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ニトの街にて
女商人は歌って踊る
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「まっ、この街に愛着も恩もないけどぉ~、私たちの踏み台には丁度良いわよねぇ。
あっ、ティアナ!そこ、もう一回やって!」
今、私は何故かノアさんの店の裏庭に居る。裏庭は三方を高い石壁に覆われているので私とエリス様の姿は他からは見えない状態だ。
ノアさんの店で商談したのは昨日の午後の事だ。そして今は翌日の午前10時頃だ、たぶん。
まだ午前中なのに裏庭でラジオ体操、ではなくエリス様とダンスしちゃっているのは何故何だろう?
ポロっと、本当にポロっと呟いてしまった私が悪いんだけどねぇ。
今朝、昨日の疲れでぐっすりと眠っていた私を突撃訪問で起こしてくれたのがエリス様だった。
「ティアナっ!時間は有限よ。貴女たちがニトにいる間に私は歌って踊れる様にならなくちゃいけないのよっ。」
ナンデスト?
18歳の乙女の寝起きドッキリ!も十分に驚きましたけど、更にドッキリですか、そーですか?
何故、子爵令嬢が歌って踊れる様にならないといけないのですか?
まだベッドの上の私に抱きついているエリス様は放っておいて、目の前のケイト様に視線を向けた。
「昨夜、担当分けしたのよ。肉部門は私、喫茶・劇場部門はエリスお姉様になったの。
それでお姉様が総監督として張り切ってしまわれてねぇ。」
ケイト様、結構面白がってません?
確かに適材適所でしょうけれども、まだ7時にもなっていない時間じゃないでしょうか?
クリス、は隣の部屋を借りているけれど、突撃者がお姉様方だと気付いているんじゃないかな。こっちに来る気配が無いのはきっとそういう事だと思う。
「だってやる事は一杯あるのよっ。
ティアナだって昼には屋台を出すのでしょう?仕込み時間も必要なんだから形が出来上がるまでは分刻みのスケジュールで動くつもりでいないとねっ!」
わぁおうっ!分刻み!超売れっ子な私、、、、。
お姉様方は商談の後からスッカリとフレンドリーに接してくれる様になったけれど私、体力持つかな?
「私は午前中にイケアに戻る商業ギルド長たちについて行って商会の登録申請をしてくるわ。
戻って来たら私も打ち合わせをしたいのだけれど良いかしら?」
「あーはい、大丈夫です。でもお二人ともニトの商業ギルドの方の仕事は大丈夫ですか?」
一応、お姉様方はまだニトのギルド職員だよね。ちょっと外出するのではなく、朝からギルドにも行かず外出するのは問題があるんじゃないのかなぁ。
「あぁ~、大丈夫、大丈夫。本当、名ばかりの職員なのよ。
多少の権限はあっても基本は何もするな、って言われてたぐらいだからねぇ。いつもこんな感じだよ?」
「まっ、そういう事だからアナタが気にする事じゃないわ。
じゃ、もうすぐイケアの商業ギルド長たちは出発するみたいだから一緒に乗せてもらって行ってくるわ。」
手をヒラヒラとさせてケイト様は部屋を出て行ったけれど、頑なにラルフレッドさんの名前は口にするつもりが無いらしい。
ラルフレッドさんに何かをされた訳でも無いけれど、王都の高位貴族令息というだけでお姉様方にとってはそんなにも警戒する相手なのかぁ。
もしかしたらお姉様方の噂を知っているかも、という警戒心もあるのかも知れない。
昨日も最後にラルフレッドさんが『今後とも宜しく』と差し出した手を凍る様な笑顔で握り返していて苦笑されてたっけ。
こればかりはお互いが仕事をしていく内に打ち解けるしかないのかもね。
どれだけ仕事を一緒にする事になるかは分からないけれど。
ラルフレッドさんたちには昨夜の内に別れの挨拶を済ませていた。
本当は日帰りで戻る予定だったのを例の癒しを見る為に残ったので朝イチで帰ると言っていたからだ。
私としては見なくても良かったんじゃない?と思ったけれど、メイド姿でおもてなしをする私に呆れたのか感動したのか、口を大きく開けて絶句からの顔が真っ赤になって最後には菩薩の様な笑みを浮かべてた、何で?
で、朝食後に私とエリス様はノアさんのお店に到着後、裏庭でダンスのステップの初歩から始まって今は歌と振り付けを覚えている最中という訳だ。
昨日の今日でノアさんのお店の構造を熟知しているエリス様が怖い、、、。
そうして私の知っているアイドルグループの歌と振り付けを次々と練習している訳で。
なんでも『メイド喫茶』に歌と踊りを披露するコーナー有りで、将来的には専用劇場を作るつもりなんだそうですよ?
会いに行けるメイド、、、いや歌姫、みたいな?
『執事喫茶』も同じ様な事を考えているらしいけれど、同時進行で進めるつもりなんだろうか。エリス様のやる気が怖い。
「エリス様、そこは『好きなの~』のところで両手でハートを作って右にステップ、左にステップ、くるりと回ってハートを飛ばす、ですよぉ~。ハイ、こんな感じで。」
女性アイドルグループの歌とダンスは皆でよく休み時間にノリで踊ったからねぇ~。
男性アイドルグループの方はガチファンの子のお付き合いで覚えさせられたんだよね。ローラースケート持参してきて休み時間に指導されたりしたけれど、まさかそれが役に立つ日が来るとは思わなかった。何でも覚えてみるもんだね。
「でも歌についてはどうするんです?私、楽譜に落とすとかは出来ませんよ?」
「あー、それも大丈夫。広場で屋台やっている子の中に音楽家志望が居るのよ。
でも、孤児って勉強する場も無いし楽団で働かせても貰えないから留学する費用を貯めてたんだよね。
だから1曲銀貨5枚で楽譜に起こすのを依頼した~。」
銀貨5枚って安いんじゃ、、、、。いや、ちょっと待って?私に何曲歌わせる気なんだろう?しかも音程を外す可能性大有りな素人に。
「音外しても大丈夫じゃない?その子、天才だから修正込みで楽譜が出来上がると思うよ~。」
楽しそうにステップを踏みながら踊るエリス様もリズム感良く歌って踊っていて、そっち系の何かに憧れがある人だったのかもね。
なんて微笑ましく思ったりしていたけれど、その後、ニトを旅立つ前までに暇があれば音楽家志望の子の前で歌い踊らされ、恥ずかしさを通り越して最後は私の大好きな曲もノリノリで披露したのはいい思い出、、、かな?
あっ、ティアナ!そこ、もう一回やって!」
今、私は何故かノアさんの店の裏庭に居る。裏庭は三方を高い石壁に覆われているので私とエリス様の姿は他からは見えない状態だ。
ノアさんの店で商談したのは昨日の午後の事だ。そして今は翌日の午前10時頃だ、たぶん。
まだ午前中なのに裏庭でラジオ体操、ではなくエリス様とダンスしちゃっているのは何故何だろう?
ポロっと、本当にポロっと呟いてしまった私が悪いんだけどねぇ。
今朝、昨日の疲れでぐっすりと眠っていた私を突撃訪問で起こしてくれたのがエリス様だった。
「ティアナっ!時間は有限よ。貴女たちがニトにいる間に私は歌って踊れる様にならなくちゃいけないのよっ。」
ナンデスト?
18歳の乙女の寝起きドッキリ!も十分に驚きましたけど、更にドッキリですか、そーですか?
何故、子爵令嬢が歌って踊れる様にならないといけないのですか?
まだベッドの上の私に抱きついているエリス様は放っておいて、目の前のケイト様に視線を向けた。
「昨夜、担当分けしたのよ。肉部門は私、喫茶・劇場部門はエリスお姉様になったの。
それでお姉様が総監督として張り切ってしまわれてねぇ。」
ケイト様、結構面白がってません?
確かに適材適所でしょうけれども、まだ7時にもなっていない時間じゃないでしょうか?
クリス、は隣の部屋を借りているけれど、突撃者がお姉様方だと気付いているんじゃないかな。こっちに来る気配が無いのはきっとそういう事だと思う。
「だってやる事は一杯あるのよっ。
ティアナだって昼には屋台を出すのでしょう?仕込み時間も必要なんだから形が出来上がるまでは分刻みのスケジュールで動くつもりでいないとねっ!」
わぁおうっ!分刻み!超売れっ子な私、、、、。
お姉様方は商談の後からスッカリとフレンドリーに接してくれる様になったけれど私、体力持つかな?
「私は午前中にイケアに戻る商業ギルド長たちについて行って商会の登録申請をしてくるわ。
戻って来たら私も打ち合わせをしたいのだけれど良いかしら?」
「あーはい、大丈夫です。でもお二人ともニトの商業ギルドの方の仕事は大丈夫ですか?」
一応、お姉様方はまだニトのギルド職員だよね。ちょっと外出するのではなく、朝からギルドにも行かず外出するのは問題があるんじゃないのかなぁ。
「あぁ~、大丈夫、大丈夫。本当、名ばかりの職員なのよ。
多少の権限はあっても基本は何もするな、って言われてたぐらいだからねぇ。いつもこんな感じだよ?」
「まっ、そういう事だからアナタが気にする事じゃないわ。
じゃ、もうすぐイケアの商業ギルド長たちは出発するみたいだから一緒に乗せてもらって行ってくるわ。」
手をヒラヒラとさせてケイト様は部屋を出て行ったけれど、頑なにラルフレッドさんの名前は口にするつもりが無いらしい。
ラルフレッドさんに何かをされた訳でも無いけれど、王都の高位貴族令息というだけでお姉様方にとってはそんなにも警戒する相手なのかぁ。
もしかしたらお姉様方の噂を知っているかも、という警戒心もあるのかも知れない。
昨日も最後にラルフレッドさんが『今後とも宜しく』と差し出した手を凍る様な笑顔で握り返していて苦笑されてたっけ。
こればかりはお互いが仕事をしていく内に打ち解けるしかないのかもね。
どれだけ仕事を一緒にする事になるかは分からないけれど。
ラルフレッドさんたちには昨夜の内に別れの挨拶を済ませていた。
本当は日帰りで戻る予定だったのを例の癒しを見る為に残ったので朝イチで帰ると言っていたからだ。
私としては見なくても良かったんじゃない?と思ったけれど、メイド姿でおもてなしをする私に呆れたのか感動したのか、口を大きく開けて絶句からの顔が真っ赤になって最後には菩薩の様な笑みを浮かべてた、何で?
で、朝食後に私とエリス様はノアさんのお店に到着後、裏庭でダンスのステップの初歩から始まって今は歌と振り付けを覚えている最中という訳だ。
昨日の今日でノアさんのお店の構造を熟知しているエリス様が怖い、、、。
そうして私の知っているアイドルグループの歌と振り付けを次々と練習している訳で。
なんでも『メイド喫茶』に歌と踊りを披露するコーナー有りで、将来的には専用劇場を作るつもりなんだそうですよ?
会いに行けるメイド、、、いや歌姫、みたいな?
『執事喫茶』も同じ様な事を考えているらしいけれど、同時進行で進めるつもりなんだろうか。エリス様のやる気が怖い。
「エリス様、そこは『好きなの~』のところで両手でハートを作って右にステップ、左にステップ、くるりと回ってハートを飛ばす、ですよぉ~。ハイ、こんな感じで。」
女性アイドルグループの歌とダンスは皆でよく休み時間にノリで踊ったからねぇ~。
男性アイドルグループの方はガチファンの子のお付き合いで覚えさせられたんだよね。ローラースケート持参してきて休み時間に指導されたりしたけれど、まさかそれが役に立つ日が来るとは思わなかった。何でも覚えてみるもんだね。
「でも歌についてはどうするんです?私、楽譜に落とすとかは出来ませんよ?」
「あー、それも大丈夫。広場で屋台やっている子の中に音楽家志望が居るのよ。
でも、孤児って勉強する場も無いし楽団で働かせても貰えないから留学する費用を貯めてたんだよね。
だから1曲銀貨5枚で楽譜に起こすのを依頼した~。」
銀貨5枚って安いんじゃ、、、、。いや、ちょっと待って?私に何曲歌わせる気なんだろう?しかも音程を外す可能性大有りな素人に。
「音外しても大丈夫じゃない?その子、天才だから修正込みで楽譜が出来上がると思うよ~。」
楽しそうにステップを踏みながら踊るエリス様もリズム感良く歌って踊っていて、そっち系の何かに憧れがある人だったのかもね。
なんて微笑ましく思ったりしていたけれど、その後、ニトを旅立つ前までに暇があれば音楽家志望の子の前で歌い踊らされ、恥ずかしさを通り越して最後は私の大好きな曲もノリノリで披露したのはいい思い出、、、かな?
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