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プロローグ
お嬢様は白状する、そして考える。
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「ーという事なの。今までの境遇で心が疲弊していた上にアレでトドメを刺された感じでティアナの意識はすっかり薄れてしまったのよ。
しっかりとティアナとしての記憶も感情も残っているんだけどね。でもそれも他人事のような感覚なんだよねぇ」
誘導尋問に引っかかってしまった私は誤魔化すには考える時間が足りず逃げようが無いと腹を括ってクリスに洗いざらい話してしまった。
当然ながら『コイツ、何言ってんだ!?』な顔をした後、クリスは押し黙って目を閉じた。
いや、確かに以前のティアナはどちらかというと物静かでお淑やかな感じだった。8歳までは淑女教育と侯爵家の教育を受けていた。
けれどお母様が亡くなってからは家庭教師もつけてもらえなかったし学園にも通わせてもらえなかった。それでもお母様と以前の教育のお陰で侯爵家令嬢としての品位は保てていた、そんな感じだった。
対して前世の私はこことは違う世界の一般的な庶民の暮らしをしていた女性だった。貧富の差はあれど貴族制度など無く国の象徴や国の政を行う為の人たちがいて国民は平等に教育を受けられ自ら進む道を選択し様々な職種について暮らしていた。
黒髪黒目が一般的な国に住む私は一般の人と同じように両親の元で生まれ育ち学校に通い友人や家族と過ごし泣いたり笑ったりしてそれなりの人生を過ごしていたんだと思う。
名前や基本的な事は覚えているけれどいつ自分が亡くなったのかは記憶が曖昧だった。
そんな育った環境が違うティアナと私では考え方も性格も違う全くの別人だ。突然、前世寄りの人格になったらそりゃ違和感しかないよなぁ。一応クリスは12年近く私の側に居てくれた訳だし。
そう言えば交流が殆ど無くなっていたロバートだったら違和感とか感じないんだろうな、だってティアナの事など気にする素振りもなかったのだから。
「・・・確かに以前の面影がありませんね、今のお嬢様には」
イマイチ納得していないのか、それともこの状況を納得する為だったのか?クリスは大きく息を吐いて私の方に向き直った。
因みにちゃんとベッドから出て普段着用のコルセットの要らないドレスに着替えてから小さなテーブルの前に座って向き合って話しているわよ?専属侍従とはいえいつまでも男性の前で寝巻きでいるわけにいかないからね。
「理解してくれて嬉しいわ。まだ目が覚めて思い出したばかりだから現世の記憶が曖昧なところがあるの。だから色々と教えて頂戴」
私がスマイル0円な笑顔で言うとクリスは今度は呆れを隠さないような大きなため息を吐いた。
「あんなモノを見てしまってショックで倒れた割にはお元気そうで安心しました」
クリス、それは嫌味だなっ。確かに結構な衝撃を受けた後だった。しかしティアナの為に腹は立ってもロバートの事で私がショックを受ける事もそれを引きずるなんてない。
「ん?もしかしてあの場から連れ出してくれたのはクリスなの?ロバートたちには気付かれてしまったのかしら?」
「ええ、連れ出したのは私です。エミリー様はどうかは知りませんがロバート様は気づいていないようですよ?」
前世の人格が前面に出てきてしまった今となっては、ロバートなんて呼び捨てどころかクズ男と呼んでもいんじゃなかろうか。
過去を振り返ってみると王立学園高等部にも通わしてもらえず、16歳になったら参加する筈のデビュタントも不参加、ご令嬢たちのお茶会にお呼ばれも無いティアナはロバートのエスコートで夜会に参加する機会も無かったしデートに誘われる事も無かった。
というかお母様が亡くなってからはロバートからプレゼントを貰う事も無くなっていたな。私からは贈っていたけれどそれに対するメッセージカードもずいぶん素っ気ないモノだった。あれは自分で書いてはいなかったと思う。
確かエミリーのデビュタントは将来の義妹だからとロバートが引き受けていたし、何ならエミリーのドレスは青いドレスに金の刺繍が入った衣装だった。
ロバートがたまに我が家を訪問した時には何故かエミリーを含めた3人でお茶をしていたし、執務のある私は話しの弾んでいる2人を残して早々に退出していた。その内、気づけば私を抜きにお茶をしているのを執務室の窓から見かけたものだったわ。
そうやってエミリーはティアナに見せつける様に、ロバートは鼻の下を伸ばしてホイホイとエミリーの誘いに乗って仲を深めていったんだろう。どちらも本当にクズだな。
そういった事を思いだしても今は胸がチクリとも痛まない。どちらかと言うと2人の不貞行為に対する怒りの方が大きい。
ついでに仕事を任せっぱなしでティアナ対してドレスを買うどころか労いの言葉一つかけてくれなかった父親にも腹が立っている。
マーガレットに関しては言わずもがな、だ。そんな事を考えているのが伝わったのか?クリスがフッと笑った。
「あなたはこの現状を良しとしないと言う事ですよね」
その皮肉げな言い方にクリスもこの現状に思う所はあったのだと思い知る。そりゃあ側から見ていて気分の良いモノじゃなかったよね、と他人事の様に共感してしまった。ティアナは我慢しすぎだったんだよ、本当に。
「良しとしないと言うか報復を考える前に近々コスト家から追い出されるんじゃないかな、私。そうじゃなかったら延々コスト家の為に飼い殺し決定、みたいな?」
「どうしてそう思うのです?」
クリスが意外そうな顔をして聞き返す。
おバカっぽいのに気がついたんだ?って顔だよね、コレ。こんにゃろう!いい性格してるわ。
「だってここ2年ぐらい?外での事は私は知らないけれど私に隠れてコソコソとイチャイチャしてたんでしょ、あの2人は」
「ぶふっ、イチャイチャって」
堪えきれずにクリスが吹き出す。クリスは笑いの沸点低いのかしら?あぁ、でも淑女教育を受けたお嬢様は『イチャイチャ』なんて言葉は使わないのか。
「それなのにわざわざエミリーは私に見せつける様に応接室を覗き見させた訳でしょ?
ただ見せつけて私を悲しませるだけならもっと前から出来た事を今する意味はロバートが私との婚約を解消する決意が出来たとか私を家から追い出す準備が出来たとかじゃないの?
私はもうすぐ18歳になって成人として認められるから家から除籍して追い出すのも簡単じゃない?」
自分で言いながら近い未来にそうなるだろうと確信する。元々私はこの家では邪魔な存在だったのだ。父の仕事をしているとはいえ、それもロバートがこの家に入婿として入ってくるまでの繋ぎだ。
エミリーが居るならロバートの婚約者は私である必要性が無い。そして成人していないとはいえ、16歳になりデビュタントを終えたエミリーは婚姻する事が可能だ。
まだ王立学園高等部に在学中ではあるが貴族令嬢なら婚姻する為に在学途中で学園を辞めていく者もまだまだ居るらしい。だからこそ今なのだ。
「もしそうなのだとしたらお嬢様はどうするのです?」
クリス、本当意地悪いな!
私はあと数日で18歳の誕生日を迎える。誰も祝ってくれる人なんか居ないけれどね。
そう、そうしたらクリスとの雇用契約は切れるのだ。18歳になったら私はロバートと結婚する予定で結婚後はロバートが私を守ってくれるってお母様は思っていたから。
でもロバートはきっと私と結婚する事はない。エミリーが愛人となる事を良しとする事はないだろうし例え形だけでも私が侯爵夫人の肩書きを持つ事を許容する筈がないのだ。
この国は一夫一妻制で王族のみ血を残す為の側室を持つ事を許されている。だから高位貴族とはいえど第二夫人を持つ事は許されていない。本来なら愛人だって公には許されていないだろう。公然の秘密としてはまかり通っているらしいが。
母が亡くなるまで愛人の立場だったマーガレットと我が家に来るまで私生児扱いだったエミリーが愛人の座に甘んじる訳がない。
そしてそうなった時には私を守ってくれる人はどこにもいない。だからきっと追い出されるXデーは私の誕生日だ!その日に私は一人で彼らに立ち向かう事が出来るのだろうか。
しっかりとティアナとしての記憶も感情も残っているんだけどね。でもそれも他人事のような感覚なんだよねぇ」
誘導尋問に引っかかってしまった私は誤魔化すには考える時間が足りず逃げようが無いと腹を括ってクリスに洗いざらい話してしまった。
当然ながら『コイツ、何言ってんだ!?』な顔をした後、クリスは押し黙って目を閉じた。
いや、確かに以前のティアナはどちらかというと物静かでお淑やかな感じだった。8歳までは淑女教育と侯爵家の教育を受けていた。
けれどお母様が亡くなってからは家庭教師もつけてもらえなかったし学園にも通わせてもらえなかった。それでもお母様と以前の教育のお陰で侯爵家令嬢としての品位は保てていた、そんな感じだった。
対して前世の私はこことは違う世界の一般的な庶民の暮らしをしていた女性だった。貧富の差はあれど貴族制度など無く国の象徴や国の政を行う為の人たちがいて国民は平等に教育を受けられ自ら進む道を選択し様々な職種について暮らしていた。
黒髪黒目が一般的な国に住む私は一般の人と同じように両親の元で生まれ育ち学校に通い友人や家族と過ごし泣いたり笑ったりしてそれなりの人生を過ごしていたんだと思う。
名前や基本的な事は覚えているけれどいつ自分が亡くなったのかは記憶が曖昧だった。
そんな育った環境が違うティアナと私では考え方も性格も違う全くの別人だ。突然、前世寄りの人格になったらそりゃ違和感しかないよなぁ。一応クリスは12年近く私の側に居てくれた訳だし。
そう言えば交流が殆ど無くなっていたロバートだったら違和感とか感じないんだろうな、だってティアナの事など気にする素振りもなかったのだから。
「・・・確かに以前の面影がありませんね、今のお嬢様には」
イマイチ納得していないのか、それともこの状況を納得する為だったのか?クリスは大きく息を吐いて私の方に向き直った。
因みにちゃんとベッドから出て普段着用のコルセットの要らないドレスに着替えてから小さなテーブルの前に座って向き合って話しているわよ?専属侍従とはいえいつまでも男性の前で寝巻きでいるわけにいかないからね。
「理解してくれて嬉しいわ。まだ目が覚めて思い出したばかりだから現世の記憶が曖昧なところがあるの。だから色々と教えて頂戴」
私がスマイル0円な笑顔で言うとクリスは今度は呆れを隠さないような大きなため息を吐いた。
「あんなモノを見てしまってショックで倒れた割にはお元気そうで安心しました」
クリス、それは嫌味だなっ。確かに結構な衝撃を受けた後だった。しかしティアナの為に腹は立ってもロバートの事で私がショックを受ける事もそれを引きずるなんてない。
「ん?もしかしてあの場から連れ出してくれたのはクリスなの?ロバートたちには気付かれてしまったのかしら?」
「ええ、連れ出したのは私です。エミリー様はどうかは知りませんがロバート様は気づいていないようですよ?」
前世の人格が前面に出てきてしまった今となっては、ロバートなんて呼び捨てどころかクズ男と呼んでもいんじゃなかろうか。
過去を振り返ってみると王立学園高等部にも通わしてもらえず、16歳になったら参加する筈のデビュタントも不参加、ご令嬢たちのお茶会にお呼ばれも無いティアナはロバートのエスコートで夜会に参加する機会も無かったしデートに誘われる事も無かった。
というかお母様が亡くなってからはロバートからプレゼントを貰う事も無くなっていたな。私からは贈っていたけれどそれに対するメッセージカードもずいぶん素っ気ないモノだった。あれは自分で書いてはいなかったと思う。
確かエミリーのデビュタントは将来の義妹だからとロバートが引き受けていたし、何ならエミリーのドレスは青いドレスに金の刺繍が入った衣装だった。
ロバートがたまに我が家を訪問した時には何故かエミリーを含めた3人でお茶をしていたし、執務のある私は話しの弾んでいる2人を残して早々に退出していた。その内、気づけば私を抜きにお茶をしているのを執務室の窓から見かけたものだったわ。
そうやってエミリーはティアナに見せつける様に、ロバートは鼻の下を伸ばしてホイホイとエミリーの誘いに乗って仲を深めていったんだろう。どちらも本当にクズだな。
そういった事を思いだしても今は胸がチクリとも痛まない。どちらかと言うと2人の不貞行為に対する怒りの方が大きい。
ついでに仕事を任せっぱなしでティアナ対してドレスを買うどころか労いの言葉一つかけてくれなかった父親にも腹が立っている。
マーガレットに関しては言わずもがな、だ。そんな事を考えているのが伝わったのか?クリスがフッと笑った。
「あなたはこの現状を良しとしないと言う事ですよね」
その皮肉げな言い方にクリスもこの現状に思う所はあったのだと思い知る。そりゃあ側から見ていて気分の良いモノじゃなかったよね、と他人事の様に共感してしまった。ティアナは我慢しすぎだったんだよ、本当に。
「良しとしないと言うか報復を考える前に近々コスト家から追い出されるんじゃないかな、私。そうじゃなかったら延々コスト家の為に飼い殺し決定、みたいな?」
「どうしてそう思うのです?」
クリスが意外そうな顔をして聞き返す。
おバカっぽいのに気がついたんだ?って顔だよね、コレ。こんにゃろう!いい性格してるわ。
「だってここ2年ぐらい?外での事は私は知らないけれど私に隠れてコソコソとイチャイチャしてたんでしょ、あの2人は」
「ぶふっ、イチャイチャって」
堪えきれずにクリスが吹き出す。クリスは笑いの沸点低いのかしら?あぁ、でも淑女教育を受けたお嬢様は『イチャイチャ』なんて言葉は使わないのか。
「それなのにわざわざエミリーは私に見せつける様に応接室を覗き見させた訳でしょ?
ただ見せつけて私を悲しませるだけならもっと前から出来た事を今する意味はロバートが私との婚約を解消する決意が出来たとか私を家から追い出す準備が出来たとかじゃないの?
私はもうすぐ18歳になって成人として認められるから家から除籍して追い出すのも簡単じゃない?」
自分で言いながら近い未来にそうなるだろうと確信する。元々私はこの家では邪魔な存在だったのだ。父の仕事をしているとはいえ、それもロバートがこの家に入婿として入ってくるまでの繋ぎだ。
エミリーが居るならロバートの婚約者は私である必要性が無い。そして成人していないとはいえ、16歳になりデビュタントを終えたエミリーは婚姻する事が可能だ。
まだ王立学園高等部に在学中ではあるが貴族令嬢なら婚姻する為に在学途中で学園を辞めていく者もまだまだ居るらしい。だからこそ今なのだ。
「もしそうなのだとしたらお嬢様はどうするのです?」
クリス、本当意地悪いな!
私はあと数日で18歳の誕生日を迎える。誰も祝ってくれる人なんか居ないけれどね。
そう、そうしたらクリスとの雇用契約は切れるのだ。18歳になったら私はロバートと結婚する予定で結婚後はロバートが私を守ってくれるってお母様は思っていたから。
でもロバートはきっと私と結婚する事はない。エミリーが愛人となる事を良しとする事はないだろうし例え形だけでも私が侯爵夫人の肩書きを持つ事を許容する筈がないのだ。
この国は一夫一妻制で王族のみ血を残す為の側室を持つ事を許されている。だから高位貴族とはいえど第二夫人を持つ事は許されていない。本来なら愛人だって公には許されていないだろう。公然の秘密としてはまかり通っているらしいが。
母が亡くなるまで愛人の立場だったマーガレットと我が家に来るまで私生児扱いだったエミリーが愛人の座に甘んじる訳がない。
そしてそうなった時には私を守ってくれる人はどこにもいない。だからきっと追い出されるXデーは私の誕生日だ!その日に私は一人で彼らに立ち向かう事が出来るのだろうか。
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