きっと、君は知らない

mahiro

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やめろ、降ろせと何度も言ったのに聞き入れられず、ムシューニはケイトにそのまま連れて行けと笑いながら言っていた。
おい、俺の言葉を聞け!と言いたかったのに途中から船酔いのような症状に陥り喋れなくなり、最終的に気絶するという……なんたる失態。


「………だよな」


目を覚ましたら家でした、なんてことにはならず、見覚えのない部屋とベッドが並んでいて、扉の奥からは聞き覚えのない声が聞こえてくる。
恐らくムシューニたちのいる建物…なんだろうが、そこが何処だか分からない。
俺がいた場所からここまでって歩いて帰れる距離なのか?


「起きたか」


起き上ったと同時に扉が開き、ムシューニとあのとき俺を話さなかった式神が部屋に入ってきた。
式神は駆け足で俺に近付いてくると勢いよくベッドの上に上がり顔を舐めてきた。


「お、おい、やめろ。そんなに舐めるな」


「おーおー、本当に好かれてるなぁ。と、それより気分はどうだ?」


「だいぶ落ち着きました。ありがとうございます。でも、家に帰して欲しいんですけど」


「それは無理な話だな。俺たちこれから旅に出るし」


「いえ、何もムシューニさんに帰していただかなくても、他の方にでも帰宅方法を教えて貰えれば」


「無理だな!」


いや、そんな爽やかな笑みを浮かべながら言わなくても良いと思うのだが。
何故そうまでして俺を旅に同席させたいのか理解できない。
どうせ同席させたとて役になど立たないし、寧ろ荷物になるだけだというのに。
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