元虐げられた公爵令嬢は好きに生きている。

しずもり

文字の大きさ
11 / 17
レンとリアの旅 〜過去編〜

リアと告白 1

しおりを挟む
「~それでリアさんっ!付き合って下さいぃっ!!」


 冒険者ギルドではいつも賑やかで隣同士でさえ、大声で話さなければ聞こえない筈の会話が、いつもと違って建物の中で響き渡った瞬間だった。


 駆け出しの冒険者である若者の言葉は、いつもは話しかけなくても勝手に会話に割り込んでくるような陽気な冒険者も、年長者の有難い言葉を垂れ流したいだけの冒険者たちもピタリ黙らせるには十分な破壊力があった。


但し、言った本人と、言われたアメリアを除いて。

 若者の言葉で静かになった冒険者たちの視線はー。

言葉を発した若者でも告白されたアメリアでもなく、彼女アメリアの背後で守護霊どころか、悪霊にでもなりそうな気配のレンに向けられていた。


 二人はメリトの街を出た後、ティモテ王国に入国した。そして冒険者ギルドのあるこの街に来てからひと月が経とうとしている。

相変わらずことの多いアメリアだが、ひと月も経てば周囲の者は二人の関係を察するようになった。

最初は希望的観測も含めて『師匠と弟子』、『兄と妹』などと思いたかった。だがそうじゃない。


レンこのひとリアあの子に対する過保護っぷりは半端ねぇ~!!


そう茶化して、いや、心を誤魔化して、アメリアとお近付きになりたい冒険者おとこどももそれなりにいたのだ。

だが、直ぐに嫌でも察せざるを得ないに気付く事になる。

というか、これを察する事が出来なければ、己の命など風前の灯である事にも気付かず、によって葬り去られることは確実である。
『魔王とは?』なんて、皆で答え合わせする必要もない。まぁ、皆の頭の中に浮かぶ人物はただ一人である。


ぶっちゃけ、レンのリアに近寄る者への牽制は相当だ。
二人が滞在してひと月も経てば、軽い気持ちでも、真剣な気持ちだったとしても、『リアに告白しよう』などと思う命知らずな者はいない。・・・いなくなった、が正しいのだが。


だが、しかし!


今まさに魔王レンの目の前に命知らず勇者が現れたのだ!


怖いっ!怖すぎる!!


自分の事ではないのに、何故、自分たちが怯えなければならないのか?


ただのギャラリーに過ぎない周囲の者たちは、レンから発せられる圧に平伏したい気持ちになる。

レンの背後にドス黒い何かが見えるような気がしてきた。


たぶん、レンのこの威圧に気付いていない者は若者とリアぐらいのものだろう。

 違う意味で一世一代の告白となりそうな若者は、緊張している為に気付いていないのだろう。だが、『何故、リアがこの恐ろしい威圧に気付かないのか?全く理解不能だ』と周囲の者たちは不思議に思う。

なのか?それとも彼女がそれ以上の大物なのか?


恐怖に怯えながらも、リアの返事と若者の行く末を案じて一同が固唾を飲んで見守る。

若者が告白してから三十秒、一分と時間が過ぎていく。

周りの者からすればもう十分すぎる時間が経ったようにも思うが、実際には告白されたアメリアが大きく瞬きしてから小首を傾げた程度の僅かな時間しか経っていない。
そしてどうやらその短い間にアメリアは答えを出したようである。

「うん。いいよ」

アメリアは珍しく笑顔を見せ、若者に向かって返事をしたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーー


ここまでお読み下さりありがとうございます。

「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。


お久しぶりです。
一年以上ぶりの更新となりました。
元々、不定期更新のつもりで投稿を始めたのですが、少々ではなく、かなり放置したままになっていました。すみません。
これからも不定期更新にはなりますが、更新頻度はもう少し多くしていく予定ですので、よろしければお付き合いください。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

婚約破棄を本当にありがとう

あんど もあ
ファンタジー
ラブラブな婚約者のパトリシアとラルフ。そんなパトリシアに、隣国の王立高等学院に留学しないかとのお誘いが。「私、もうこの国の王立学園を卒業してますよ?」「高等学園にはブライト博士がいるわよ」「行きます!」 当然、ラルフも付いて行くのだが、そこでパトリシアは王太子の婚約者と思われて……。

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

愛する女性を側室に望むのなら、いっそ私との婚約は解消してほしいのですが?

四折 柊
恋愛
公爵令嬢ジョゼフィーヌには好きな人がいた。その人は隣国の王子様リック。ジョゼフィーヌはリックと結婚したくて努力をしてきた。そして十六歳になり立派な淑女になれたと自信を得たジョゼフィーヌは、リックにプロポーズをしようとした。ところが彼に婚約者がいたことが発覚し悲しみに暮れる。今まで確認しなかった自分も悪いが、なぜかリックも家族もそのことを教えてくれなかった。そんなときジョゼフィーヌに婚約の打診が来た。その相手は自国のアルバン王太子殿下。断りたいが王命が下り仕方なく受け入れた。それなのに、ある日夜会でアルバンが可憐な令嬢に一目惚れをした。その後、アルバンはその令嬢を側室にしたいと望んだので、お互いのために婚約を解消したいと申し出たが拒絶されて……。ジョゼフィーヌの未来はどうなるのか?!

ミュリエル・ブランシャールはそれでも彼を愛していた

玉菜きゃべつ
恋愛
 確かに愛し合っていた筈なのに、彼は学園を卒業してから私に冷たく当たるようになった。  なんでも、学園で私の悪行が噂されているのだという。勿論心当たりなど無い。 噂などを頭から信じ込むような人では無かったのに、何が彼を変えてしまったのだろう。 私を愛さない人なんか、嫌いになれたら良いのに。何度そう思っても、彼を愛することを辞められなかった。 ある時、遂に彼に婚約解消を迫られた私は、愛する彼に強く抵抗することも出来ずに言われるがまま書類に署名してしまう。私は貴方を愛することを辞められない。でも、もうこの苦しみには耐えられない。 なら、貴方が私の世界からいなくなればいい。◆全6話

悪妻と噂の彼女は、前世を思い出したら吹っ切れた

下菊みこと
恋愛
自分のために生きると決めたら早かった。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの?

月白ヤトヒコ
ファンタジー
健康で、元気なお姉様が羨ましかったの。 物心付いたときから、いつも体調が悪かった。いつもどこかが苦しかった。 お母様が側にいてくれて、ずっと看病してくれた。お父様は、わたしのお医者様の費用やお薬代を稼ぐのが大変なんだってお母様が言ってた。 わたし、知らなかったの。 自分が苦しかったから。お姉様のことを気にする余裕なんてなかったの。 今年こそは、お姉様のお誕生日をお祝いしたかった……んだけど、なぁ。 お姉様のお誕生日を祝うのが、なぜ我儘なの? ※『わたくしの誕生日を家族で祝いたい、ですか? そんな我儘仰らないでくださいな。』の、妹視点。多分、『わたくしの誕生日を~』を先に読んでないとわかり難いかもです。 設定はふわっと。

処理中です...