!
シュアクーンは貪るように勇者と聖女が残した本を読んで楽しい午後を過ごした。
▫️▫️□▫️□▫️
「どうしてですか?
何故我が子にはつけられていないのでしょうか」
「 サフィジョンは王宮の敷地外に出る事も然程無いだろう?」
「それは、、あんまりなお言葉ですわ。
あんなに孤児院の訪問に励んでおりますのに!」
第一王子のリシャーデンには騎士が二名付けられている。
それには私も文句はない。
いずれ王になられる御身は大切なのだもの。
しかし!
第三王子に騎士が!付けられているというのに!もしもの時には第一の代理を務める定めの我が子に専属一人も付けられていないというこの事実は、とてもおかしな話なのでは無いだろうか!?
しかも。
その第三王子の専属騎士というのが、態々王の近衛から与えられたというのだから、これが訴え出ずにいられましょうか。
「シュアクーンのはな、騎士というよりも禁書庫に入りたいと言う希望を叶える為につけられた、という意味合いの方が強くてだな……」
「そのような理由からだと言うのでしたら、なにも王の近衛から選ばずともよろしいでしょう?」
「……もう、ゆっくりしたいお年頃だとゴネるロンディの希望を叶えただけでもあったのだがなぁ」
周囲の者たちはそれを見て王様は殊更第三王子をお気に入りなのだと噂しているのが王には分からぬのだろうか?
「わかったわかった。
どちらにせよ、あんな侵入者騒ぎが起こったのだ。エルフィルア も不安であろうから、 早急にサフィジョンにも騎士を付けるように手配しよう」
「そのような、王にお手間をかけさせるには及びませんわ。
騎士はこちらで選んでも?
伯父が手配してくれると言っていますので」
「────ああ。好きにするがよい。
……私は隣国の使節団を迎える準備に忙しい」
疲れた顔を背けて、雑に手を振る王様。
それを軽く睨んでから、部屋を出ていくエルフィルア 。
こんな風に王様との仲がおかしくなってきたのも全部シュアクーンの所為だわ。
あの子が何か騒動を起こすたびに我が子 サフィジョンも、わたくしも波を被ってきている。
────それにしても。
「王ともあろうお方が、侵入者だなんてなんて生温いお言葉なんでしょう!あれは襲撃なのですわ」
離宮に賊が現れた。
我が子が王宮に居を移すまではあと少しある。
心配で息子にも騎士をと嘆願に訪れたのに、思いの外、王からはおざなりな態度で応対を受けた。
その日その時。
エルフィルアがシュアクーンを我が親子の敵と見做した瞬間であった。
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