72 / 174
64
しおりを挟む
先輩は俺の顔を見つめた後、うつむいてしまった。
「………悪かった」
「それはあのときのことですか?だとしたら謝らないでください。先輩は何も悪くありません。いえ、誰も悪くありませんから」
そう誰も悪くない。
先輩は勿論、ひとりで出歩いていたあの子も。
あれは単なる事故なのだから。
「だが、あんなことがあって怒ってないのか?やり残したこととか沢山あっただろう?」
「どうでしょう……特別やりたいこともありませんでしたし」
やり残したことなんてなかったと思う。
どうせ好きな人と結ばれることも、別の人を好きになるつもりもなかったし。
唯一、気になっていたことがあるのだとしたら。
「あ、でも、気になることが。お子さん無事でしたか?」
あのとき助けた筈のあの子は無事だったのか、それだけが気がかりだった。
「………無事だ。お前のお陰でな」
「それは良かった」
俺は先輩の大切な子供を守ることが出来たのか。
それならば何の後悔もない、そう思って微笑を浮かべれば何故か先輩に掴まれていた手を強く引かれ、気づけば腕の中にいた。
「え、ちょ、先輩?」
何だ?何が起きてるんだ?ムシューニと融合して距離感バグってるのか?
「子供のことは本当に感謝している。だが、俺はお前をあんな形で失いたくなかった!お前にも助かって欲しかったんだよ!」
「………悪かった」
「それはあのときのことですか?だとしたら謝らないでください。先輩は何も悪くありません。いえ、誰も悪くありませんから」
そう誰も悪くない。
先輩は勿論、ひとりで出歩いていたあの子も。
あれは単なる事故なのだから。
「だが、あんなことがあって怒ってないのか?やり残したこととか沢山あっただろう?」
「どうでしょう……特別やりたいこともありませんでしたし」
やり残したことなんてなかったと思う。
どうせ好きな人と結ばれることも、別の人を好きになるつもりもなかったし。
唯一、気になっていたことがあるのだとしたら。
「あ、でも、気になることが。お子さん無事でしたか?」
あのとき助けた筈のあの子は無事だったのか、それだけが気がかりだった。
「………無事だ。お前のお陰でな」
「それは良かった」
俺は先輩の大切な子供を守ることが出来たのか。
それならば何の後悔もない、そう思って微笑を浮かべれば何故か先輩に掴まれていた手を強く引かれ、気づけば腕の中にいた。
「え、ちょ、先輩?」
何だ?何が起きてるんだ?ムシューニと融合して距離感バグってるのか?
「子供のことは本当に感謝している。だが、俺はお前をあんな形で失いたくなかった!お前にも助かって欲しかったんだよ!」
148
あなたにおすすめの小説
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
嘘つき王と影の騎士
篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」
国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。
酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。
そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。
代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。
死を待つためだけに辿り着いた冬の山。
絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。
守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。
無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。
なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。
これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。
処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される
水凪しおん
BL
激務で過労死した俺が転生したのは、前世でやり込んだBLゲームの悪役宰相クリストフ。
しかも、断頭台で処刑される破滅ルート確定済み!
生き残る唯一の方法は、物語のラスボスである最強の”魔竜公”ダリウスを懐柔すること。
ゲーム知識を頼りに、孤独で冷徹な彼に接触を試みるが、待っていたのは絶対零度の拒絶だった。
しかし、彼の好物や弱みを突き、少しずつ心の壁を溶かしていくうちに、彼の態度に変化が訪れる。
「――俺の番に、何か用か」
これは破滅を回避するためのただの計画。
のはずが、孤独な竜が見せる不器用な優しさと独占欲に、いつしか俺の心も揺さぶられていく…。
悪役宰相と最強ラスボスが運命に抗う、異世界転生ラブファンタジー!
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる