婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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婚約破棄

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森の中を馬車があり得ない早さで走っていく。
良く見れば、後ろからワーウルフの群れに追われていた。
窓から恐怖にひきつった女性の顔が見える


馬車の御者台に人は乗っていなく、制御されていない馬が興奮して走り続けていた。

この先、道は二又に別れている。片方は切りだった崖に続く道で、馬車は運悪く崖へと続く道へ進んでしまった。

そして馬車はそのまま崖へと吸い込まれて行った…


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

王家主宰の夜会。

壇上から、鋭い視線を向けているのはこの国の王子バイロンその人だ。

「エレーナ・パシュレーヌ! 貴様との婚約を破棄する!
もう貴様のような地味で暗い女など、真っ平だ。その上陰険で性格まで悪かったとはな」
そう言って隣にいる綿菓子のようなふわふわした髪の女性を引き寄せた。

「このリリアーヌに嫌がらせをしたり、嫌みを言ったりネチネチと意地悪をしたそうではないか」

「バイロン様~ 私とっても怖かったんですぅ~」

「よしよし、もう大丈夫だよ
こんな性悪な女は王都から追放するからね」

「うれしいですぅ~」

「聞いた通りだ。
エレーナ貴様は王都追放とし、最果ての修道院へ送る
誰か準備が出来るまで、こいつを部屋に閉じ込めておけ!」

使用人と騎士に連れられて、王宮の一室に閉じ込められる羽目になった。
私はエレーナ・パシュレーヌ侯爵令嬢。
あの剣幕なら、牢屋にでも繋がれるかと思ったが、流石に侯爵令嬢を牢に入れれば後々問題にされると思ったのか?
王子の独断で断罪した事だから、この先どうなるか分からないので、あまりひどい仕打ちをするのを避けたのか?
多分、常識のある文官や使用人たちの機転によって、私はここへ連れられて来たのだろう。

全く身に覚えのない事で責め立てられ、挙げ句に婚約破棄とは…

私が望んだ婚約ではない、王子が私を好むと好まざると私からはどうすることも出来ない事だ。
なのに、会う度に私に対しての不満や文句を言われてもどうすることも出来なかった。

私の容姿が気に入らなくても、それだって私に顔を変えることは出来ない。
そんなに嫌なら、婚約者を変えればいい、いつもそう思っていた。

でも、この状況はどうだ?
婚約破棄は別に構わない。
なんの未練もない相手だし、これで嫌みを言われる事ももうない。

だけど、やってもいない罪を着せられ追放までさせられるのは納得がいかなかった。
彼は自分があのリリアーヌと一緒になりたくて、私を陥れたのね。

なぜ穏便に解消を求めてくれないのだろう。
お互いに心を通わせなかったとしても、長年婚約関係にあった者へあまりにも非情ではないだろうか。

私は、やるせない気持ちと共に怒りがこみ上げてくるようだった。




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本日より投稿した新作です。
よろしくお願いいます。ふ
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