98 / 178
パドックの独り言
しおりを挟む
「セシリアになる事はもうありません。
パドック様、私を迎えに来る際はもうバイロン様を連れてこないで下さいな。
王子だったバイロン様からの謝罪は受け取りました。
許すかどうかは別ですけれど。
さようならバイロン様、もうお会いする事はありませんね」
私は最後にカーテシーをして、部屋を後にしました。
「パドック様、それではアランソルの国王陛下への報告はよろしくお願いいたします。
それと、昨日エレーナがお父上に宛てて手紙を書いたようです。
これをあなたに託してよろしいですか?」
大叔母様はパドックに手紙を渡します。
「お預かり致します。責任をもってパシュレーヌ侯爵にお渡しいたしますのでご安心下さい」
「よろしいお願いいたします。
それと彼の事も」
大叔母様はチラッともう動かなくなってしまったバイロン様を見ながら言いました。
「大丈夫です。
ちゃんと連れて帰りますよ。
1人でこの国に残したら、エレーナ嬢が心配ですからね。
この人は自業自得ですから、お気になさらず。
では私共はこれで」
パドック様はバイロン様を引きずる様に連れて帰っていかれました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そろそろ、正気に戻ってくれないか。
明日にはここを畳んで全員アランソルに向けて帰国するつもりなんだが…
他の町に散らばった部下達にも連絡はついた。国境の町で落ち合うから明日の昼には出発するぞ」
エレーナ嬢達と会ってから2日が経った。
あれから、バイロンは魂が抜けた脱け殻の様だ。
だが、こいつを置いて行く訳にはいかない。
聖女マリナに約束したのだから。
もともと個人的にエレーナ嬢に対してのバイロンの仕打ちには憤っていた。
大して調べもせず、彼女を罪人扱いして追放するなど、言語道断だ。
その上それが聖女かもしれない令嬢とくれば、我が家を敵に回したようなもの。
本来なら仲良く同じ屋根の下に居る事など我慢ならないがエレーナ嬢を探し出してアランソルに連れて帰る為に手伝わせ、もし出来るなら復讐の手助けでもしたかった。
だが、私が手を貸す事などせずとも聖女に覚醒したエレーナ嬢はしっかり一矢報いたようだ。
彼女の放った一撃は思いの外バイロンを苦しめている。
だが、それは自業自得だし同情する気はない。
私はこいつを身体的には無傷でアランソルへ戻す。
それだけだ。
パドック様、私を迎えに来る際はもうバイロン様を連れてこないで下さいな。
王子だったバイロン様からの謝罪は受け取りました。
許すかどうかは別ですけれど。
さようならバイロン様、もうお会いする事はありませんね」
私は最後にカーテシーをして、部屋を後にしました。
「パドック様、それではアランソルの国王陛下への報告はよろしくお願いいたします。
それと、昨日エレーナがお父上に宛てて手紙を書いたようです。
これをあなたに託してよろしいですか?」
大叔母様はパドックに手紙を渡します。
「お預かり致します。責任をもってパシュレーヌ侯爵にお渡しいたしますのでご安心下さい」
「よろしいお願いいたします。
それと彼の事も」
大叔母様はチラッともう動かなくなってしまったバイロン様を見ながら言いました。
「大丈夫です。
ちゃんと連れて帰りますよ。
1人でこの国に残したら、エレーナ嬢が心配ですからね。
この人は自業自得ですから、お気になさらず。
では私共はこれで」
パドック様はバイロン様を引きずる様に連れて帰っていかれました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そろそろ、正気に戻ってくれないか。
明日にはここを畳んで全員アランソルに向けて帰国するつもりなんだが…
他の町に散らばった部下達にも連絡はついた。国境の町で落ち合うから明日の昼には出発するぞ」
エレーナ嬢達と会ってから2日が経った。
あれから、バイロンは魂が抜けた脱け殻の様だ。
だが、こいつを置いて行く訳にはいかない。
聖女マリナに約束したのだから。
もともと個人的にエレーナ嬢に対してのバイロンの仕打ちには憤っていた。
大して調べもせず、彼女を罪人扱いして追放するなど、言語道断だ。
その上それが聖女かもしれない令嬢とくれば、我が家を敵に回したようなもの。
本来なら仲良く同じ屋根の下に居る事など我慢ならないがエレーナ嬢を探し出してアランソルに連れて帰る為に手伝わせ、もし出来るなら復讐の手助けでもしたかった。
だが、私が手を貸す事などせずとも聖女に覚醒したエレーナ嬢はしっかり一矢報いたようだ。
彼女の放った一撃は思いの外バイロンを苦しめている。
だが、それは自業自得だし同情する気はない。
私はこいつを身体的には無傷でアランソルへ戻す。
それだけだ。
18
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
報われなくても平気ですので、私のことは秘密にしていただけますか?
小桜
恋愛
レフィナード城の片隅で治癒師として働く男爵令嬢のペルラ・アマーブレは、騎士隊長のルイス・クラベルへ密かに思いを寄せていた。
しかし、ルイスは命の恩人である美しい女性に心惹かれ、恋人同士となってしまう。
突然の失恋に、落ち込むペルラ。
そんなある日、謎の騎士アルビレオ・ロメロがペルラの前に現れた。
「俺は、放っておけないから来たのです」
初対面であるはずのアルビレオだが、なぜか彼はペルラこそがルイスの恩人だと確信していて――
ペルラには報われてほしいと願う一途なアルビレオと、絶対に真実は隠し通したいペルラの物語です。
堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。
木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。
彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。
そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。
彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。
しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。
だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる