捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

しずもり

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ハドソン領 花街道(仮)編 ワトル村

ワトル村活性化計画 4

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 アシュトンさんとリッキー君はいつの間にそんな話をしたのだろうか。

という疑問は、私の顔にしっかりと出ていたようで、アシュトンさんは苦笑しながら教えてくれた。

「特に時間を設けて話をしたとかではないんですよ。料理を作っている姿がとても楽しそうでしたので、『楽しそうに作るのですね』と声をかけた時にそういう話になっただけです」


前に話していたように、リッキー君は祖母から料理を教わっていたそうだ。ナタリーさんが教わっていたところに、遊び感覚で割り込んでいたのがきっかけだったらしい。

 ワトル村は、代々宿屋を営んでいたチャックさんの家が村長をしていたけれど、村長としての役割はそう多くはなく、他にやりたいという人がいなかっただけの事らしい。というよりも、ワトル村の住民には、" 村 "という意識があまり無いらしい。

村の住人全てがほぼ親戚関係にあるので、一つの場所で協力し合って暮らしているだけという認識に近いのだとか。

だから村としての行事は殆ど無い。その代わりに村人の祝い事は村を上げてするらしい。

いや、それ誕生日とかも村人全員分やっちゃう感じ!?

なんて、驚いてしまったけれど、それも絶対とかじゃなくて、来れる人がロッキーさんのお店でワイワイと好きに集まってやっている感じなんだとか。結婚式もそんな感じらしい。

楽しそうだけど、確かに村という意識よりも大家族的な暮らしの延長っぽいよね。


 そりゃあ、村長をやりたい!なんて言い出す人もいなさそう。一応は村だから、事務処理的な仕事もあるけれど、村長をやっているからって特別に良い給料が出るわけじゃないからねぇ。
宿屋を経営しているチャックさんの家に任せちゃった方が楽だから、という感じで村長を任さている、というのが正解か。

 だから村長を決める為の決まり事はなく、先に生まれたユッカさんが村長になるのだって問題はないそうだ。ただ、ユッカさんは村長になる気もなく、コリンさんもなりたいと思っているわけじゃない。それはリッキー君も同じで、長男だからと次期村長として育てられたわけでもないそうだ。

 確かに、村長としてやらなければならない大切な仕事というものがなければ、そういう教育をしようなどとは思わないよね。年に数回、ちょっとした雑務がある程度なら、言い方はアレだけど名ばかりの村長って感じだもの。


 リッキー君曰く、自分が宿屋の食堂の料理人を続けていく為にはワトル村の存続は絶対で、村の住人が少なくなってしまうと料理人を続けられなくなる。

自分は料理を作ることが好きだが、それはワトル村で料理人をしたいのであって、別の場所に行ってしたいわけではない。

だから自分がワトル村で料理人を続けていく為に、自分に出来ることは何でもやりたい。但し、それが村長になりたい、という考えにはならないとの事だそうだ。


まあ、ワトル村が" 村 "として機能していないのならば、" 村長 "という立場に拘る必要もないって事なのかな。


「あの、前回の話について説明をしましたが、チャックさんはワトル村の村長として、または村の住人としてどう思いますか?

今、話したことについてでも、前回の提案を聞いてどう思ったか?もっとこうして欲しい、などの意見でも良いので聞かせて下さい」


「えっ?私の意見ですか?それは・・・」

チャックさんは、何か聞かれることはないとでも思っていたのか?肩を揺らして驚いて、何かを言おうとしても言葉が続かない。

「あの、最初に言った通り、リッキーやユッカがこの村の将来を心配して・・・。だから、そのリッキーに・・・」

「父さん。今は父さんが意見を聞かれているんだよ」

「えっ?えっ?何でそんな・・・」

リッキー君にバトンタッチしようとしたチャックさんは、リッキー君にあっさりとその目論見を阻止されてしまったみたい。


 これではアシュトンさんが確認した方が良いと言われるわけだ。
名ばかりの村長だったとしても、ワトル村の村長はチャックさんなんだから、もう少し自覚を持って欲しいよね。


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