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ご褒美転生
95. マーリル孤児院長と手簡
しおりを挟む七歳になって貴族家のことも学習させられるようになった。
公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、そして男爵家。
それぞれの階級、それからそれぞれの家の栄枯盛衰。
特に今、力のある派閥だとか、潤っている領地を擁している貴族だとか。
ここで地理の勉強が生きてくるんだね。
七歳で知った事はまだある。
長兄にも次兄にも取り巻きみたいなものが存在する。
同じ年齢くらいの子供たちだ。
「だからって僕に無理につけるのは違うと思うんだ。しかもスチュワートって五歳も離れてるし。いいのか?それって」
兎に角豚の羽。
スチュワートには、教師から改めて授業を受けて貰いたい。
知識は力だし、身につけても荷物にならない。
それに。
十五歳になったら、学園にも通わなくてはならない。
僕の側近が、成績不振で出来が悪いというのもあんまり良くないと思うし。
貴族家の子息子女は、十五歳になる年に王立学園に通う事と決められている。
学園にも通い他人と親交を深める
学園なら普通なら出会う事もない家格の違う人間と話したり触れ合ったり出来るから。
その経験も将来の政務に活かせるように、という計らいなんだろうけれど。
でも、僕は三男。
将来は臣下降下か養子か婿か。
次男は学園へは行くとしても、果たして僕には必要なのだろうか??
あ!今気がついたけれど、もしも他国に婿に出されるとしたら周囲との付き合い方とか、言語習得は必須かも!!
……でもなー。
言語に関しては実は勇者の特権、言語チートがあるから授業で覚えなくとも問題無いんだけど。
まあ、それはそれとして。
物語でも良くあるように王家の子供が生まれる年は特に子供が多く産まれる。
なるべく同じ学年で王族と過ごさせ、あわよくば縁を結ばせたい。
と、そう言うことで。
長兄には乳兄弟も存在するらしいが、長兄と僕では年齢が離れている上に、長兄と三男の僕では王家からの扱いも雲泥の差がある。
あっちは将来の王様なんだから当然そうなるよね。
今後も長兄とは、まず顔を合わせることはないと思う。
母から「これも勉強よ?」と手渡された貴族に関する資料に目を通しながら、ごちゃごちゃと思考を巡らせていた僕。
だけど。
資料を読みながら、貴族関係の事とは別の事も考えてた。
だって、王様がそろそろシュアクーンも次の孤児院訪問をしたらどうか?って母を通して言ってきたんだもん。
それって最早指令だよね??
「シェイラ、トレネークが申請した今度訪問する孤児院ってどこの孤児院だっけ?」
王子のお仕事。
孤児院訪問。
長兄は近場優先。
次兄は環境が厳しい所が優先。
僕はその残りの場所を割り当てられた。
次兄ってすごいよね。
環境が厳しい所ほど救いの手は多く、しかも早い方がいい。
適当している僕とは全然違って考えて行動してるもん。
「確か、ポンナレルの町にある孤児院ですね。港町です」
今回は海に面した町にある孤児院。
そこからは隣国、僕の友人ディアストンの国の船が発着している港のある町。
「そっか、港町は初めて行くし楽しみだね!」
「シュアクーン様?遊びに行くのではありませんよ!」
ええー、露天の食べ物くらい食べさせてよお!ねぇ、ちょこっとでいいからさ!ちょこっとだけ!!
▫️▫️□▫️□▫️
「なんですって?もう一度言って頂戴」
「ですから!この国の第二王子殿下がいらっしゃるって!!」
「叫ばないで頂戴。ロブリィア。耳が痛いわ」
別に私、耳が遠い訳じゃないのにとぶつぶつ言っているのは、港町ポンナレルにある、セルリーマス孤児院のマーリル孤児院長。
「で?何しにいらっしゃるの?王子様は」
「ほら、以前お話したじゃありませんか!セルリーナス孤児院の敷地でお祭りやって、寄付金をがっぽり稼いでくれた王子様ですよ!」
「確かにセルリーナスは敷地が広いけれど、うちはこんなに狭いのよ?お祭りする場所なんてこれっぽっちもないの。
そんな孤児院に一体何をしに?」
「確かにお祭りは無理かも知れませんが、少なくとも寄付をたくさんしてくれると思います!」
マーリル孤児院長はかくしゃくとしていても結構なお歳。
ロブリィア副院長はマーリルの後継としてセルリーマス孤児院に派遣されて来ていた。
「寄付だったら船乗りや他国や自国の商人、町の人々からたっぷりもらってるよ!これ以上何が必要だっていうのさね」
「もう!そんな事言って!確かにうちは町に活気があって恵まれていますが、それとこれとは違うでしょう!!」
「何がどう違うのか、私にはさっぱりわからないね」
「あ!どこ行くんですか!まだ日程や予定も話していませんよ!!」
自分の友人、ディアストンの国の船が発着する港町だと知って、期待に胸を膨らますシュアクーン。
しかし、目的のセルリーマス孤児院の院長は歓迎してはくれなさそう。
果たしてどうなる?
シュアクーンの二度目の孤児院訪問!
▫️▫️□▫️□▫️
「うわー!潮の香りがするぅ!!」
丘を一つ超えた先。
まだ海は見えないけれど風の匂いが変わった。
程よい空き地に馬車を停め、シュアクーン一行は小休憩をとっていた。
目の前はなだらかに下がっていく道。これからどんどん海抜が下がって行くのだろう。
「そうですね。確かに潮の香りがします」
「でしょ?ロプシン」
今回の同行者はトレネーク、ロプシン、ロンディ、そしてアミネット。
アミネットはずっと王宮勤めで侍女長をしていたこともあってあまり外に出た事が無かった。
そこでシュアクーンが提案して、このたび同行する運びとなった。
もう一度大きく息を吸うと、やっぱりほのかに海の香りがした。
「うん。海の匂い」
シュアクーンの横でレッドが主を真似て羽を広げ新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ。
……肺なんてないんだけどね。
側から見たら少し反り返っただけに見えただろう。
「さあ、シュアクーン様。そろそろ出発いたしましょう」
「うん!わかった」
シュアクーンの隣に並ぶツルレンジャーたちも、主に続きひょこひょこと移動を始めた。
君たち、港の方に行くと風強いから飛ばされないように気をつけてね!
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