捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

しずもり

文字の大きさ
309 / 439
ハドソン領 花街道(仮)編 アイビー村

 一番星食堂にて 7

しおりを挟む
「ウチの店がこの国で初めて、、、。」

私の言葉の意味がやっと分かったのか、ハイドさんがゴクリと喉を鳴らして呟いた。

 今まで私が登録したレシピは、販売前に誰かに食べて貰う事はあっても、他の店が先に販売する事は無かったんだよね、当たり前だけど。
イケアで先に唐揚げの販売をする話や売買契約を結んだ料理は別として、ホットドッグは店内で作ったのがきっかけだったからね。

「えぇ。だからお店で売る時も思いっきりその事を宣伝しても良いと思います。看板かのぼりを作ったらどうでしょうか?目立つし、一々口で言わなくても済みますから。

私がレシピ登録をして、ハイドさんたちが領都で屋台を出したら直ぐに話題になって他の店も売り出すでしょう?後から『ウチが最初に売り出した!』と言っても、覚えていない人、知らなかった人は多い筈です。ハドソン領以外なら知らない人だらけです。

だからこそ、最初に売り出す時から『アイビー村で生まれた料理』を宣伝するんです。私がレシピ登録をすると言っても、アイビー村の一番星食堂さんの店内で初めて作った事には変わりありませんしね」

「それはそうだけど、でも領都の屋台で販売され始めたら、アイビー村まで食べに来る人は減っちゃうでしょう?」

メアリーさんの言う通りではあるんだよね。それについてはもう一つ考えがあるけど、今は話の途中だ。

「そうですね。ですが、ホットドッグを食べた人、興味を持った人の中には、最初に売り出した店のホットドッグを食べてみたいと考える人もいると思うんですよね。

 それにアイビー村でホットドッグという料理が生まれたという話が広まれば、アイビー村の知名度が上がりますよ。

アターミに向かう観光客が興味を持って立ち寄る可能性も出てきますし、領都に遊びに来た人がついでにアイビー村に足を運ぶ事があるかもしれません。

そういう可能性も考えて、領都で屋台を出す事を提案しました」


 料理に限らず、『誰が最初に考えたのか』や『どこが一番最初だったのか』みたいな論争は、前世でもよく聞く話だったからね。

アイビー村がホットドッグの発祥の地でも、領都、もっと大きな目で見たら『ハドソン領のご当地グルメ』という扱いだって出来ると思う。

まぁ、そうなる為にはホットドッグをハドソン領で大々的に売り出さないといけないかな。

「そうか。それは凄いなぁ。だが、アイビー村の知名度が上がったとしても、領都の屋台や店がホットドッグを売り出したら、やっぱりアイビー村まで来ないんじゃないか?」


「そうですねぇ。ホットドッグは食材さえあれば、誰でも簡単に調理出来る料理ですしね。

だから調味料や食材を工夫して一番星食堂さん独自のホットドッグを作ってみてはどうでしょうか?

確認なんですが、お店で出しているソーセージはハイドさんの手作りですか?」


「あぁ、あれは俺の手作りだ。修行していた時に教わったものなんだ。」


「良かった!それならソーセージも工夫する事が出来ますね。

アイビー村に食べに来て貰えるように、アイビー村の特産品を使って味の違う別のソーセージを作りましょうよ。それでホットドッグを作るんです」


「アイビー村の特産って、、、レモンのことですか?」


 ハイドさんがちょっと自信無さそうに言っているけれど、特産品て呼ぶにはそんなに弱いのかなぁ。

そのまま食べられる食材に比べたら需要も少なそうだし、だからこそレオンさんも悩んでいるみたいだった。


「はい。レモン汁を入れたソーセージもサッパリした風味で美味しいんですよ」

 ソーセージも色々なスパイスを入れて作るけれど、基本はひき肉、塩、羊腸だけで出来る。もっと言ったらラップがあれば羊腸も要らない。
まぁ、この世界にラップは無いので、羊腸を使うか、手で整形するとかかな。

レモン汁以外に乾燥パセリかバジルを入れて、ブラックペッパーか胡椒も使いたいけれど、胡椒は高いんだよね。


「ソーセージにレモン汁を入れて作るのは出来ると思うが、そんなに普通のソーセージと味が違うのかい?」


味の想像が出来ないのか、ハイドさんは少し戸惑い気味だ。

「一度作って味を確かめてみて下さい。

それで売れると判断したら、ホットドッグとは別の名前で売り出そうと思っています。

アイビー村の特産品であるレモンを使って作ったソーセージで作るホットドッグ。名付けてアイビードッグです!」



ーーーーーーーーーーーーーーー


 ここまでお読み下さりありがとうございます。

「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。

今年一年、拙作にお付き合い下さりありがとうございました。来年も宜しければお付き合い下さい。

それでは良いお年を!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)

犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。 『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』 ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。 まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。 みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。 でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

処理中です...