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元侯爵令嬢は屋台と知恵を使って起業する
元専属侍従は過去を振り返る sideクリスフォード
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目の前の元主ティアナの心細げな声を聞きながら、頭に浮かんだのは彼女の母親ローズマリーの泣き笑いのような寂しそうな笑顔だった。
俺がローズマリーと出逢ったのは俺がAランク冒険者にランクアップして1年が過ぎた頃の16歳になった頃だった。
当時、王都の冒険者ギルドに所属してしていたが『Sランクの実力がある』と言われていた俺を利用しようとするギルド長の思惑から『王都ギルド初のSランク冒険者の誕生』、それも『最年少最速記録』を作って欲しい、とSランクへの挑戦をしつこく持ちかけられていて辟易していた日々を送っていた。
俺は元々、隣国ダガルドの出身で侯爵家の三男だった。高位貴族の教育は他の下位貴族に比べて早かった。
物心ついた頃には貴族令息としての教育が始まっていたと思う。それでも家督を継ぐ嫡男の兄リチャードや次男の兄ヘンリーに比べれば勉強内容も量も多くはなかった。貴族の三男以下は家を出て行くのが基本だったから自ずと教育にも差が出るというものだ。
上2人とは違い三男の俺は比較的自由も効いたし机に向かうより剣術や体術、そして魔法の授業の方に多く時間が割かれていたようだった。
元々体を動かす事は性に合っていたし剣術やの才もあり魔力量も高位貴族の出だけあって豊富だった。ゆくゆくは騎士か宮廷魔術師を目指すのだろうと自分も周囲の者も思っていた。
侯爵家の慣習で王立学園初等部から親元を離れ寮に入った事は俺や家族に良かったのか悪かったのか。ダガルドではその地形の特殊性から魔物が多く発生し易く定期的に魔物を狩らないとスタンピードが起こりやすかった。
その為、冒険者の需要が高く男子は10才、女子は12才から冒険者登録が可能だった。王立学園では初等部と中等部は貴族も平民も通いやすい体制が整えられている。
高等部になると下位貴族でも授業料を支払うのが厳しい金額になるので、授業免除の成績優秀な特待生以外の平民出身の生徒は殆ど在籍していなかった。
王宮の文官を目指したい者や高等部卒業の資格が必要な職種を希望しているが授業料を支払うのが難しい生徒は、高等部に入るまでに冒険者登録して学費を貯める者が多かった。
初等部の寮では2人一部屋が基本で俺の同室者はリカルドという平民だった。人当たりがよく快活なリカルドとは気があい行動を共にする事が多かった。彼に誘われて10才になると俺も冒険者登録をした。
幼少の頃から剣術や魔法を学んできた俺は勿論のことリカルドもそれなりに才能があり冒険者に向いていたようだ。
休みの度に冒険者ギルドで2人で依頼を受けて過ごしている内にギルド所属の冒険者たちの顔見知りが増えた。まだ子どもだった俺たちはベテランの冒険者たちに随分と可愛がられた。この頃の冒険者たちとの交流が、その後の俺の人生に大きな影響を与えたと思う。
冒険者は実力主義だ。強く無ければ死ぬ、当たり前な事だがシンプルなその考えは冒険者たちの行動原理にもそれはよく現れていた。
10才から冒険者になれるのだからギルドに来る子どもは当然俺たち以外にも数多くいた。
稼ぐ事を目的としていた者も箔づけに登録をした者も大人の冒険者たちが一定期間、指導者として付き添ってくれていた。
稼ぐ事だけに気を取られ冒険者の覚悟と自覚の無い者も多かった。子どもだから仕方がない、いざと言う時は大人の冒険者が助けてくれる、という甘い考えもあったのだと思う。
報酬に目が眩んで実力も無いのに無理な魔物討伐を引き受け、対面した魔物の恐ろしさに立ちすくみ指導担当の冒険者たちに助けられる、と言う事も多かった。勿論担当者は依頼を受ける際にも助言をしていたのだが。
そうなると受ける依頼も薬草探しや町の中の依頼にシフトしていく同年代の冒険者も少なからずいた。
俺たちはそんな仲間が多い中で小さな魔物退治からコツコツと依頼をこなしていった。そうした姿勢がベテラン冒険者に気に入られ、指導担当についてもらう事が増えていった。
自由はあるが強くなければ生き残れない事をよく知っていた冒険者たちに俺たちは色々な事を教わった。彼らの信念も生き方も俺の心によく響いた、と同時に貴族社会の歪さに嫌悪を抱くようになったのは仕方の無い事だったのかも知れない。
両親や兄弟は使用人や平民を蔑む事もなく虐げる事もない、領民の為を想うノブレスオブリージュの精神を持った立派な人たちだった。
しかし明確な線引きはあり『負うべき義務は負うが単なる義務だから』というように深く交わる事はしなかった。
俺も長い休みの度に邸に戻ると三男とはいえ、両親に他貴族との交流の場に連れて行かれる事も珍しくなく高位貴族の子どもたちとの交流をする機会が年齢が上がるとともに増えていった。
高位貴族の者たちは家庭教師をつけて学ぶ事が多く早くて中等部、大体は高等部から学園に通う事が多かった。たぶん寮費以外の学費が無料だった初等部は平民が多く通っているのも貴族子息子女たちが通わない要員の一つだったのだろう。
その代わり祝い事のパーティーやお茶会などを定期的に行って学園入学前に他家との交流し縁を作ろうとする。
学園、引いては社交界での己の立ち位置を、親の思惑を受けて子どもながらに盤石にしようという背景が見え隠れしていた。そして単純に婚約者探しの場でもあった。
明らかに高位貴族の子息子女に媚びを売る者、高位貴族たちのマウントの取り合いや、より良い縁組を結ぶ為の異性へのアプローチ、どれも冒険者たちで過ごしてきた俺には違和感と窮屈さを感じていた。
俺は成長してもこの貴族の交流の仕方に馴染めず、貴族としての振る舞いに疑問を抱き続けていた。悩みもしたが結局、親の反対を押し切って高等部には進学せず冒険者になった。
侯爵家を出てその足でこの王国に渡り、王都の冒険者ギルドに所属した。その後はソロで偶に短期でパーティーへの加入を繰り返し、学生時代にBランクまでランクを上げていた俺は直ぐにAランクに上がる事が出来た。
俺がローズマリーと出逢ったのは俺がAランク冒険者にランクアップして1年が過ぎた頃の16歳になった頃だった。
当時、王都の冒険者ギルドに所属してしていたが『Sランクの実力がある』と言われていた俺を利用しようとするギルド長の思惑から『王都ギルド初のSランク冒険者の誕生』、それも『最年少最速記録』を作って欲しい、とSランクへの挑戦をしつこく持ちかけられていて辟易していた日々を送っていた。
俺は元々、隣国ダガルドの出身で侯爵家の三男だった。高位貴族の教育は他の下位貴族に比べて早かった。
物心ついた頃には貴族令息としての教育が始まっていたと思う。それでも家督を継ぐ嫡男の兄リチャードや次男の兄ヘンリーに比べれば勉強内容も量も多くはなかった。貴族の三男以下は家を出て行くのが基本だったから自ずと教育にも差が出るというものだ。
上2人とは違い三男の俺は比較的自由も効いたし机に向かうより剣術や体術、そして魔法の授業の方に多く時間が割かれていたようだった。
元々体を動かす事は性に合っていたし剣術やの才もあり魔力量も高位貴族の出だけあって豊富だった。ゆくゆくは騎士か宮廷魔術師を目指すのだろうと自分も周囲の者も思っていた。
侯爵家の慣習で王立学園初等部から親元を離れ寮に入った事は俺や家族に良かったのか悪かったのか。ダガルドではその地形の特殊性から魔物が多く発生し易く定期的に魔物を狩らないとスタンピードが起こりやすかった。
その為、冒険者の需要が高く男子は10才、女子は12才から冒険者登録が可能だった。王立学園では初等部と中等部は貴族も平民も通いやすい体制が整えられている。
高等部になると下位貴族でも授業料を支払うのが厳しい金額になるので、授業免除の成績優秀な特待生以外の平民出身の生徒は殆ど在籍していなかった。
王宮の文官を目指したい者や高等部卒業の資格が必要な職種を希望しているが授業料を支払うのが難しい生徒は、高等部に入るまでに冒険者登録して学費を貯める者が多かった。
初等部の寮では2人一部屋が基本で俺の同室者はリカルドという平民だった。人当たりがよく快活なリカルドとは気があい行動を共にする事が多かった。彼に誘われて10才になると俺も冒険者登録をした。
幼少の頃から剣術や魔法を学んできた俺は勿論のことリカルドもそれなりに才能があり冒険者に向いていたようだ。
休みの度に冒険者ギルドで2人で依頼を受けて過ごしている内にギルド所属の冒険者たちの顔見知りが増えた。まだ子どもだった俺たちはベテランの冒険者たちに随分と可愛がられた。この頃の冒険者たちとの交流が、その後の俺の人生に大きな影響を与えたと思う。
冒険者は実力主義だ。強く無ければ死ぬ、当たり前な事だがシンプルなその考えは冒険者たちの行動原理にもそれはよく現れていた。
10才から冒険者になれるのだからギルドに来る子どもは当然俺たち以外にも数多くいた。
稼ぐ事を目的としていた者も箔づけに登録をした者も大人の冒険者たちが一定期間、指導者として付き添ってくれていた。
稼ぐ事だけに気を取られ冒険者の覚悟と自覚の無い者も多かった。子どもだから仕方がない、いざと言う時は大人の冒険者が助けてくれる、という甘い考えもあったのだと思う。
報酬に目が眩んで実力も無いのに無理な魔物討伐を引き受け、対面した魔物の恐ろしさに立ちすくみ指導担当の冒険者たちに助けられる、と言う事も多かった。勿論担当者は依頼を受ける際にも助言をしていたのだが。
そうなると受ける依頼も薬草探しや町の中の依頼にシフトしていく同年代の冒険者も少なからずいた。
俺たちはそんな仲間が多い中で小さな魔物退治からコツコツと依頼をこなしていった。そうした姿勢がベテラン冒険者に気に入られ、指導担当についてもらう事が増えていった。
自由はあるが強くなければ生き残れない事をよく知っていた冒険者たちに俺たちは色々な事を教わった。彼らの信念も生き方も俺の心によく響いた、と同時に貴族社会の歪さに嫌悪を抱くようになったのは仕方の無い事だったのかも知れない。
両親や兄弟は使用人や平民を蔑む事もなく虐げる事もない、領民の為を想うノブレスオブリージュの精神を持った立派な人たちだった。
しかし明確な線引きはあり『負うべき義務は負うが単なる義務だから』というように深く交わる事はしなかった。
俺も長い休みの度に邸に戻ると三男とはいえ、両親に他貴族との交流の場に連れて行かれる事も珍しくなく高位貴族の子どもたちとの交流をする機会が年齢が上がるとともに増えていった。
高位貴族の者たちは家庭教師をつけて学ぶ事が多く早くて中等部、大体は高等部から学園に通う事が多かった。たぶん寮費以外の学費が無料だった初等部は平民が多く通っているのも貴族子息子女たちが通わない要員の一つだったのだろう。
その代わり祝い事のパーティーやお茶会などを定期的に行って学園入学前に他家との交流し縁を作ろうとする。
学園、引いては社交界での己の立ち位置を、親の思惑を受けて子どもながらに盤石にしようという背景が見え隠れしていた。そして単純に婚約者探しの場でもあった。
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