173 / 178
サリーナに面会する
しおりを挟む
私達が王都に戻ると、パドック様は密かに国王陛下と魔法石について話し合いを持たれました。
この事だけは、出来るだけ限られた人にだけ話をする事にした私達。
魔石の谷の事を知る者が増えれば、いずれ善からぬ事を考える者が出てくるからだ。
この話を聞いた陛下はパドック様に魔法塔での魔石の管理を命じた、今まで市中に出回っている魔石とはあまりにも質が違うため、出所を探られる事を恐れたためだ。
陛下は最果ての山の存在理由を知って、あの一帯を最重要管理地区に指定して魔導士達に守りの強化を命じた。
前王の様な国王でなかった事はアランソル国にとって幸いだった。
今の国王と新たに継承権第1位になったバイロン王子の弟アランなら、誠実に神獣様との約束を守り続けてくれるだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はじめまして、聖女マリナの又姪のエリーナと言います」
「マリナ様… きっとマリナ様はまだ私を恨んでいるでしょうね」
全てを諦めたような、それでいてフッ来れたような顔のサリーナが言った。
王都に運ばれて1ヶ月後、医療刑務所の独房に入れられたサリーナは1人で歩ける程に回復していた。
裁判ではパドック様に告白した事と王宮の諜報員が調べた事全てを認め数日後に死刑が確定していた。
私は陛下にお願いして、サリーナに最後の面会をさせてもらったのだ。
「あなたも聖女に覚醒したのでしょ? パドック様が言っていたわ、私を治したのはあなただって。
なぜマリナ様の仇の私を治して救ってくれたの?」
「誰かを救うのに、理由など考えた事はありません。
今にも息が止まりそうな人が目の前にいたら、助けたくなるでしょう?」
「私には分からないわね」
「大叔母様はあなたの行方は気になっていたと思いますけど、決してあなたが憎くて探したかった訳ではないと思います」
「なぜ? 私の所為で家族は散り散りになり、この国にいられなくなったのよ?
恨んで、憎んで当然じゃないの」
「人は怨み辛みで生きていけば自分が辛くなるだけです。
それでは決して幸せな日々ではない筈です。
あなたもゲルドー男爵と暮らした日々で怨み辛みは忘れていたのではないですか?」
サリーナは思い出すように目を閉じてじっと考えています。
パドック様に話を聞いた時、前王から逃れてミゲール・ゲルドーと暮らす日々はサリーナにとって平和で幸せだったと私には思えたからだ。
この事だけは、出来るだけ限られた人にだけ話をする事にした私達。
魔石の谷の事を知る者が増えれば、いずれ善からぬ事を考える者が出てくるからだ。
この話を聞いた陛下はパドック様に魔法塔での魔石の管理を命じた、今まで市中に出回っている魔石とはあまりにも質が違うため、出所を探られる事を恐れたためだ。
陛下は最果ての山の存在理由を知って、あの一帯を最重要管理地区に指定して魔導士達に守りの強化を命じた。
前王の様な国王でなかった事はアランソル国にとって幸いだった。
今の国王と新たに継承権第1位になったバイロン王子の弟アランなら、誠実に神獣様との約束を守り続けてくれるだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はじめまして、聖女マリナの又姪のエリーナと言います」
「マリナ様… きっとマリナ様はまだ私を恨んでいるでしょうね」
全てを諦めたような、それでいてフッ来れたような顔のサリーナが言った。
王都に運ばれて1ヶ月後、医療刑務所の独房に入れられたサリーナは1人で歩ける程に回復していた。
裁判ではパドック様に告白した事と王宮の諜報員が調べた事全てを認め数日後に死刑が確定していた。
私は陛下にお願いして、サリーナに最後の面会をさせてもらったのだ。
「あなたも聖女に覚醒したのでしょ? パドック様が言っていたわ、私を治したのはあなただって。
なぜマリナ様の仇の私を治して救ってくれたの?」
「誰かを救うのに、理由など考えた事はありません。
今にも息が止まりそうな人が目の前にいたら、助けたくなるでしょう?」
「私には分からないわね」
「大叔母様はあなたの行方は気になっていたと思いますけど、決してあなたが憎くて探したかった訳ではないと思います」
「なぜ? 私の所為で家族は散り散りになり、この国にいられなくなったのよ?
恨んで、憎んで当然じゃないの」
「人は怨み辛みで生きていけば自分が辛くなるだけです。
それでは決して幸せな日々ではない筈です。
あなたもゲルドー男爵と暮らした日々で怨み辛みは忘れていたのではないですか?」
サリーナは思い出すように目を閉じてじっと考えています。
パドック様に話を聞いた時、前王から逃れてミゲール・ゲルドーと暮らす日々はサリーナにとって平和で幸せだったと私には思えたからだ。
16
あなたにおすすめの小説
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
働きませんわ。それでも王妃になります
鷹 綾
恋愛
「私は働きませんわ」
そう宣言して、王太子から婚約破棄された公爵令嬢エルフィーナ。
社交もしない。慈善もしない。政務にも口を出さない。
“怠け者令嬢”と陰で囁かれる彼女を、王太子アレクシスは「王妃に相応しくない」と切り捨てた。
――だが彼は知らなかった。
彼女が動かないからこそ、王家は自力で立つことを覚えたのだということを。
エルフィーナは何もしない。
ただ保証を更新せず、支援を継続せず、静かに席を外すだけ。
その結果――
王家は自らの足で立つことを強いられ、王太子は“誰の力にも頼らない王”へと変わっていく。
やがて外圧が王国を揺らしたとき、彼は気づく。
支配でも依存でもなく、並んで立てる存在が誰だったのかを。
「君と並びたい」
差し出されたのは、甘い救済ではない。
対等という選択。
それでも彼女の答えは変わらない。
「私は働きませんわ」
働かない。
支配しない。
けれど、逃げもしない。
これは――
働かないまま王妃になる、公爵令嬢の静かなざまあ恋愛譚。
優雅で、合理的で、そしてどこまでも強い。
“何もしない”という最強の選択が、王国を変えていく。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
【完結】氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲
恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。
完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。
婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。
家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、
家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。
理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる