婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

ゆうゆう

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サリーナの告白(2)

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前国王の子を産んでしまったサリーナ。
それでもその事実を隠しゲルドー男爵領でミゲールと2人手を取り合って生きてきた。

もう魅了魔法も、闇魔法も使う事もなかった。

数年前にミゲールがこの世を去り、息子が前国王との間に出来た子供である事を知っているのはサリーナ1人になった。

息子が爵位を継いで少しして、新しい鉱山が見付かった。
しかもそこは領地の境界線上に引っ掛かる場所にあり、鉱山の採掘を始めたところ魔物が出没するようになった、隣の森には結界があり入れないし、魔物も出て来れない筈なのに。
鉱山が中で繋がっているのか、魔物は何度か現れた。
その度に魔物を討伐したり追い払ったりした。

この鉱山を安定的に使う事は息子の将来には絶対必要だった。
それには森の魔物をどうにかしないといけなかった。

そんな時、王都での噂が耳に入る。
それはバイロン王子が婚約破棄騒動をおこし、謹慎させられていると言うものだ。

サリーナは王家の事が気になり、王都へ人を送り情報を集めた。

それによってバイロン王子の婚約者の義妹が王子を誘惑して、罪もない婚約者を追放してしまった。
追放された婚約者はどうやら魔物に襲われ亡くなってしまったらしいとわかった。

これを聞いたサリーナには、王子を惑わした義妹と言うのが魅了魔法を使える者だと、すぐに分かった。
なぜ?と言うのは上手く説明できないが直感的にそう確信できた。

そしてその知らせによってサリーナの中で何かが弾けた。
なぜ、私はこんな所でひっそりと暮らしていたのか?
私の息子は王家の血を引いている。
集めた噂によれば、バイロン王子は今の国王と違い前国王の様に愚か者だと言う。
我が子こそ次の国王に相応しいのではないか?
本当なら王弟としてこの国の中枢にいてもおかしくなかったのに。

ミゲールに助けられ、ここの生活も幸せではあった。
でも、逃げた事で我が子が王になるチャンスを棄ててしまった。

愚かなバイロン王子の話を聞いてその事が悔やまれてならなくなった。
それと同時に心の中の小さな小さな黒い思いが膨れ上がって来るのを感じた。


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