捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

しずもり

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イケアの街と面倒事

可愛いサミュ君

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ダント親方が帰った後、お昼でも作ろうかとクリスと分かれて厨房に向かった。すると厨房の方から可愛いらしい声が聞こえてきた。


「たべゆのぉ~。さみゅ、たべりゅっ。」


マイスイートエンジェルのサミュ君が、どうやら侍女のアニーさんと料理長に、何かを直談判していたらしい。


うん、ぐずっていても可愛いなぁ。



「あ、ティアナ様!」


アニーさんが私の姿を見て救世主が来た!かのような視線を送ってきた。料理長もほっとしたような顔している。


「ティーちゃ!いもっ、いもっ。」


侍女の声にサミュ君は振り向いて私の姿を見つけると、嬉しそうに満面の笑みを浮かべてトテトテと近寄って来た。

因みに「ティーちゃ」はティアナちゃんの意味らしい。

可愛いっ!可愛いがティーちゃの後に芋を連呼されると「いも呼ばわりかっ!」って微妙な気分になるね、サミュ君じゃなければ。



サミュ君はそのまま私の足にキュッと抱きついて


「さみゅねぇ、しゅきなの。」


と小首を傾げて、愛らしく私の足にしがみついている。

可愛いなぁ。でもどっち?私か芋けんぴか、どっちを好きだと言ったの?悩むところよね。



「サミュ君、もう少しでお昼ご飯になるから我慢出来るかなぁ?」


うわっ!言った途端に、サミュ君の大きなおめめがウルウルとしてくる。


でもね、いつでも芋けんぴが出てくるものでも無いのよ、には入っているけど。


どうしようとアニーさんを見るが、彼女も困りきっている。


お昼ご飯前に勝手に間食させる訳にはいかないからねぇ。料理長に至っては、私が何かを作っていたのは知っているけれど、芋と言われても何の事だか分からずに困惑している。


「サミュ君、お昼はくまさんランチを作るから食べてくれるかな?」


天使の涙には弱いわぁ~。


泣かれたらと思うと、焦って口走ってしまったけど、この世界に熊っているのかしら?ランチって言葉通じてる?



「くましゃん?」


ウルウルと目に涙を溜めていたサミュ君がこてんと首を傾げた。興味は引けたみたいだね、良かった~。



「うん、そう。くまさんだよ。お昼ご飯楽しみにアニーさんとお庭で散歩していてね!」


アニーさんっ、後は任せましたよ!とばかりにアニーさんに視線を向けると、こっくりと頷いてサミュ君と庭に出かけ行った。



よしっ、くまさんランチを作るぞ!



気合いを入れた私の後ろで料理長が「・・・芋、くまさんらんち、、、、。」と呟いていた。うん、謎だよね。




サミュ君の涙に弱い私は厨房でせっせと料理を作り、温室で待つミリアさんたちの元に向かった。

折角だから、ガゼボとか緑が見える解放感のある場所で食べたかったからね。



「お待たせ~。サミュ君の為の、くまさんランチだよ!」


「ひゃうっ。」


サミュ君の為の、って言葉は大切だよね。

そっとお皿をサミュ君の前に出せば、サミュ君が両手の平を頬っぺたにくっつけて高い声を上げた。



本当は底の浅いグラタン皿かワンプレートのお皿に乗せたかったんだけど無かったからスープ皿で代用。


昨日の残りのケチャップソースでケチャップライスを作り、小さく丸く形をつくって雪だるま式でそっと乗せて頭と体を作ってお皿の隅に寝かせた。


お皿をベッドに見立てて、皿の真ん中にオムレツを乗せて端をくまさんの上に。くまさんはふかふかベッドに寝ている風にして、オムレツの周りには森に見立てた野菜を盛り付けた。


さっと塩胡椒とマヨネーズで炒めたブロッコリーの森に、花の形のにんじんのグラッセ。


オムレツはケチャップではなくホワイトソースを乗せて、一緒に煮込んだ鶏肉を2つ横に添えた。


デザートは寒天を使って、砂糖で味付けした牛乳寒天だ。


プリンのような型に入れて、デザート皿に取り出したので山の形をしていてプルプルしている。


サミュ君の目がキラっキラしているから、くまさんランチは成功かな。



「まぁ!なんて可愛いらしいんでしょう。」


ミリアさんにも喜んでもらえているようで良かった。


結局、熊ってこの世界に要るのかな?


くまさんが熊だと理解しているのか、可愛い何かの生き物と判断したのかは分からないけれど、そこはスルーしてくれている。


料理もなるべく昨日出した物と似た様な感じにしたし、オムレツはこの世界でも似た感じの物があるから大丈夫じゃないかな。



サミュ君は折角のくまさんにスプーンを入れるのをちょっと躊躇っていたみたいだけれど、『また作るよ。』と言ったら安心して食べていた。

食後のデザートの牛乳寒天のプルプルさを気に入って、スプーンでツンツンしていたのが可愛いらしかった。

けれど、流石にマナー違反で癖になっては困ると思ったのか、ミリアさんから教育的指導が入っていた。





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